258話 公爵令嬢の結婚
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『婚約破棄されました。でも、優しくてかっこいい幼なじみ執事と結婚することにしたから幸せです!』
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「俺とリディアお嬢様が……タル―サに帰る?」
「そんなに驚くこと?」
リディアは――俺の幼なじみの公爵令嬢は、茶色の美しい髪をかき上げ、ふふっと笑った。
そして、リディアは茶色の澄んだ瞳でまっすぐに俺を見つめる。
「わたしはね、ソロンの夢を応援してた」
魔法学校を卒業して、自分の力を試してみたい。それがかつての俺の願いで、そして、それをタルーサ公爵とリディアは叶えてくれた。
けれど、俺は帝国最強の騎士団を作ったものの、そこから追放されてしまった。
俺の夢は一度終わったのだ。
でも、とリディアは言う。
「別の形で、ソロンは力を試してみたくない?」
「別の形、ですか……?」
「わたしたちの故郷タル―サは、大規模な遺跡の発見が相次いでる。ただの辺境じゃなくて、これからタルーサはもっともっと発展していくはず」
「たしかに俺とリディアお嬢様で、冒険者として遺跡の開拓に挑戦すれば、成果は上げられそうですが……」
「それも魅力的だけどね。でも、わたしが言いたいのは違うの」
そして、リディアはぐいと身を乗り出した。互いの距離が近づき、女性特有のふわりとした甘い匂いに、俺はどきりとする。
メイドのクラリスは、むうっと頬を膨らませてそんな俺たちを見ている。
だが、リディアはそんなこと、お構いなしだった。
「わたしって、昔は病気のせいで子供が産めない身体だって言われていたでしょう?」
「そうでしたね」
俺が魔法学校に入学する直前、12歳のころのリディアは本当に病弱で、いつ死んでもおかしくないほどだった。
大量に吐血した後には、子供を生むことはできないと宣言され、貴族の娘として他家に嫁ぐことは不可能になっていた。
そんな病弱なリディアの看病をしていたのも、俺だ。俺にリディアは懐いてくれていたと思う。
といっても、歳は一つしか違わなかったけれど。
今は俺は23歳、リディアは22歳。すっかり大人になった。しかも、リディアはスタイル抜群の超絶美女になっている……。
リディアは端正な顔に不思議な笑みを浮かべる。
「わたしね、病気も治って子供を産めるようになったの」
「ほ、本当ですか! それは良かったです! そうしたら婚姻も――」
「貴族に嫁ぐつもりなんてないよ?」
「え?」
「わたしが結婚したい相手は、昔からずっと一人だけ」
潤んだ瞳で、リディアは俺をじっと見た。その頬はほんのりと赤い。
リディアは恋する少女のように、とても恥ずかしそうな表情をしていた。
まさか、と俺は考える。
俺の予想は当たっていた。
「ねえ、ソロン。公爵になるつもりはない? わたしは――ずっとソロンと結婚したかったの」
リディアは歌うような綺麗な声でに、俺にはっきりと告げた。
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