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敷かれたレール

人物紹介

シシャ ロリ少女、見た目通りの可愛らしさも持ち合わせている。広い視点と考察力、それに伴った実力も持ち合わせているため、アルを導いてくれるだろう?

間違いなくぼくより年上であるはずの少女をぼくは見下ろす。

「こらっ、お主年上を見下すんじゃないわよ」

別に見下してはいないので、卑下しすぎではないだろうか。

「見下してはいませんよ、シシャさん。ご無沙汰です。」

「わあ!オルーー、元気だったー?」

オルとはぼくの母親のことだ。母とぼくの命の恩人なのだがそれ以前に友人でもあったのだろう。

急に見た目相応な言葉遣いと声音になる。

二人はぼくを置いて昔話に花を咲かせてしまって、部屋の奥に行ってしまった。

昔話に花を咲かせるってはなさかじいさんから来ているのだろうか。そんなことを考えながら周りを見渡す。壁一面に収納棚があり、植物やら本やらいかにもな物が展示されていた。手前にカウンターがあることでお店のような様相になっているのだが、こんなところに客は来ないだろうのであくまでそういったインテリアだろう。


見るものに飽きることは無かったが二人が帰ってくる頃には大きな砂時計が1往復してしまった。

二人の話は長く続いたようだが、母からぼくに告げられた言葉は「今日からここで生活しなさい」であり。大した説明もなく、そそくさと帰ってしまった。


「もうちょっと一緒にいてくれてもよかったのになー、ほんと昔からまたねも言えないんだから」

そんなことを言う少女

「うーん、何から話そうかなー。急にこんなことになって大変だったね。私はシシャよろしくね。

君のお母さんもアル君が嫌いでこんな行動に出たわけではないってことは分かってあげてほしいな。」

ちょっとした挨拶を済まし、周りの展示物(商品で間違いなかったらしい)の説明を遮って僕は聞いた。

ぼくはここで何をするのかも、何を求められているかも分からない。こんな状況に居たたまれなくなった

というのもあるだろう。

「何をするかはお母さんから聞いてない?成人の儀でいい成績をとれば、村の皆にも認められてアルたちも仲良くできて万事解決だよ」

確かにその通りなのだろうけれど、そんな単純な事でもないと思う。

まずは時間の問題だ、成人の儀がいつ行われるかわからない。

「本当は15歳で成人なんだけどエルフは時間や年齢を気にしないから、みんな適当だよ。でも次の成人の儀はこの村でするから、アルも大人っぽいし近い内にやるんじゃないかな。」

大人っぽいなんて適当な

「適当じゃないよ。アルはあの迷宮に行って帰ってきたんだよね。迷宮を起動できる魔力があったら成人の儀をやろうってなるよ。だってあの迷宮は本当は成人の儀に出れるかどうかを決めるために使われているんだもん。アルが動かしたにしろ魔法はみんな使えていたんだろう。だったら準備が始まるはずだ。他の村の都合もあるし最短でも2年。その間はアルが強くなることだけ考えるべきだよ。」村の決まりや都合を僕は知らないし、シシャの言う通りだろう。


「ところでアルはあの迷宮のゴールは見てきた?」

ゴール?と思いつつも僕は迷宮であったこと、迷宮の仕組みについて気づいた事を話した

「帰ってこれたから丸はあげるけど、花丸は貰えないかな

1つ大切なことがあって、迷宮には意志があるんだよ。決して生き物って訳ではないけれど、魔力で意志が形作られてるんだ。だから君たちが帰ろうとして、部屋の仕組みに理屈を付けたらそれに迷宮が答えてくれたんだ。でもゴールを聞いたからって教えてくれることはないよ。資格があるかを見る仕事があるからね。」

洞窟などの地形に魔力が溜まり核が形成される。その中でも魔法が意志を持ち核を守ろうとするものを迷宮と呼ぶそうだ。


「あの迷宮をゴールしたのは誰だと思う?オルだよ、さっすがオルだねー!オルの時は魔法の強さで回転する向きが決まって、ゴールに近づくにつれて魔法の強さが小さくなるだったはずだよ、強い魔法を撃ったら、めちゃくちゃ回転して大変だったって言ってたよ。」

そうだとしたらぼくたちがまっすぐ進み続けた理由が分からないけどゴールを探しているかどうかが鍵なのだろうか。そういえばゴールにはなにかお宝でもあったのだろうか。

「オルは回復魔法が使えるようになったって言ってたよ。実は回復魔法のって人族でも教会ってところが独占して伝承してるから、実際回復魔法を受けるには大金がいるし、すごいことなんだよ。」母は日常的に回復魔法を使っていたし、僕も何度も怪我を治してもらったので実感が湧かない。

それはさておき、大切な問題がまだ残っている。あの時の僕を見る(見てさえもいなかったか)村の大人たちの目は成人の儀でいい成績をとったところで変わるとは認めてくれるとは思えないし、僕にはあんなに嫌われる理由が見当もつかない。

「簡単に言うとね、人族が戦争兵器としてエルフを実験体兼兵器として扱っているから。戦争にエルフが兵器として投入されたときには戦争の憎しみはエルフに向けられるようになって国にとっては英雄であるはずなのにその国民からも恐れ嫌われるようになってしまった。その意趣返しがアルに向かっているんだろうね。」これじゃあ世界が僕たちが仲良くすることを拒んでいるみたいだ。だったらどうしようもないじゃないか。

「そんなことないよ、アルは今自分の視野を無理やり広げられて混乱しちゃってるだけだよ、案外くだらないところに抜け道があったりするよ。差し当たっては私が君と一緒に歩いてあげよう。そうして落ち着いて周りが見られるようになったら、自分の気持ちで意思でやるべきことを決めるんだ。」

目の前の小さな少女にすごく大きな安心感を覚えた。重りが外されたような心持だった。


「明日から早速、特訓を始めるから今日はもう休んでて、何か話したかったら相手になるけどね。」

シシャに案内されて部屋に着く。店の奥は直ぐに地下への階段になっておりいくつか部屋が並んでいた。1番手前の右手の部屋これが僕のこれから過ごす部屋になるらしい。

部屋の机の上には分厚すぎる手紙と真っ赤な深紅色とは対照的な控えめな大きさのネックレスが置かれていた。シシャとお話しする予定はキャンセルするしかないみたいだ。








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