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32話:ギルド職員 メリアの報告書

なんつーか、番外編?w



皆さんの証言を纏めましたので報告します。

*印のコメントは対処結果の個別報告です。



傭兵:リドラス・ウェイバーグさんの証言


「ああ、黒帝と魔神姫は俺の命の恩人だよ。ガインベルク王国とパウラ公国が小競り合いしてるのは知ってるだろ? そこで一稼ぎしてたんだが、ドジ踏んで部隊とはぐれちまってな。結構やばい傷を負ってた上に、血の匂いで魔獣の群れが寄って来ちまって、さすがに終わりかと思った時にあいつらが助けてくれたんだ。最初は死神がお迎えに来たかと思ったぜ、黒帝の格好は全身黒ずくめで顔には黒い包帯巻いてるし、魔神姫は子供なのに信じらんねー別嬪だし……魔性の美しさとでも言うんかね?」


「どうやって助けたかって? へっ、驚いたぜ。魔神姫が一睨みして『失せろ』って一言言っただけで魔獣どもが怯えて逃げちまった。そんで黒帝が治癒魔術で俺の傷を治してくれたんだが、ありゃあ相当な術者だな、治るスピードがとんでなく早かった。で、部隊の所まで一緒に来てくれてよ、お陰で無事に助かったって訳だ。ところが礼を言おうと思ったら、いつの間にか姿が消えちまってたんだよ」


「なあ、あの姉ちゃんに居場所を教えてくれるように頼んじゃくれねえか? 借りを作ったままじゃ、寝覚めが悪くてしょうがねえんだよ」


*ひとまず今回のところはお引取り下さいました。見た目は怖いですけど、物分りの良い方で助かりました。




冒険者パーティ:『穏やかなる鉄槌』リーダー、グラッド・ガグさんの証言


「ある廃墟を根城にした盗賊団の殲滅を請け負ったんだが、連中、腕の良い魔獣使いを仲間にしていて迂闊に手が出せなかった。そこで臨時に増援を依頼してやって来たのがあの二人だったんだ。……いやまぁ、正直、こりゃ駄目かと思った。何しろギルドに登録して、初仕事だって言ってたからな。黒帝は胡散臭さが爆発してるし、魔神姫は子供だし、最初はハズレを引いたかと思ったよ」


「とにかく件の廃墟に行ったが、廃墟の入り口の周りには魔獣使いが使役してるブラックビーストが三十匹もいやがった。こいつらをどうにかしなきゃならんと話したら、黒帝が『分かった、任せてくれ』って言って、目の前に小さな魔術式を出した。そいつをどうしたと思う? ハンマーで皿を割るように、握りこぶしで魔術式を上から叩いたんだ。その途端、ブラックビーストが上からとんでもなく重い岩でも落ちてきたような感じで、残らず潰されて地面に埋もれちまったんだよ」


「いやはや、驚いたね。俺たちが馬鹿みたいに大口開けて呆然としてると、中からビーストの悲鳴を聞いて盗賊団が出てきた。気を取り直していざ戦おうとすると、今度は魔神姫が『無垢な獣を利用しおって』とか言って一人で連中の前に出て行っちまった。止めようとしたが、出来なかったよ……怖かったのさ、あの子が。怒っているのが分かった。全身から魔力が噴き出して周りの空気が、と言うより、空間が歪んでいるようにすら思えたね」


「盗賊たちは金縛りにあった様に、動けなくなってた。分かったんだろうな、彼女が自分たちよりも遥かに強いって事が。魔神姫が右手を軽く振った、それで終わってた。盗賊たちは体に三本の傷を負って痛みにのた打ち回っていたよ。廃墟の中にいた連中も一人残らずだ。その傷は獣の爪に切り裂かれたような感じで、淡く金色に光っていたよ。不思議な魔術だった」


「後は簡単だった、動けない盗賊どもを始末するだけだったからな。ただ、黒帝と魔神姫は手を出さなかったな。人を殺したことが無いって聞いて、また驚いた。これだけの実力者がまだ未経験だったとはってね。その後パーティーに勧誘したが、あっさり断られたよ。だが、まだ諦められなくてね。……今日のところは引き上げる。彼らに伝言を頼めるかな? 俺たち『穏やかなる鉄槌』は、君たちの初仕事を一緒にした縁を喜び、二人を歓迎するってね」


*実力派として知られているパーティーのリーダーだけあって、終始穏やかに話しに応じてくれました。




冒険者パーティ:『優雅に華麗なアルサオナと下僕たち』リーダー、アルサオナ・リクス・クァントゥスさんの証言


「私と両親は、全身に激しい痛みが襲う邪神魔術の呪い『妖夢ようむいばら』を掛けられていたのです、本当に苦しかった……。どんな術者もさじを投げたその呪いを解呪して下さったリュウ様は、クァントゥス家にとって大恩あるお方ですわ。見た目に反して、あの優しいお声にどれだけ支えられ、励まされた事か。謝礼としてクァントゥス家に伝わるロストパーツについて調べておられました。残念ながら目的の物とは違っていたらしく、少々落胆しておられました……」


