Dark Eternal Vol.9 後編。
前回までのあらすじ。
ヘヴィメタルのライブを見る前に、昼飯と本屋さんに行ったのだ。
1700文字も書いておいてライブが始まってもいない、この記事の是非はさておいて。
ヘヴィメタルのライブだからさぞかしイカついお兄さんお姉さんがゴリゴリの服装で屯しているのだろうと思っていたが。
意外や意外カジュアルな人が多い。
勿論それっぽい人も居る。
でも割と普通のオジサン…よりも、年食ったオタクっぽい人が多かった気がする。中には正直ちょっとお年いってそうなオジサンもいる。
いつか見た関東の女子プロレスと大して変わらないな。という印象。
開場直後の物販コーナーにちょこんとまします女性。
Cran Arcanaria(クラン アルカナリアと読みます)のグッズを見ておこうと思ったらタオルが残り僅かだと教えてくれたので購入。ちょうど汗もかいてたし。
目鼻が真っ直ぐ通っていて力強い笑顔から繰り出すよく通る澄んだ声が印象的だった。
というか、あれクランさんだったのかな?
ライブを主催して2度も出番をこなして物販も切り盛りして長丁場を仕切る。
大変な作業だが、この明るい別嬪さんはそれを本当にこなしているのだと、このあと思い知ることになる。
しかも時々お酒を飲みながら。給油…?
開場中のクランさんがお酒を流し込む様は圧巻で(まるでコンピューターグラフィック)、ライブの中休みには乾杯タイム?もあった。
クランさんを囲んでみんなで乾杯をするのである。
聞いたことないが、ここでは常識らしい。
何だこの人は、カワイイ酒呑童子かなにかか。
また飲みっぷりもいい。写真撮っても良いのかわからなかった(カメラマンさんも居たし、物販でチェキがあったので)ので記憶に留めるばかりであるが、思い出深い大酒飲みがまたひとりふえた。
出演者も個性豊かで、Dark Eternalという銘打っているがそれは恐らくクランさんのバンドの世界観で、この日のラインナップ自体は割と明るい人が多かった気がする。
まあズンズンドヨドヨのバンドばかりじゃ気が滅入るしな。そもそもナゴヤには、そういう暗黒ダークネス陰々滅々的世界観みたいなの、あまり合わないんじゃないか。
基本的に派手で賑やかくて突拍子もないところで自分が目立つことが大好き、だと、豊橋市民の私には見えるので…あの魔都名古屋の人達って。
初っ切りのJUSTKIDDINGは思った以上に明るくて、フロントマンのkorataさんがよく動く。ステージの真ん中にお立ち台のようなものが置いてあるのだけど、その上に乗ったり飛び跳ねたりとバランスがいい。オシャレで可愛いし鳶職か美容師さんでもしてるのかなと思ったらヘアメイクさんだった。現場で可愛がられるタイプの男子で、見ていて気持ちがいい。
出番が終わったらお客さんに挨拶して周り、主催ライブや名前の入ったフライヤーを配って(私も頂いた)、今でていたバンドですけども…!と頭を下げて回る。
こういう泥臭いことは、案外やらない人が多い。
板の上に乗ったら、降りようとは思わないものだ。
滴る汗を輝かせて走り回り、快活に受け答えしているkorataさんは応援しようって気にもなる。大した人だ…!
