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追放された万能魔法剣士は、皇女殿下の師匠となる漫画4巻が2025/1/15から発売中  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第三章

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49話 決戦

 聖女ソフィアは普段どおりの純白の修道服をまとっていたが、その顔は真っ青で、翡翠色の瞳は大きく見開かれていた。


 ソフィアの瞳は鋭くアルテたちを見つめていて、燃えるような激しい怒りに彩られている。


「わたしはアルテさんがここまで愚かだったなんて知らなかったよ」


 しかし、賢者アルテの耳にはその言葉が届いていないようだった。

 アルテは目を輝かせ、ぱぁっと明るい表情になった。


「聖女様! またお会いできて嬉しいです!」


「わたしも本当なら嬉しいって言いたいよ。アルテさんはわたしを慕ってくれていたんだから。でも……こんなふうにライレンレミリアさんに大怪我させて、ソロンくんを傷つけようとするなら、わたしはアルテさんのことを許さない」


 言うと同時に、聖女ソフィアはイチイの杖を握って前へと飛び出した。


 杖をアルテに向けたソフィアは、「主よ、あなたは私の盾であり、剣です。罪人の私に力をお貸しください!」と教会式攻撃魔術を詠唱した。

 

 けれど、詠唱から魔術発動までの隙を狙い、双剣士カレリアが踏み出して剣を振りかざし、ソフィアの杖をその刃に捉えようとした。


 カレリアの狙いは外れた。

 その二つの剣は弾き返されたのだ。


 俺がソフィアの前に立ち、宝剣テトラコルドでカレリアの斬撃を受け止めたからだ。


 一方で聖女ソフィアの詠唱した攻撃魔術は大きな白い光の渦となり、上空からアルテに向かって降り注いでいた。

 

 アルテは一人では支えきれないと判断したのか、双子の妹の占星術師フローラと一緒に上空へ向けて手をかざし、攻撃を受け止めようとした。


 賢者アルテはなんとか踏みとどまったけれど、フローラのほうは攻撃に耐えきれず吹き飛ばされた。

 フローラは防御をとりつつあったようだから、大きなダメージを受けていなかったようだけれど、それでも屋敷の柵に背中から叩きつけられ、気を失ったようだった。


 ともかく、俺はソフィアに叫んだ。


「ソフィア! 戦闘より先にライレンレミリアの治療をしないと手遅れになる!」

 

「わかっているよ……わかっているけど、回復魔術を使っているあいだにソロンくんが殺されちゃう」


 ソフィアがつぶやいた。

 聖女ソフィアは偉大な力を持った魔術師だけれど、弱点がないわけじゃない

 詠唱と発現に時間のかかる魔術が少なくないのだ。


 ライレンレミリアは重傷で、聖女の力を使っても、その傷を直すにはある程度の時間がかかりそうで、治しているあいだの聖女は他の魔法を使えなくなる。


 そして、もはやソフィアがここに現れた以上、アルテが戦闘開始をためらう理由はない。

 俺一人で複数の幹部を相手にすれば、確実に殺される。

 

 そのとき、ずっと黙っていた敵の双剣士カレリアが口を開いた。

 

「聖女様がライレンレミリアを治しているあいだ、私たちは剣士ソロンの安全を保証する」


 カレリアは真剣な目で俺を見つめた。

 機工士ライレンレミリアは騎士団にとって重要な戦力だから、死なせるつもりはないらしい。

 つまり、ライレンレミリアを治療しないと困るのは向こうも同じようだった。


 賢者アルテは、やむを得ないという感じでカレリアの言葉に同意した。

 一応、信用してもいいのだろう。


 ソフィアはライレンレミリアのもとに駆け寄り、傷つくライレンレミリアの足元に杖を軽く当てた。

 そして、教会式魔術の詠唱を行った。


「我らの神よ、傷ついた者を憐れみ給え。我らはみな十字架を背負う罪人。この者を癒やし、御名のために義の道を歩ませてください」


 瞬間、空気が変わった。

 まばゆいばかりの光がライレンレミリアを包み込み、その周りの光景が歪んで見えた。


 あまりにも大きな魔力が空間に干渉しているのだ。

 さすがは聖女ソフィアというべきか、俺の使う回復魔術とは格が違う。


 二分ほど経って、ようやくソフィアの回復魔術は完了した。

 

 これでライレンレミリアは少なくとも命を落とすことはないだろう。

 ただし、回復魔術は怪我のすべてが治せるわけではないので、後は医学や薬学の出番ということになるし、すぐにライレンレミリアを戦闘可能な状態にすることは難しそうだ。


 さて、敵は占星術師フローラがすでに戦いから脱落している。


 残るは賢者アルテ、双剣士カレリア、および、その他数名の女性の一般団員だ。


 一般団員数名もそれなりの実力者が集められてきているように見えたし、数を力として取り囲まれると面倒だ。


 俺と聖女ソフィアは隣同士に並んで、それぞれの武器を構え、敵と対峙した。

 いよいよ決戦だ。

 

 さて、どうすればいいだろう?


 たとえば、こちら側も対抗して多くの味方を用意できれば良いのだけれど。

 そのとき、俺の隣に一人の男が立った。


「いやはや、ご迷惑をおかけしましたな、ソロン殿」


 声の主は、さっきまでアルテに暴力を振るわれて、地面に這いつくばっていた召喚士ノタラスだ。

 三人目の強力な味方が復活したのだ。

 俺は自分の声が弾むのを感じた。


「ノタラス! 怪我はない?」


「大きなものはありません。さきほどのソフィア様の攻撃があったおかげで、態勢を立て直すことができました」


 ノタラスは痩せこけた頬に笑みを浮かべた。

 その眼鏡の奥の瞳がキラリと光る。


「さて、不意打ちのせいで失態を晒してしまいましたが、挽回させていただくとしましょう。……来たれ、地より出でし魔の者たちよ!」

 

 召喚士ノタラスは杖を振りかざして叫んだ。

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