デキるおじさん Part3
「マミ!」
くしゃくしゃ頭の小さな女の子。
玄関をはなさんが開けるなり、奥の部屋から飛んで来た。
「はなさんの娘さんですか。すごい。飛べるんですね」
「娘は飛べます」
はなさんはうなずいた。
「おかえり、マミ!」と元気に飛び、ロケットみたいに外の空を周遊すると、すとんと玄関にまた着地する。
「お名前は?」
「甘露寺蜜璃です」
なかなかの嘘つきだ。
しかも難しい漢字を知っている。
「おじさんは?」
名前を聞かれ、私は答えた。
「私はおじさんだ」
「それはわかってるよ。名前は?」
「デキるおじさんだ」
「嘘つきね」と、はなさんが笑った。
みつりちゃんは5歳で、幼稚園に通っていた。毎日ロケットみたいに飛んで通っているのだという。やはりはなさんが育てた子は一味違う。
旦那とは子供が産まれる前に別れ、結婚していないので離婚もしていないのだそうだった。
年中出しっぱなしらしいコタツに緑茶が出された。緑茶飲料ではなく、本物の緑茶だった。
私がそれを手に取り、ずずと啜ると、体が痺れた。
「毒でも盛ったんですか?」
私が聞くと、はなさんはにっこりと、
「肉体改造の薬ですよ。あなたは今日からスーパー戦隊のヒーローになるんです」
「わたしの仲間ができるの、マミ?」
みつりちゃんが嬉しそうに、
「空飛べる? 壁壊せる? 色は何?」
「さあ?」
はなさんは首を傾げてにっこり、
「すべてはこのおじさん次第よ。何レンジャーになるかも今はまだわからない」
「なるほど」
私は苦しみながら言った。
「私の頑張り次第というわけですね? はなさんのために頑張ります」
「わたしのために?」
はなさんはにっこり、また首を傾げた。
「どういう意味かしら?」
「そのですね」
私は苦しみながら顔を赤らめた。
「そのですね」