この人のバンドをいちばんに持ってきたのは、実力もだけどそういう心意気がお客さんを掴めると思われているからじゃないかなと感じました。
二番目
FAITH_of_FATE
ギターとドラムはサポートメンバーらしい。
さっきのバンドもドラムはサポートで、そのときに
「今日、3バンド2現場」という単位で紹介されていた。
その人が早速また出てみえて
「いやアンタかい!」
と。
お名前がわからない(アカウント見てもよくわからない)のだけど、実際すごく好きなタイプのドラマーだった。もうスティックや各種ドラムが指先の延長にある体の一部みたいで、見ていてとても心地よい。
ボーカルのイワタシズクさんは170センチを超える長身と愛嬌満点のスマイル、動作も大きくて見栄えがするしカワイイ。ベースのTkさんは女装の多弦ベーシストで居るだけで目を引くし実際物凄いものを抱えるようにして演奏してるから迫力がある。
でも、その向こうで軽快に叩きまわる熟練ドラマーに目が行ってしまう。
いろんな現場、バンドで引く手あまたなのも納得の演奏でした。
三番手、この日メインのクランさん率いる
Cran Arcanaria
が早くも登場。男性陣バージョン。
屈強かつオシャレかつやりたい放題の男性サポートを率いるTHEナゴヤ娘な別嬪さん。
でヘヴィメタル。
情報量が多い。いっちばんクールで世界観ありそうなギタリストの人が、いちばんファンキーでやりたい放題だった。セトリはバラそうとするわ、ステージを徘徊するわ、飲むわ歌うわ(歌うのは当たり前か)の大騒ぎの最中に、大変クオリティの高い曲が次々に積み重なってゆく。
良く言えば等身大の明るく楽しい暗黒メタルバンド。
そうじゃなければ、どういうつもりで見て良いものか初見では掴みづらかった。
こういうもんか、と思ってからはハマれたけど、思ってたよりだいぶノリが明るいし楽しくやっていたので面食らったのも確かだった。
こういう感じでいいんだ、と。
わかってしまえば足を運びやすい。見る側もゴリゴリのメイクやひらひらキラキラの服で着飾る必要は無いし、気楽に見られる。
実にナゴヤだ。実用的かつ経済的かつ、常連がきちんと大事にされる。
男性陣と女性陣を分かつからには曲もだけど、演奏そのもののパワーやインパクトが違ってくるはず。
やっぱりゴリっと前に出てきてハラワタまで響くような音色が心地よい。
繊細かつよく通るヒロインの声を持つクランさんがそれを背負って立つさまは美しかったし、あのカワイイ人から出るデスボイスも必聴でした。
なにもんだ、このひと…!
と圧倒されていたら出番が終わってしまった。
四番目。
Phantomenace
昭和のガールズバンドみたいな、ボーイッシュでカッコいいお姉さんがフロントに立つ。
割と明るい、元気のいい人が多いのは土地柄なんだろうか?
見ている側も当たり前のようにしているし、実際ちゃんと面白い。
ここまで出てきた人たちや、このあとの人たちが他が濃すぎるから、私の中では割りを食っている気がするけど…出る場所によっては、この人たちがインパクトを取れることがあるんだろうな。ポテンシャルにタイミングが合ってなかったような気がする。
ベースのお姉さんがやはり多弦で、かつ清楚系のすっきりした人だったのが凄く良かった。この爽やかさ、いい意味で地味な人がコレ持ってニコニコしてるって凄く絵になるな!と。
まあDream Theaterのジョンも黒髪地味系多弦ベーシストではあるか…。
五番目。
BRIMARなる3人組。
出番が来るやクランさんとNao様が最前列に駆け出していったから、どんな人がでてくるのかと思いきやベースのお兄さんの筋肉モリモリ、脂の乗った素晴らしい肉体。
なぜ見えたか。
半裸だったから。
あーーコレは絶対ヤバいわ。と思って私も前に出たら、ホントにこのリズム隊の素晴らしいこと。地面がうねるみたいで、ずっと聞いていたかった。
軽快かつ重厚、しなやかでパワフル。
こういうの好きだな!と素直に思えて、推されているのも納得でした。
演奏と音色と轟音に合わせて脈動する筋肉ってのは美しい。
えーーっと。
このライブ見た感想を今日(2024年10月20日)まで書かなかったのは、この時間帯の感想で非常に迷ったからでした。
私達は多分みんな、学校や職場や家庭で、日々いらんことを言われムカついて、言われたってどうしようもないことで詰められ悩まされ、それで稼いだお金を遣り繰りして切符を買っているわけでね。
それを、いきなり誰も文句の言いようのない大災害を持ち出して頭ごなしに説教され。
目を逸らすな、辛いけど直視しろ、思い出せ。
あの日、あの場に居たのが、あのとき誰も亡くさず失わず、お前のようにのうのうとしてられるような人ばかりだと、なぜ思えたのだろう。挙句の果てには
