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18話:慌てふためく裏切り者たち


「ルーデン!! よくも私を騙してくれたなぁ!! 今更許しを乞うても許しはせんぞぉ!!」

「ほざくな、この猿顔が! 貴様こそ良くもやってくれたな! 自分の馬鹿さ加減を後悔するがいい!」


 太陽が昇り空気が暖まり始める頃、ルーデンとダルゼットが両軍から歩み出して舌戦を開始していた。この世界の戦では、開始前の舌戦というものはあまり行われる事はない。むしろその時間を使って味方を鼓舞する為の演説をするのが普通だ。


 今回この二人がわざわざ舌戦をしたのは……ただ単に、あまりに頭に来たので一言言わなければ気が済まなかったからである。


「知っているぞルーデン! 元々貴様は下流の貧乏貴族だったそうだなぁ! 血筋だけは良く、それを頼りにそれなりに出世したはいいが、性格が悪くて王都から追い出されたとな!! その事が良く分かったわ!!」


「ふん! 私の才能と血筋を妬んだ者たちの仕業よ! 私がキドニアの支配者となった暁には全て打ち首にしてくれる! 貴様こそ先祖の財産だけを頼りに出世した成金貴族ではないか! パルフストの貴族の間では無能と陰口を叩かれていたのを知っているぞ!」


 しかし、舌戦というものは本来、相手の戦意を削ぎ、味方の士気を高揚させる為に行うものだ。彼らのそれは、もはやただの悪口の応酬になりつつあった。


「その性格の悪さでは友の一人もいまい! この陰険根暗貴族が!!」

「特技は賄賂か!? 成金猿が!」


 そして、そんな光景を少し離れた場所にある木の上から、呆れた目で見つめる者たちが居た。


「何というか……まるで子供のケンカじゃの」

「あれで貴族っていうんですから……色々と問題がありますねー」


 不可視結界で姿を消したスーニアと、その背に乗ったシェリカである。

 彼女たちは戦場の監視と、ロストパーツが行われた時の確認をする為にここで見張っていたのだ。


 シェリカが一緒にいるのは、彼女が最後まで手伝わせて欲しいとスーニアにお願いしたからだ。彼女の傭兵としての技能を考え、スーニアは何かの役に立つだろうと判断して連れてくる事にしたのだった。


「転移魔術はいつ頃行うんですか?」

「軍が集まり次第すぐ行うそうじゃが、少し軍の集結に手間取っているようじゃ。二日しか猶予が無かったからのう。まずキドニアの軍を転移させた後、リュウヤは自分をパルフストに転移させる。そして、すぐにパルフストの軍を転移させる」


「強行軍ですね……リュウヤさん、大丈夫でしょうか」

「……転移魔術の方は問題あるまい。リュウヤが出来ると言ったのじゃ、必ずやってのける……問題はその後じゃ」

「ロストパーツですね」


 シェリカの言葉にスーニアは頷いた。

 ロストパーツの力は千差万別だ。数としては多く発見されているが、機能しなかったり、してもすぐに壊れてしまったりしてまともに使える物は少ない。更にその中で強大な力を発揮する物は極僅かだ。


 ルーデンとダルゼットが手に入れたロストパーツは、その数少ない強力な力を持ったロストパーツである可能性が高い。そうでなければ二人の切り札になど成り得ないだろう。


(わしとリュウヤの二人がかりならば危険は大幅に減るが、確実とは言い切れん。万一の時は、リュウヤだけはわしが守ってここから逃げる事を考えねばの……。その時は二国の兵たちを見殺しにする事になるが致し方ない)


 スーニアにとって、もっとも優先すべき事は竜矢を守る事である。もしこんな行動を取れば彼は烈火のように怒るだろう。もしかしたら主従の縁を切られ、別れる事になるかも知れない。


 それは覚悟の上だ。

 分かってはいる、理解もしている。それでも彼女はその行動を止める事はないだろう。

 スーニアの存在理由……それは竜矢の側にいる事であり、その身を守る事なのだから。






 一方、竜矢はキドニア王都から少し外れた広い平原にいた。

 その前にはキドニア王国全軍の三分の一に相当する、約一万の王都の軍が集結しつつある。


 竜矢は当初、キドニア、パルフストの全軍を転移させる位の気合いを入れていたが、他国との国境に駐屯する兵力を呼び戻す事は出来ない。他国が付けいる格好の穴になってしまう。何より、そんな時間もなかった。


 とはいえ、王都に駐屯する直轄軍約七千に、王都に近い領主たちの私軍約三千。

 ルーデン、ダルゼットの私軍を相手にするには十分な戦力だ。

 しかし、ここで少々問題が発生していた。


「リュウヤ殿、準備にはもう少し掛かるそうです」

「そうですか……予想より時間が掛かってますね……」


 苦い顔で報告に来たボアズに、白甲冑姿のリュウヤは下唇を噛みながら言った。

 今回の謀反、これは早急に叩き潰して沈静化を図る必要がある事を、リュウヤは理解していた。


 簡単に言えば、国内の争乱を手早く解決できないという事は、国の弱さを他の国々に露呈してしまう事になるからだ。そうなればこの戦乱の時代、他国に狙い目の国だと攻め込まれ、あっという間に倒されてしまうだろう。

 そんな事態になる前に、国内の強さを他国にアピールする意味でも急いだ方が良いのだ。


 竜矢のこういった知識や策については、地球でプレイしていたRPGやシミュレーションゲーム、さらには三国志や日本の戦国時代を題材にした漫画や小説で得たものだ。

 魔術の有る無しに関わらず、政治的な事に関しては地球もこちらもあまり変わらないのが幸いした。


 ただ、やはり二日という短い期間でこれだけの大軍を動かすのは、少し無理があったようだ。ボアズの苦い顔も、この辺の事情を理解しているからである。


(軍を動かす事には成功したが、謀反に荷担しているらしき貴族私軍の動きが鈍い。自分たちの取るべき行動を測りかねているのだろう……)


