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追放された万能魔法剣士は、皇女殿下の師匠となる漫画4巻が2025/1/15から発売中  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第五章

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84話 どんなことにも犠牲はつきもの

 死都ネクロポリスの攻略に集まった冒険者は、二百十人。

 普通は多くても二十人程度で行動する冒険者からすると、かつてない規模の攻略作戦といえる。


 ただ、たいていの遺跡の道は狭く、多くの冒険者を集めれば、それだけ有利になるというものでもない。


 クレオン救国騎士団の団員が、集まった冒険者の半数を占めている。

 そのなかには、聖騎士クレオン、占星術師フローラ、守護戦士ガレルス、そして賢者アルテといった旧聖ソフィア騎士団の十三幹部の何人かが含まれている。


 救国騎士団に合流した冒険者パーティ、例えば旧バシレウス冒険者団、旧金字塔騎士団などの人々も聖ソフィア騎士団の面々に負けないほどの力量を持っている。


 残りのうち、数十人は政府が様々な手を尽くしてかき集めてきた冒険者だ。軍人もいる。

 

 そして、最後の三十人は俺の味方だ。

 

 死都ネクロポリスの入り口に立って、俺は彼らを見渡した。

 白壁の古代の宮殿が目の前にそびえ、その宮殿の施設だった庭園跡に、俺たちは集まっている。


「実力者が揃えられてよかったですな」


「ラスカロスとライレンレミリアのおかげだよ」


 ノタラスの言葉に、俺はしみじみと答えた。

 この二人の協力がなければ、この人数の味方を集めてはこれなかった。


 ラスカロスたちは相変わらず旧聖ソフィア騎士団の白い制服に身を包んでいる。


 一方、ライレンレミリアの実家の子爵家お抱えの冒険者たちは服装も武器もばらばらだった。


 ただひとつ共通しているのは、彼ら彼女らには主の娘であるライレンレミリアに強い思い入れがあるということだった。

 

 その筆頭らしき女性が進み出る。

 黒いローブに身を包み、重厚な杖を手にしたその姿は典型的な黒魔道士だった。


「あなたがソロン殿ですね?」


「そのとおりです」


「お嬢様の危機を救ってくださり、なんと感謝の言葉を申し上げてよいか……ともかくお礼を言います」


 ナーシャと名乗ったその女性は、青い瞳で俺を見つめた。

 綺麗な瞳だ。

 そして、相当の実力をもった魔道士であるということもわかった。


 ノタラス、ラスカロス、ナーシャ、そして俺たちがいるかぎり、クレオンもそう簡単にはフィリアに手を出せないだろう。


 クレオンたちが俺に近づいてきた。

 彼は渋い顔をしているかと思ったら、意外にも上機嫌だった。


「これほどの人数の冒険者を集めてきてくれるとはな。ソロンには感謝しないといけない」


 クレオンの隣には賢者アルテがいて、俺を忌々しげに見ていた。

 よほど不愉快なのか、アルテの黒色の瞳は普段の数倍の鋭さだった。


「別にソロン先輩たちがいなくたって、作戦は成功します」


「とはいえ、味方が多いにこしたことはないさ」


 クレオンは、フィリアを守ろうという俺の意図に気づいていないのか。

 それとも、なにか別に思惑があるんだろうか?


 俺はクレオンに言う。


「クレオンたちは、ネクロポリス攻略成功は間違いなしだと言った。もうひとつ約束してほしい。なるべく誰も傷つかないで、誰も死なずに地上に戻れる方法を探ってほしい」


「それは無理だな」


 クレオンはあっさりと言った。


「もちろん、無駄な犠牲者は出さないつもりだ。できるかぎりの安全には配慮する。だが、この戦いで犠牲者が出るのは避けられないだろう」


「犠牲が出るとわかっている冒険なんて、するべきじゃない」


「俺はそうは思わない。この国のため、人類のため、犠牲を出しても進むべきときがあるんだよ」


「クレオンは、同じことをシアの前でも言える?」


 クレオンはぴくっと震え、急に言葉を失ったようだった。

 やっぱり今でも、クレオンにとってシアは大事な仲間で、特別な存在なのだ。


 ずっと前に死んでしまったとしても。


 クレオンの代わりに、アルテが答える。


「シアってあたしが騎士団に入る前にいた人でしたっけ。クレオン先輩たちの仲間になったけど、足手まといで、しかも遺跡の雑魚魔族に殺されて、あっさり死んじゃったんですよね」


「アルテ。シアは俺たちの仲間だったんだ。言い方を考えてほしいな」


 俺がたしなめると、アルテはむっとした顔をした。


「実力が足りなかった人のことを足りなかったって言って、何が悪いんです? 力が足りなかったなら、惨めに死んでしまったのもシアって人自身のせいでしょう?」


「アルテ……」


「そんな人が今も生きていて、ソロン先輩みたいに騎士団幹部になっていたかもしれないと思うとぞっとします。シアって人は死んでしまって当然だったんですよ」


 さすがに俺も声を荒げてアルテに抗議しようかと思ったが、隣のクレオンの様子を見て、やめた。

 クレオンがアルテを憎悪のこもった目で見ていたからだ。


 俺は背中に冷や汗が走るのを感じた。

 クレオンの瞳には、今にもアルテを殺しかねないような激しい怒りの色があった。


 アルテはといえば、それにまったく気づいていないようで、平然と俺を見たまま微笑んだ。


「どんなことにも犠牲はつきものです。だから、このネクロポリス攻略にも犠牲者は出るでしょう。それでも帝国のため、そしてより素晴らしい力のためなら、どれほどの犠牲を出しても許されるはずです」

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