「けど僕はそんなことがいいたいんじゃないんですよ!」
じゃ何故言った。
しまいには
「実はギックリ腰です」
お前もう帰れ。
最前列に居たことを後悔して、なるべく目に入れないようにリズム隊だけ見ていた。
なんで自分が何か言う、させる立場にあったら、あれでいいと思うんだろう。
呼ばれて出た板の上でお客さんも受け止めきらないし、自分も言い訳して投げ出すようなこと言って、その後どうなる心づもりだったのか。
自分のケツは自分で拭け、と宣材写真に書いてあるのが実に皮肉だった。
迷ったけど全部書いた。これでも結構、悩んで整理して、でも納得いかないんで、それを表すのに乱暴な口を叩いてても直さなかった。
折角見に行って、ほか全部楽しかったけど、あれだけはナイよ。
と、ちゃんと言わないとあの場を作って動かした人たちに対して無責任だし、ここまでご覧くださったならお分かりいただけると信じてるけど、良かったと思えたことで覚えている限りのことは書き出している。
ココがいい、カッコいい、カワイイ、そういうのがいっぱいあった素晴らしい日に、言い訳しながら逃げ道を後ずさって泥だけ被せる奴が居たらそりゃ気分悪いよねって。私は思ったよ。他のお客さんは知らないよ。胸を打たれた人がいたっていいし、勇気をもらった人が居てもいい。
私は私が思う私の出したい娯楽の方向性が、あれと真逆な上にダセエもの見せられたと感じたから、そう書いた。
トリ前。
Free Aqua Butterfly
銀髪をきちっと揃えた男性ボーカルが、喉の不調で無念の交代。
ここまでやってきて悔しいだろうな…明るくギターを弾いているけど、自分でわかっているように見えたから、なんだか判官贔屓してしまった。
でも代わりに真ん中へ躍り出たサポートの女性が、これまた力強くて良かった。
ぐっと人を振り向かせる力があるのは流石だなあ…このバンドが出てきたらステージの前にわーっとお客さんが集まってみんなで振り付けを覚えて踊っていた。
オタ芸ってこういうやつ?
戸惑っているとベースのお姉さんと目があった。
よく目の動く人で、眼力もあった。視線を吸い寄せられる感じで、知らない曲でもリズムに身を委ねていれば全然ここちよい。
今日ここまで出てきた色んな人たちと、また全く違う色をまとっていたのも良かったし、力のある人たちが出てきて楽しく過ごさせてくれるって凄いことだなと思う。
曲や音楽性についての含蓄がないので抽象的な表現で恐縮だけれど、私は凄く良かったと思うし、豊かな時間でした。
大トリ
Cran Arcanaria(女性陣バージョン)
長丁場を締めくくるにふさわしい重厚かつ息苦しいほどの速さで奏でられる音色がとても心地よかった。ギターソロになると弾いてる人を指さしに行くのも新鮮な光景だったけど、おがささんとNao様の真ん中でしゃがんで、両方を指差すクランさんが可愛くてズルかった。
おがささんも三ツ寺の治安がゴッサムなBARで出会っていて、それ以来。
こんなおっとり話す関西弁の美人が、イカツいギターに輪をかけてイカツい音色を浴びせてくるというのがもうとてもいい。
もっと小動物的でカワイイけど、多分いちばん危険なベースのRiNさんが、見た目通りのパワフルなドラムを繰り出すCHiHOさんの側でフロント3人を余裕で支えて暴れさせているのがカッコよかった。
Nao様がサポートラストということで見ておかねば!と一念発起して参加したライブでしたが、愛着と情熱を持ち続けたのがよくわかるほど、双方向に愛のある現場でした。
みんながみんなに会いたくて集まれる場所があるというのは豊かなことだし、其処に居た人たちはみんな個性的だけどきっとステキな人たちだった(私も相互フォロワーさんが増えました。ありがとう)し、それを生み出し作り続け進化させているクランさんの力量が伝わってきた気もします。
最後の最後までお客さんが途切れず、見送りまでしてくれて、可能な限りお客さんを大事にしているからみんなもそれを信じて理解って、また次も集まれる。
あのアニメのヒロインみたいなクランさんが、本当に魔法騎士かなにかのように思える一幕が沢山あった。
そんなクランさんを支えて守って一緒に戦う男女混合の音楽隊が、またカッコよくて。
楽しげな闇の宴がこれからも続いてくれるといいなと願います。
ちなみに最後、私もチェキを撮っていただきました。
が、何故か上手く撮れず…まさか、コレか!?
と、この日のためにと磨きをかけていったスキンヘッドを、最初に物販で購入したタオルで隠してみた(いわく「ラーメン屋さんみたい」)ところ効果てきめん。
晴れて目出度く写真に収まることが出来ました。
みなさん、スキンヘッドとチェキ撮影は相性悪いです!
そしてNao様の呼び捨てチェキが眩しい。家宝にします。