鴨江ヴンダーカンマーさんにお邪魔しました
浜松市は鴨江町にある奇々怪々な品々を集めた私設博物館
鴨江ヴンダーカンマー
さんにお邪魔してきました!
鴨江ヴンダーカンマー
〒432-8023 浜松市中区鴨江4丁目1-14
開発ビル2階
053-456-6688
駐車場
縦列駐車3台有り
不定休(会期中無休)
https://www.instagram.com/KAMOE_WUNDER/
ずっと気になっていた場所で、大阪で私がとても好きなお店をやっている、もしくはそこで働いている人たちがこぞってSNSアカウントをフォローしてて。実際そのお店に行ってみて、あの名状しがたい情報量の洪水と、そのカウンターに鎮座まします美しき都市型サイバーパンク座敷童ぢょんべねさんに魅了され…そんな人が興味を持っているならば、と。
興味と話のタネにと言うんでとりあえずSNSをフォローしましたところご挨拶のメッセージを頂きました。そこで、近々お邪魔します!と宣言して、本当に行って来ました。
いつか行こう、では、中々動けないこともあるので…。
浜松と言っても広いけど鴨江なら豊橋からそんなにかからない。
バイパスを使わなくても、旧国道1号線から257で北上し、ザザ(リングス・グルジアじゃないぞ)(令和5年にグロム・ザザが通用すると思うなよキッド)んとこを左折。鴨江小路という通りを少し進めば左手に見えてきます。
地味な風合いの昭和なビルヂングに、象形文字のように描かれた屋号が目印。
目の前には真っ赤な鴨江観音のお寺が聳え立つ。そぼ降る雨に真っ赤な寺院。
なるほど、お寺の前に見世物ってかい。
江戸落語・死神なんかにも出て来る「出開帳」みたいだな。
館長の西川さんにご案内して頂けることとなり、まずは3階の企画展や浜松の彫刻家・池谷雅之さんの未発表作品の数々を拝見……しょっぱなに目につく、あの紫色の唯我独尊。
三ツ寺会館のカツキさんが喜びそうな逸品は、モノの見事にいわくつき。
怖い方じゃなく、人の業というか、そうまでしてこの像を写して使いたいか、使わねばならないのか、という…。
そのほかマネキン人形から彫像から無数の作品が虚空を見つめたまま佇んでいる。所蔵品のどれもが可愛らしく、不気味で、不可思議なものばかり。だから、何を紹介するにもそういう言葉がついて来る。不気味なのが当たり前、可愛げがあるのもまた然り。
そういう意味で三浦悦子さんの作品は凄まじく、フロアに居る間ずーっと女の子のお人形と目が合っていた。青っぽいグレーの肌と、クリッとした顔と瞳が悲し気で、だけど過剰に悲惨なアピールはしてこない。居るだけでこっちの気持ちが勝手に動いてしまう、凄い子だった。
夜中、急に出っくわしたら引っ繰り返ってしまうかもしれない。
多賀新さんのサカナの絵も凄かった。ガンジス河で見た営みを着想とした、生命の連鎖。恐ろしい魚、こわいさかな、おぞましいサカナ。でも、何処か可愛げがあって憎めないのは自分らニンゲンも同じようなことをしているし、なんとなれば立場と状況と環境をお金で片づければニンゲン同士でだって食った食われたするわけで。そういう自己弁護みたいなものが無意識にバイアスをかけているのかも知れない。そういうのを見透かしたような…。
サカナの目
というのは、ホントになんだかわからないけど迫力がある。
色んなモノ、場所、生き物、ニンゲンを題材に怖い話を考えてきたけど、サカナでやったことないなあ。何か思いつかないかな。
見ている此方が怖くなるとか気味悪がるだけじゃなくて、心の奥で何かこう、くすぶっている着想に火を点けてくれそうな。もしくは凍り付いて固まった石みたいな脳味噌に水ぶっかけてくれそうな。そんなパワーがあるような気がします。
2階は常設展示。館長の長年にわたるコレクション……これがまた面白い。
他では手に入らないものか、他から渡って来たものか、もう手に入らなくなってしまったもの。特に、昔フツーに売ってたけど今じゃそんなことすら忘れられてるような品物や、ずっと何処かに仕舞いこまれていたお人形さんなんかと、もっと不気味で悪趣味な品々がぎっしり同居している様は圧巻で、コンピューターグラフィックでも描けない。
力道山さんの像から始まり、怪獣、お人形、人体模型に何かのオブジェらしきもの……。
この膨大なコレクション、ひとつひとつ西川さんが解説をしてくださるのも凄い。幾らご自身で集めたとはいえ、見た人は分かると思うけど、あの量と振り幅である。
好きというのは恐ろしい。
そんなこんなで何時の間にか話し込んでしまい、あっという間に時間が過ぎる。
このあとまだ行くところがあったので、1時間ほどでオイトマすることに…。
聞き足りないというか、もっとこう、じーっと見ていたいものもあったので、また近いうちに必ずお邪魔します!
ちょうど今、読んでいるチャイナ・ミエヴィルの小説がクラーケン。デカいダイオウイカのお話。そして今、私が書いている小説にはサメの人魚姫が出て来るところ。
このタイミングで魚の絵を見に行けたのは、そしてあの目でじっと見つめられたのは、何かの縁があると勝手に思って、またがんばります。
西川館長ありがとうございます。