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おじさん募集中  作者: しいな ここみ
第三章:恋するおじさん
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恋するおじさん Part1

 はなさんが馬場さんと結婚すると聞いて、私が笑えるわけがないだろう。私は『なんでもデキるおじさん』だ。宇宙へ飛んだ。一応宇宙服に身を包み、トイズストーリーのあのヒーローのように、足の裏からジェットを吐いて。


 私は『なんでもデキるおじさん』だ!


 はなさんと結婚もデキなければならないのだ!




 追いついた。アダムスキー型の円盤がゆうるりと宇宙空間を浮遊している。あれに乗っているに違いない。はなさんは、馬場さんと、あの中で何をしているのだろうか?


 嫌な場面が頭の中に浮かんだ。私はそれをかき消すため、円盤に乗り込もうとした。しかし入口がわからない。つるんとしていて、開きそうなところがない。仕方ないのでコンコンとノックをすると、窓から美女が覗き、姿を現した。


 はなさんではなかった。


「あ。すみません。家を間違えました」


 私がそう言うと、紫色の美しくカールした長髪の美女は、ふっと笑った。


 私がはなさんを求めて宇宙空間を飛んでいると、さっきのUFOが後をついて来た。たまたま行き先が同じなのかな?と思ったが、どうやらそうではなさそうだ。私が左へ曲がると、それを見てUFOも左に曲がって来る。私が上昇すると、UFOも垂直方向へ動き、ひょんひょんひょんと音を立てながら、ついて来る。


「何か用でしょうか?」

 私は思わず立ち止まった。


 するとUFOのハッチが開く。なるほどそんなところから入れるのか、意外だった、と思いながら、招かれるままに私は中へ入った。



 中はあったかく、空気があった。

 テーブルには紫色のワインが置いてあり、紫のバラが活けてある。

 等身大のおばさんの人形が置いてあった。紫色のワンピースを着ており、長い紫色の髪が顔の半分を隠し、胸には『月影千草』と名札が貼ってあった。


「紫はお好きですか?」

 そう言いながら、さっき窓の中に見た美女が歩いて来た。


「うーん。欲求不満の色とか言いません?」

 と、私は素直な感想を返した。


「こんな広い宇宙の片隅でお会いできたのも何かの縁ですわ」

 紫の髪の美女はそう言うと、新しいグラスに紫色のワインを注いだ。

「乾杯いたしません?」


「すみません。運転中のアルコールは……」

 そう言いかけた私の顎を掴むと、美女は無理矢理ワインを流し込んで来た。


 私はのけぞりながら「ああっ……!」と声を発し、後ろへよろめいた。


「飲んだわね?」

 美女の目つきが変わる。

「飲んでしまったわね?」

 美女の目つきが、まるで脱皮したての蛇の、中身のなくなった目だけのようになり、私を不気味に見つめた。


「あなたは……?」

 目の前がくらくらする。

 性欲が異常に昂りはじめる。


「ふふふふふふふ。私の名前はレディー・ムラサキ」

 美女はそう言うと、手を背中に回し、長い紫色の髪を持ち上げた。

「私の星には男性がいないの。だから、子供が産めないのよ」


 聞いたことがあった。そういう星が、どこかにあると。

 確かその星の名前は……ココミック星。では、この女性は、ココミック星人なのか。

 やばい! 詳しくは知らないが、ココミック星人はヤバいやつらだと聞いている!


「ここに……」

 レディー・ムラサキはくるりと背中を私に向けると、後頭部の髪を、左右に開いた。

「あなたの子種をくださいましっ!」


 開いた後頭部に、まるで車の給油口のような穴が現れた。傍らに『ここに入れてね♡→●』と日本語で書いてある。



 私はこんなことをしている暇はないのだ。


 早く行かなければ、はなさんを永遠に奪われてしまう!



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