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1話 器用貧乏の魔法剣士、追放される


新作ラブコメ×料理×義妹を投稿中です! こちらもぜひ!


タイトル:【連載版】幼馴染に振られた俺が、国民的アイドルの義妹に手料理を振る舞った結果

URL:https://ncode.syosetu.com/n3415ij/


 トラキア帝国は大陸最大の覇権国家だ。しかし、帝国の人口の急激な増加は深刻な資源不足と土地不足をもたらした。

 

 そこで注目を集めたのが、帝国の無数の地下遺跡。それは、財宝や資源の宝庫で、増えすぎた帝国臣民の移住場所ともなる、夢の場所だ。

 

 しかし、遺跡には手強い人間の敵たちがいる。

 彼らは、魔族と呼ばれる遺跡の住人で、普通の人間では歯が立たない。

 

 そこで地下遺跡攻略のために、冒険者パーティーが派遣される。

 実力ある冒険者パーティーは、魔族を殲滅して地下遺跡攻略を次々と成功させ、人々から英雄として熱狂的に迎えられていた。


 そのなかでも、帝国最強と言われる冒険者集団の一つが、聖ソフィア騎士団だ。

 

 騎士団を結成したのは、聖女ソフィア、聖騎士クレオン、そして俺、つまり魔法剣士ソロン。


 聖女ソフィアは騎士団の団長。パーティーの切り札であり、団員の結束の象徴でもある。飛び級で魔法学校を卒業して、しかも首席だった。治癒の力と超大型の攻撃魔術を使いこなせる天才美少女だ。

 

 クレオンは若き聖騎士として聖剣を使いこなし、規格外の攻撃力を持っている。

 

 そして、俺は副団長である魔法剣士ソロン。剣と魔法を切り替えながら使い、攻守・回復・支援のすべてをこなしてきた。


 騎士団は、もともと、魔法学校の同級生だった俺たちが、魔法学校卒業とともに作った小さな冒険者パーティーだった。

 

 けれど、わずか数年で俺たちのパーティーは、難関地下遺跡の攻略に次々と成功。帝国政府からも騎士団の勅許を受け、冒険者の憧れの的となっていった。

 

 騎士団の幹部も十三人に増えた。そのそれぞれが帝国最強クラスのスキルの持ち主でもある。

 

 いまや騎士団の団員になるのは、冒険者にとっての最高の名誉の一つとさえ言われているのだ。

 

 だから、副団長である俺の名前も、どこの町でも誰もが知っている。


 けれど――。


「悪いけど、君は追放だ。ソロン」


「…………へ?」


 戸惑う俺の肩を長身の青年が叩いた。聖騎士クレオンだ。

 ここは帝国東方の港町にある騎士団本部。

 その会議室に呼び出されたら、どういうわけか騎士団幹部十人が揃いも揃って彼の後ろに控えている。

 聖女ソフィアを除けば、栄誉ある聖ソフィア騎士団の幹部の全員が集まっていた。


 俺はひととおり彼ら彼女らを眺めて、それからクレオンに尋ねた。


「クビってことかな?」


「そういうことだ。副団長を解任し、団員の身分も剥奪する。理由を言ったほうがいいか?」


「へえ、教えてくれるのか。さすが聖騎士様、親切だね」


 クレオンは俺の軽口に答えず、目を伏せた。

 代わりに仲間の女賢者アルテが進み出る。黒髪黒眼の美少女で、聖女ソフィアと並ぶと絵になると帝都では評判だった。

 帝立魔法学校での俺たちの後輩であり、学校を首席で卒業した秀才でもある。

 そのアルテの言葉はかなり辛辣だった。


「あのですね、追放の理由なんて、ソロン先輩が役立たずだからに決まってるでしょう?」


「役立たず? 俺はいつも剣で戦い魔法で攻撃し、盾で味方を守って仲間を回復させていたよね?」


「それがダメなんですよ」

 

 吐き捨てるようにアルテは言った。


「たしかにあなたは魔法剣士だから、剣の腕も悪くはない。攻撃魔法の腕もそこそこ。盾で敵の攻撃を受けることも一応できるし、回復魔法もちょっとは使えます」


「それが俺の役割だったからね」


 聖女ソフィアと聖騎士クレオンが担当できないスキルをすべてバランスよく使いこなせるというのが俺の強みだった。

 聖女も聖騎士も能力は圧倒的に高いが、特化型なせいでスキルが偏っている。

 

 だから、仲間が俺とソフィアとクレオンの三人だけだったころは、魔法剣士である俺が万能型でなければ、パーティーは成り立たなかった。


「だけど今の騎士団のメンバーとレベルでは、あなたのスキルってどれも中途半端なんですよね。器用貧乏ってことです」


「俺だって努力してスキルのレベルを上げているよ」


「そんな努力は無駄なんです。攻撃魔法は先輩じゃなくてあたしが使えばいいでしょう。だって、賢者であるあたしの方がずっと強力な魔法が使えるんですから。盾役はもっと高い防御力のある人がふさわしいんです。剣で戦うなら、聖剣使いのクレオン先輩の方がずっと技量が上。回復はあの規格外の聖女様がやればいい」


 俺は反論しようとして……反論の言葉が見つからなかった。

 部屋の隅の鏡を見ると、そこには引きつった笑みを浮かべた俺の姿があった。

 アルテはため息をついた。


「こないだの遺跡でも高位の魔族と戦うときは、先輩は何もできてなかったです。自分の身を守るのに精一杯。ほんの一欠片だって戦闘に貢献できていませんでしたよね?」


「……たしかにそうかもしれないけどね」


「あなたは何の役にも立ててない。あなたはあたしたちの誰かの劣化版なんです。もっと優秀な代わりはいくらでもいるんですよ。あなたみたいな中途半端な人が仲間にいて、しかも副団長だなんて、迷惑なだけ」


 アルテが言い切ると、他の幹部たちもうなずいていた。

 彼ら彼女らを代表して、クレオンが無表情のまま告げた。


「君の追放は幹部全員で決めたことだ」


「俺も幹部だったよね? 俺の意見は無視するってことかな」


「今日からは君は幹部じゃない。足手まといは、いらないんだよ」


 俺の知らないところで、すべては決められていた。

 もう俺は、彼らの仲間ではないという。

 幹部の誰も、俺の味方ではなさそうだ。

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