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追放された万能魔法剣士は、皇女殿下の師匠となる漫画4巻が2025/1/15から発売中  作者: 軽井広@北欧美少女2&キミの理想のメイドになる!
第八章

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197/212

196話 賢者の教育

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また、書籍版が発売しました! ソロンとフィリアの出会いを描く書き下ろしやキャラクターデザイン、世界地図、コミカライズ予告、等々も載っています!

挿絵(By みてみん)

 俺はアルテのリハビリを手伝っていて、アルテは俺にされるがまま、マッサージを受けていた。

 部屋で二人きりで、しかもアルテはベッドの上。


 少し……気恥ずかしい。

 アルテはアルテでリラックスしているようだけれど、頬は赤いままだった。


 沈黙していると、どんどん空気がおかしくなっていきそうだった。

 困っていると、アルテの方から口を開いてくれた。


「フローラのことなんですけど……」


「助けられなくてごめん。まだ目が覚めないみたいだし……今のところ、他に方法もないし……」


 アルテを癒やした大魔法でもフローラを救うことはできていない。

 フローラはいまだに眠ったままだ。


 アルテはうつむいた。


「あたしが……いけないんです。あたしのせいでフローラはあんなふうになっちゃいました。だから……今度はあたしがフローラを助ける番です」


「そうだね。俺も協力するよ」


「はい……ありがとうございます」


 俺もフローラを救いたいが、何よりもフローラの身を案じているのはアルテだろう。

 双子の姉なのだから。


 ただ、アルテがフローラを助ける方法を見つけるには、アルテ自身が立ち直ることが不可欠だ。

 だからこそ、リハビリをしっかりやって、クラリスと一緒にメイドをやって、日常を取り戻してほしい。


 と考えて、やはり、俺は目の前の状況に意識が戻る。

 昔学んだ医学書の知識によるかぎり、次にマッサージするのは足の付根だ。


 けど、そんな際どいところに触れるわけにはいかない。アルテは女性なんだから。

 俺がためらっているのを見て、アルテは「どうしたんですか?」と尋ねた。

 俺が事情を説明すると、アルテは顔をますます赤くして、でも、「やってください」と言った。


「でも……」


「なるべく早く回復したいんです。そのために必要なことなら……ちょっと恥ずかしくても我慢できます」


「ええと、うん、そういうなら……」


 まあ、このマッサージはさいわい、服の上からでも大丈夫そうだ。


 俺はアルテの足の付根のあたりに手を置いた。

 かあっとアルテが耳まで赤くなる。

 俺もうろたえたが、本人の希望だ。俺は手に力をこめようとし……。


「ソロン、何をやってるの?」


 ぎょっとして、俺は部屋の入口を振り返った。

 そこにはフィリアがいて、青い瞳で俺を睨んでいる。

 頬を膨らませて、とてもご機嫌斜めのようだった。


「どうしてフィリア様がここに?」


「だって、ソロンが戻ってくるのがとっても遅かったもの。二人きりでお話して……何をしていたの?」


 俺とアルテは顔を見合わせ、そして、慌てて互いから離れた。

 これでは、まるでやましいことがあるみたいだ。


「ふぃ、フィリア様……これはリハビリのためのマッサージでして……」


「ふうん。女の子のアルテさんのマッサージを、ソロンがしていたんだ?」


 俺が困っていると、アルテが恥ずかしそうに小声で言う。


「あの……あたしがソロン様にお願いしたんです」


「ソロン様って呼ぶんだ。……もしかして、アルテさんも、ソロンのことを好きになっちゃった?」


 アルテはきょとんとして、すぐに大きく首を横に振った。


「そ、そんなことないです! これはわたしがソロン様の奴隷だから……メイド見習いだから、そう呼んでるだけで」


「本当かなあ」


 フィリアは疑わしそうに言ったけど、すぐに微笑んだ。


「ま、いっか。ね、マッサージ、わたしが代わってあげようか?」


「え? 皇女殿下にそんなことをしていただくわけには……」


 アルテは驚いた様子だった。

 まあ、たしかに皇女のすることではない気もする。

 とはいえ、アルテはかつて、フィリアを魔王復活の犠牲にしようとしたこともあるのだから、今更感もあるけれど。


 俺としても、フィリアがやってくれるなら助かる。

 俺自身がやったほうがいいことはたしかだけれど、俺の指示さえあれば、フィリアに手を動かしてもらっても効果はあるはずだ。


 俺の指示通り、フィリアはマッサージをしはじめた。


「あ、ありがとうございます、殿下……」


 縮こまるアルテに、フィリアが笑いかける。


「いいの。だって、わたし、人の役に立ちたいんだもの。これでアルテさんが助かるなら、お安い御用だよ?」


 マッサージだけでなく、アルテが奇跡的に回復できたのもフィリアの力だ。フィリアはアルテの力となっている。


 なら、逆はどうだろう?

 俺はひらめいた。


「アルテ……頼みたいことがあるんだ」


 アルテとフィリアが俺を一斉に振り向く。

 俺は咳払いをして、ゆっくりと告げた。


「元賢者として、フィリア様の魔法の訓練に協力してほしいんだよ」

★★★あとがき★★★

ソロンとフィリアの出会いを描く書き下ろし等を収録した書籍が9月10日より発売中です!


ちょっぴりでもいいな、アルテが可愛いな、と思っていただけましたら、


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二度目になりますが、↓のURLの新作『やり直し悪役令嬢は、幼い弟(天使)を溺愛します』もよろしくおねがいします! おねショタラブコメです!

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