大好きだよ。
初めての投稿ですが読んでいただけると嬉しいです!
鈴本ゆい、中学1年生。私は今、とってもドキドキしている。今から中学校最初のテストが返却される。
実は私、すごく頑張って勉強したんだ。
理由は…恥ずかしくて誰にも言えないけれど。
「お母さんみたいになりたいから。」
私のお母さんは医者をやっていて、毎日たくさんの人を救っている。しかも、単身赴任をしているお父さんの代わりに、毎日家事をしてくれている。小さいころから、ゆいのお母さんはすごいんだよ。と周りの人に言われて育ってきた。
だから、私もお母さんみたいになりたい!お母さんには内緒だけど。
「鈴本さん」
呼ばれた!
「はいっ!」
とってもドキドキする。
「鈴本、頑張ったな。」
先生が褒めてくれた。けれどみんな褒められてるからそこまで良い点数ではないのかも。
結果は…
「やった!!」
学年TOP10に入れた!どの教科も思ってたより点数が良い。しかも、社会が100点!自信なかった問題があったけど、ほかの教科よりたくさん勉強したから、すっごく嬉しい!!
―――夜、お母さんが帰ってきて―――
「お母さん!見て!今日初めてのテストが返されたんだけどね、私頑張った!」
「ゆいすごいじゃない!頑張ったのね!順位1桁だし、社会満点じゃない!」
やったー!お母さん、嬉しそう。これからも頑張ろう。
それから私は、次のテストでもたくさん勉強して良い点数をとり、お母さんに褒めてもらった。それが嬉しくて、また頑張って…とつづいた。
お母さんは私がテスト結果を見せるととっても嬉しそうに笑う。私もお母さんの嬉しそうな顔をもっとみると嬉しくて、それがモチベーションになった。
お母さんは帰りが遅いから、あまり話せる時間が無くて、私のことそんなに思ってくれてないかもしれない。けれどテストを頑張れば、褒めてくれる。
けれど…
「ゲホッ、ゴホッ、ゴホッ」
中学校最後のテストの日。私は風邪をひいてしまった。高校受験にも関わる大事なテストなのに。
ガチャッ。
「ゆい大丈夫?お粥持ってきたよ。」
お母さんが、すごく悲しそうな顔をしている。
「お母さん、ごめんなさい」
「何で謝るの?ゆい何も悪いことしてないじゃない。ゆっくり休みなさい。」
だけどっ……
「お母さん、悲しそう。私が、ゴホッ、テストで良い点数を取って見せられないから。」
「ゆい、そんなこと考えてたの?もちろん、良い点数を取ってくれるのは嬉しいわ。けどね、それはゆいの成長が見られて嬉しいから。私が悲しかったのは、大事なゆいが風邪をひいて辛そうだから。変わってあげたいけれど変わってあげられない無力なお母さんが悲しかったの。」
「お母さん…」
「仕事が忙しくて、あまり話す時間が無いから寂しい思いさせちゃったのかな?ごめんね。けれどお母さんは、ゆいのことが大事で、仕方がないの。」
「ほんと?」
「もちろん!大好きだよ。」
「私もっ!…ゴホッ、お母さん、大好き!」
涙が止まらなかった。けれど、今なら言える気がした。
「…あのね、お母さん。ゴホッ、私…将来お母さんみたいなお医者さんになりたいの。」
「ゆい…」
お母さんの目からも涙がこぼれ落ちる。
私たちはその後、抱き合って涙が枯れるまで泣いた。
その日から、お母さんと前よりも仲良くなった気がする。
―――2ヶ月後―――
T県立O高校合格発表会場
鈴本ゆい。人生で1番ドキドキしている。あと1分で、第1志望の合格発表がある。
受験番号は、15304番。
「合格した方の番号を張り出します。譲り合って見てください。」
きたっ!
15293
15296
15297
15301
15302
15304
あった!早速お母さんにメールしよう。
実は私、受験がすごく不安だった。けれど、お母さんが励ましくれたし、忙しい中でも勉強を教えてくれた。そして何より、毎日出かける前に、美味しいご飯を準備してくれた。お母さんがいなかったら合格できなかった。
3年生最後のテストの日、風邪をひいて良かった。お母さんにうつしちゃって後で大変だったけれど、お母さんと前より仲良くなれたから、桜が咲いた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!