186話 テストのご褒美は……キス?
☆まえがき☆
だいぶ久しぶりに登場する人物がいます。
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俺がテーブルの上に置いた灯油ランプを、フィリアは操作していた。
「ええと、中の機械を締めて……それで、灯油を油壷の七割まで入れて……」
フィリアがつぶやきながら、灯油ランプの点火の準備を進めていき、そしてマッチをこすって火をつけた。
教えたとおりの手順だ。
灯油ランプが、ゆらゆらと暖かい色の明かりを灯す。
「できた!」
「屋敷で使うような燭台と比べて、手順が面倒ですが、一度明かりをつければ七時間は連続して使えますよ」
俺の言葉に、フィリアはこくりとうなずく。
「それに……この明かり、なんだか綺麗だね」
「灯油ランプは安心感のある色の光になるんですよ。魔法で作った炎ではないから、かもしれませんね」
「そうかもね」
くすっとフィリアは笑い、ランプの明かりを見つめた。
フィリアの白い頬がランプに照らされる。
「あとは地図の読み方を覚える必要がありますね。遺跡の地形図は、特殊な記号が多いですから。ただ、覚えてしまえば、ひと目でどんな脅威があって、どう攻略を進めればいいかわかるようになります」
俺はテーブルの上に、ネクロポリスの地図を広げた。
前回の攻略作戦で得られた情報を加味したものだ。
この種の地図は、帝国軍の遺跡調査部第一課が定期的に作成している。
そして、各地の街で販売され、冒険者たちが攻略に役立てるのだ。
「これが一方通行、つまり一度進むと戻れなくなる通路の記号です。あとは隠し扉の記号は三角に斜線が加えられています」
俺の説明に、フィリアはうんうんとうなずいている。
とはいえ、記号はたくさんあるし、地図の読み方はすぐに覚えられるものではない。
俺は一通り説明した後、フィリアに記号の対応表を渡し、微笑んだ。
「というわけで、これを覚えてください。明後日、テストします」
「て、テスト!?」
「はい。全部で二十問です」
「た、大変そう……」
「嫌ですか?」
「ううん。勉強しているって感じがして……ソロンの弟子なんだって感じがしていいかも。でも、合格したらご褒美がほしいな」
「ご褒美、ですか」
「たとえば、キスしてくれるとか」
「……しませんよ?」
「ほっぺたでも?」
「……まあ、満点をとったら、いいですよ」
「やった!」
フィリアが嬉しそうに微笑む。
頬にキスなら、一度やったことがあるからまあ問題ない……と思う。
我ながら、甘すぎるかもしれない。
ただ、そう簡単には満点はとれないはずだ。
「他にもフィリア様には覚えていただきたいことがあるんです。たとえば、遺跡に持っていく食料品の扱い方とかですね」
「うん! なんでも覚えるよ。ソロンと一緒に遺跡に行くためだもの!」
フィリアは嬉しそうに微笑んだ。
そのとき書斎の扉をノックする音がした。
誰だろう?
メイドのクラリスだろうか?
「どうぞ」
俺の言葉に続いて、扉を開けたのは意外な人物だった。
「ソロン……アルテに会わせてくれる?」
扉に立ち、薄手のワンピースを着ていたのは、騎士団元幹部にして、今はうちの屋敷の住人のライレンレミリアだった。







