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反撃2

少年side

「聖堂院?」


 僕が声を上げるとソーラは静かに頷いた。

 聖堂院と言うと、以前にシスターを取り囲んだ人達の関係者という事だろうか?

 関係者というだけで、直接的な顔見知りかは分からないけれど。


「聖堂院、全員、帰った」


 再度ソーラはそう補足する。

 取引の現場にサニャを行かせたのは一種の囮の様な物だった。

 現場に来た相手を組み伏せて事情を聴き出せれば良いが、恐らく無理だろうと思ったから。

 そこで、サニャが相手と揉めている間にソーラの鼠を紛れ込ませて置いたのだ。


 あとは相手と一緒にアジトに帰った鼠が、アジトの場所も教えてくれるという寸法だ。


「マエマエから思ってたケド、ズルいわよねソレ。空巣とかやりたいホーダイって感じ」

「握り放題、弱み、スズの」

「アァン?」


「まぁまぁ」と二人の間にセンリンが入る。

 その様子を見てシスターが毎度の溜息を吐いた。


「それにしても聖堂会とはね」

「思ったより面倒な相手だね。そもそも何でシャルを狙っているんだい?」


 サニャが疑問の声を上げると、シスターが以前の件を簡単に説明した。

 偽シスター容疑で囲まれ、僕を祭神と嘯いて事なきを得たという滅茶苦茶な話だ。

 実際シスターが偽物なのは真実だし、僕の存在も真赤なデタラメな訳で。

 正直恨みを買ってしまってもおかしな話じゃない。


「恨みを買う、と言うよりはシャルルを利用するつもりでしょうね」

「内部での派閥争いの為かい? 確かに上の連中からすれば本物かどうかは二の次だろうね」

「一応、前の奴らに口止めはしたのだけど、流石に完全に、とまでは行かないか」


 やれやれとシスターは面倒くさそうに溜息を吐いた。

 その様子にスズさんはジト目で睨んだ。


「そもそも、オマエがそんなカッコーしてんのがワルイのよ」

「はいはい悪うございましたわよ。この度は私の不徳の致す所でございますわ」

「チッ。ンデ、ドーするわけ? 聖堂会相手だとショージキ、キリがないわよ。根絶やしにでもする?」

「いや、今回の件で言えば、逃げていった一派を黙らせれば解決するんじゃないかな?」


 シスターの予想が正しいのであれば、彼等は僕を内部での勢力争いに使うつもりらしい。

 僕という宗教上の生きた偶像を使う事で、他の信徒からの求心力を強めるんだとか。

 正直僕には難しくて良く分からないんだけど、そんな事で他の信徒が言う事を聞くものだろうか。


「彼等からすればシャルは政治的切札になりうる存在だ。ほいほい他言するとは思えない」

「他のイッパに気付かれる前にブッ潰せば、鎮火するってワケね」

「恐らくね」

「ナルホドね」


 スズさんはサニャの言葉に納得するも、なんとも不審な目を彼女に向けていた。


「トコロで、オマエはさっきから何やってるワケ?」

「何って、シャルに慰めて貰ってるんだ。一仕事終えたんだし良いだろ別に」


 咎める様なスズさんの口振りにサニャは悪びれる様子もなく堂と言い放つ。

 しかし彼女の姿はその口振りとは遥かに遠い姿をしていた。

 サニャは体を丸め、頭を僕の膝に乗せて寝転がっている状態だ。

 彼女は僕の手を弄ったり、自身の頭に乗せたりと先程から随分とやりたい放題だった。


「イヤイヤ、意味ワカんないわよ。なんで慰めても貰うヒツヨーがあんのよ」

「恐怖の抜けない路地裏で、複数の相手と一人で対峙してきたんだよ。ご褒美位良いだろ?」


 実際帰ってきた時のサニャは、調子よく戦果を語る姿とは裏腹に少し顔色が良くなかった。

 最初はふざけて僕の胸に飛び込んできたかのと思っていたけど、微かに体も震えていた。

 だから僕も大人しく彼女の好きなようにさせている。

 正直、僕自身も少し責任を感じているから、少しでもサニャの心の支えになりたい。


「シャルゥ、スズったら酷いんだよ。私は頑張ったのにさ」

「う、うん。サニャはよく頑張ったよ。えらいえらい」


 僕の膝の上でゴロゴロと甘えるサニャに戸惑いながらも、僕は調子を合わせる。

 頭に手を乗せ撫でてやると満足気な笑みを零した。

 その姿にスズさんは台所に沸いたナメクジを見る様な目をしていた。


「あー、凄い落ち着く。ずっとこうしていたい」

「ウワァ、純粋にキモいんだけど」

「羨ましい? スズ、やせ我慢」

「お前等の騎士団って頭にカビが生えた奴しかいない訳?」

「ち、チガウわよ! あ、あんなのとドールイにしないでくれる!」


 周りの言葉も物ともせずに、サニャは僕の手を握り満足そうに胸に抱きよせた。

 なんだか呆れてしまうけれど、彼女の笑顔を見るとこれも悪くはないかなと思った。

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