 これからレグリオスがここにやって来て、転移魔術の説明も含めて兵士たちに檄を飛ばす事になっているが、このままでは彼が来るまでに集結が間に合わないかも知れない。

 そう考えるボアズの拳に、自然と力が入る。

 そんな彼の姿を見て、リュウヤはわざと明るめの声で言った。


「やーれやれ、しょうがないっすね。ちょっと脅かしますか」

「脅かす……? リュウヤ殿、何を……?」

「焦らせてやるんですよ」


 ボアズの問いにそう軽く答えると、竜矢は指揮を執っている将軍たちが集まっている天幕へと向かった。中に入ろうとすると、両脇に立っていた見張りの兵士が持っていた槍を交差させて行く手を阻む。


「入らせて欲しいんだけどな」

「ただ今、軍議の最中です。誰も入れるなとの命令です」

「ハァ~……悪いけど、入らせて貰うよ」


 大きな溜め息をつき、竜矢は槍を押し退けてズカズカと天幕に入っていく。

 全軍の兵士たちは王からの通達で、竜矢の事を今作戦における重要な魔術師との連絡を受けている。その為、慌てながらも止める事が出来ずに天幕への進入を許してしまった。


「お邪魔しますよー」


 竜矢はひょい、と天幕に入っていくと、中で話し合っていた七人の将軍たちが一斉に振り返って竜矢を見た。その目つきは、お世辞にも良いものでは無い。


「リュウヤ殿……勝手に入って来られては困るな。今は軍議の最中……」

「この期に及んで軍議ぃ~? アンタら頭大丈夫か?」


 将軍たちの顔に、サッと朱が入る。

 何処の誰とも知らぬ、終始甲冑も取らずに接する謎の人物。王からの通達がなければ、何らかの理由を作ってとっくにこの場から追い出している所だ。


 そんな胡散臭い人物が、貴族でも上位に位置する自分たちに無礼な態度を取ったのだ。怒りを感じるのも当然だろう。


「何という無礼な!」

「王から失礼の無いようにと聞いているからこそ、今まで不問にしていたが、一体君は何者だ!? 答えられないのなら即刻出て行きたまえ!」

「そうだ! この度のルーデン伯とダルゼット公の謀反とやらも俄には信じられん! まさか君の企みではないのかね!?」


 将軍たちは口々に竜矢を非難する。

 竜矢はそんな抗議を無視すると、将軍の一人に歩み寄ってその肩を叩いた。


「な、何の積もり……」


 竜矢はそれも無視すると、その隣の将軍の肩を叩く。結局、そのまま全員の肩を叩いて回った。


「今、すぐ、何をすればいいのか、よ~く、考えなよ?」


 竜矢はわざとゆっくりそう言った。叩かれた将軍たちは、誰も喋らなくなってしまった。

 だが、よく見ると七人の内三人の将軍は目に見えて顔色が悪くなっている。


 実は、竜矢はこっそりと『記憶探りし隠者の手』を発動させ、全員の記憶を読んでいたのだ。竜矢の力なら呪文の詠唱は心で唱えれば十分である。その上で魔術の処理速度を高速化させ、読み取る早さをアップして七人分の記憶を一瞬で読む事など雑作もない事だった。


 そして、顔色の悪くなった将軍たちは、今回の謀反に荷担した王国の裏切り者たちであった。竜矢は『お前らの事は既にバレてんだよ、少しでも罪を軽くしたけりゃとっとと協力しやがれ』と、その三人の肩を叩いた時に思念を送り込み、その心に直接話したのだ。


 荷担していない将軍たちには、『あなたは信頼できますね』と話していた。


「……ど、どうだろう、このまま軍議をしていても時間の無駄だと思われぬか?」

「そう、だな。早急に軍を集結させるとしよう」

「う、うむ、私も賛成だ。謀反者たちを許す訳には断じていかないからな」


 場を支配した静寂に、裏切り者の将軍三人が口々に言い始める。

 軍議が滞っていたのは、この三人が事態把握の為に時間稼ぎとして色々と反論をしていた為だったのだが、その本人たちがいきなり態度を急変させた。


 それを訝しむ他の四人が口を開く間もなく、彼らは兵を呼び、自分たちの軍を急いで集めるように命令を矢継ぎ早に飛ばす。

 結果、予定よりも遅れたものの、ようやく軍の集結が完了する事となった。


「リュウヤ殿、急に軍の集結と整列が早まりましたが……一体何をしたのです?」


 整列した軍の前に戻ってきた竜矢に、ボアズが聞いた。


「えーと……グズグズしてる将軍たちの喉元に剣を突きつけたというか、ケツに蹴りを入れてきたというか……」

「!?」


 驚いて真っ青になったボアズの顔に、冷や汗がダラダラと流れ始める。

 どうやら本気でそんな事をしてきたと思ったらしい。真面目なボアズは冗談が通じない性格をしていたようだ。


「いや、冗談ですからね? そんな事してませんから。ものの例え話ですよ?」

「そ、そうか。それなら……」

「まあ、あいつらにしてみたら、それ以上の恐怖だったかも知れないけど」

「!?」


 何とも形容しがたい表情になったボアズの顔が少し面白かったので、しばらく放置しておく事に決めた竜矢であった。



おかしい、あまり話が進んでいない。何故だ(オイ

はい、自分のミジンコ並みの文才のせいですね、分かっておりますともorz


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