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異世界に呼ばれました。え? ラーメンないの? じゃあ帰ります

 突然、取り囲まれている状況になれば誰でも困惑する。もしくは恐怖心を抱くであろう。現に、目の前の男性も自分達を見て狼狽えており、彼を召喚した聖女ユカは疲労困憊で意識が飛びそうなのを耐え、目の前にいる男性に説明する。


「……との理由で貴方様を召喚しました。どうか私達の世界を包み込む危機からお救いください」


「えーと。話は理解しました。ところで……」


「報酬でしょうか? それなら我がシーガ王家が責任を持ってお支払いします。父のレット王から全権委任をされております。どのような財貨でもお渡しします。お望みならハーレムのご用意も可能です。聖女であり王女である私や、あちらにいる大魔法使いであるモーチコもハーレムに入る覚悟があります」


「いや、ハーレムなんてどうでもよくて」


 絶世の美女と称えられる自分とモーチコを一瞥し、どうでもいいと首を振った男性にプライドを傷つけられたユカだが、なんとか笑顔を保ちながら話しかける。


「では財貨でしょうか?」


「確認だけどラーメン屋さんはどこにあるの? さっきまで並んでたんだよ」


「『らーめんやさん』とは? そのような言葉は聞いた事がなく……」


 言葉の意味が分からないユカとモーチコが首を傾げていると、男性が目を見開き周囲を見渡して、1人1人詰め寄って確認する。そして誰もラーメンを知らないと知った男性が絶望した表情を浮かべたまま魔法陣に戻った。


「あ、あの?」


「チェンジで」


 チェンジの意味は分かるが、男性がなぜ『チェンジ』と言ったのか分からない聖女ユカと大魔道士モーチコが顔を見合わせていると、突然魔法陣が光り始めた。一度、起動すればしばらく使用出来ないと言われている魔法陣が突然光り輝く。そんな事象に驚いている2人をよそに男性が軽く首を振った。


「ラーメンがないなんてないわー。帰るんでよろしく」


「え? ちょっと!?」


 男性はやれやれとの表情を浮かべ軽く魔法陣を足で軽く蹴る。カツンと軽やかな音が召喚の間に響き渡り男性の姿は消えた。


◇□◇□◇□


 神殿にある召喚の間で、聖女ユカの詠唱が響き渡る。魔法陣は鈍く光り輝き、四方にはローブを羽織った魔法使い達が全身から汗を流し魔力を供給していた。


「モーチコ様。魔法陣への魔力供給率が80%を超えておりますが、魔法使い達の魔力が枯渇しそうになっております」


「北と西で陣取っている魔法使いは交代。南と東は私が魔力供給しますので下がらせなさい」


「しかし、それではモーチコ様のお命が縮まり……」


 モーチコの言葉に隣にいた魔法使いが抗議しようとしたが、彼女の顔に決意を感じると真剣な表情を浮かべて頷き、他の魔法使いに指示を出した。


「もうすぐ召喚の儀が完了する。何が起こるか分からん。一同、態勢を整えておくように」


「「「 はっ! 」」」


 モーチコと話していた筆頭魔法使いが檄を飛ばす。それに呼応した待機組の魔法使い達が杖を構え、いつでも拘束魔法や防御魔法を展開する準備をしていた。


 ローブに汗が貼り付くのを感じながらモーチコは笑みを浮かべていた。2人分の魔力供給は大魔法使いと呼ばれる彼女であっても困難であり喋る事も出来ない状態だが、部下達の動きは見えており、それを頼もしそうに眺めていた。


『勇者召喚!』


 ひときわ大きな声で聖女が詠唱する。一気に魔力が無くなり、意識が飛びそうになるのをモーチコは歯を食いしばって踏んばり魔法陣を眺める。ユカも魔力枯渇状態で顔面蒼白になりながらも魔法陣を見ていた。一同が固唾を呑みながら見守る中、呑気な声が召喚の間に響き渡る。


「え? どこここ? 行列はどこいった?」


 勇者召喚が成功した事に一同が大歓声をあげるが、ユカとモーチコは鋭い目で魔法陣に視線を送り叫んだ。


「「 また貴方なの! 」」


 これはラーメンが食べられないなら自力で元の世界に還ってしまう男性と、なんとか世界を救ってもらおうと材料を調達し、調理法を研究し上手いラーメンを作り続ける聖女ユカと大魔道士モーチコのファンタジー物語である。


……。ちなみに魔王の名前はクローネと言います。彼は焼肉が大好きです。

勢いで書いたの先の展開は全く考えておりません。

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