「ロストパーツの力? 何でも、対象物の時間を少しだけ戻せるのだとか。もっとも、壊れた小さな……例えば、壊れた指輪などの時間を戻して、壊れる前に戻したりは出来るそうですけど、大きさはその位が限界で、戻せる時間も一時間にも満たない。さらに一回使うために魔術師のええと、確か百人分の魔力が必要だとかで、およそ実用的な物ではありませんわね」


「それはともかく、さっきの女性に会わせなさい! え? ギルドで一時保護? でしたら、リュウ様の居られる場所を聞き出して来なさい! 今すぐ! 私はあらためてリュウ様にお礼が言いたいのです! そして家に招待してそのまま監禁……コホン、もとい、我がクァントゥス家の素晴らしさを知ってもらい、我が婿に……! え? 魔神姫はどうするのか? ふっ! 笑止ですわ。確かに美少女ではありますが、あんなペッタンコと、私の体と美貌とでは比べることも出来ませんでしょう? オーッホッホッホ!」


*ギルド登録者のプライベートな事に関しては、口外できないというのがギルドのルールですので、それを説明してお引取り願いました。ただ、あの高笑いは耳にやたらに響いて耳鳴りが暫く消えませんでした……。




冒険者:フィルスト・キング(自称・武と愛の探求者)さんの証言


「あれは、とある依頼をこなした帰り道の事ッス。あの二人が五十人くらいの盗賊団と戦っている所に出くわしたんッス。すぐに加勢しようとしたんですが、そんな必要はまるで無かったッス。戦っているのはサカザインさんだけで、マナウルさんは見てるだけでしたけど、そりゃもう強いのなんの! 何の武器も無しに、盗賊たちの攻撃を流れるような体捌きで易々と潜り抜け、次々と連中の意識を刈り取っていったッス」


「殺すよりも、生かして倒す方が何倍も難しいもんッスが、あの人はそれを五十人相手に難なくやってのけたんッス。自分はディルワナで少し修行した事があるんで分かったんスが、サカザインさんの動きはディルワナの武術に色んなもんをミックスしたもんッスね、見た事も無い投げ技とか蹴り技とか使ってましたし。何処で習ったのかぜひ教えて貰いたいッス!」


「彼の動きは流水に流れる木の葉、あるいは風に吹かれる綿毛。そうかと思えば大地をも割るような、雷の如き激しい一撃……! 美しくて、恐ろしくて、何より憧れて……! 自分はあれ以来、サカザインさんの虜ッス! 弟子入りして昼夜問わず! 男同士の裸の付き合いを! それこそ汗まみれでくんずほぐれつ! 寝技とか寝技とか寝技とかご指導をっ! そして互いの熱いパトスを粘着的に絡めあっていずれは恋人にーっ!!」


*だんだん目付きと言動が危なくなってきたので、ギルドガーディアンにお願いして強制退去して頂きました。出来ればあまり会いたくない方ですね……。




商人:バンバス・バンバーさんの証言


「僕がスーニアたんに会ったのは、仕入れた荷物を運ぶために護衛として雇った時だったお。一目見たその瞬間、僕は運命を感じた! 僕のお嫁さんは彼女しかいないって! だけど彼女はあの不気味な黒帝にべったりで、何度プロポーズしても冷たい目で見られて振られてしまったん……。でもクーデレなスーニアたんに、僕の心臓は鷲掴みだお」


「だからラブレターを書いた! 僕のお嫁さんになってくれれば、バンバー商会のすべてはキミの物とか、僕の『古今東西美幼女コレクション』を捨てても良いとか、僕がデザインした特製下着を毎日プレゼントするとか、僕の思いを注ぎ込んだ会心の一筆なのだぜ!」


「だからこのラブレターをマイ・スウィート・ハニー、スーニアたんに渡して欲しいお! 御礼はするお! 僕とスーニアたんの結婚式にも招待するお! 彼女の花嫁姿はきっと天使のように素敵だお……ハァハァ……! そ、そして初夜はうへ、うへへへへ」


*汗を大量にかきながら詰め寄ってくる彼に、思わず悲鳴を上げそうになってしまいました。バンバー商会といえばかなり有名なお店ですが、この先大丈夫なんでしょうか……。あ、彼はギルドガーディアンに摘み出してもらいました。やっぱり私の恋人は頼りになります。



以上、報告を終わります。


ちなみに、バンバスのモデルはシュタインズ・ゲートのダルですw

まゆりエンドせつねぇぇぇぇぇ!


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