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脱兎1

センリンside

 調べた所、彼を連れていったのは第三騎士団というものらしい。

 ペルシアと言う方のしせつなんとかで、まぁ取り合えず彼女の屋敷に居るんじゃないでしょうか。


 そんなこんなで屋敷を探したら、まぁ王都の広いこと広いこと。

 結局、そこを探し出すのにも随分と時間がかかってしまいました。

 というわけで早速訪問と相成ったわけですが……




「だから通せないと言ってるでしょ!」

「そこをなんとかなりませんかね?」

「誰とも解らぬ人物を通す訳には行きません」

「そう言わずに、直ぐに終わりますから」

「あまりしつこいと牢屋に入って貰う事になりますよ」


 入口で足止めをくらってしまいました。

 どうやら気軽に訪ねられる場所ではないようです。

 ううむ、気が進みませんが仕方ありません。


 私は門番の方に追い払われるように退散する。

 そのまま、ぐるりと彼女達から見えない位置まで回り込む。

 そして、屋敷を囲んでる高い塀を一足で飛び越えた。

 こんな無作法、あまりしたくはないのですけど。


 一息に庭を駆け抜けると、近くの窓を開けて、屋敷の中へと忍込んだ。

 これではまるで泥棒です。

 屋敷から彼を連れ去ろうとしているのですから、あながち間違いではないですが。


 中の方々に気付かれぬよう、そろりと廊下を歩く。

 よくよく考えると、彼が何処に居るかも分かりません。

 しらみ潰しに行くしかありませんか。



 そんな悠長な事を言っていたら、いつの間にか屋敷は騒ぎになっていました。

 どうやら、防犯用の魔法があったようです。

 屋敷の方々は私を探して、右往左往しています。


 私はとある部屋に身を潜めてますが、見つかるのは時間の問題でしょう。


「見つけた、侵入者」


 ほらね。


 メイド服を着た小さな可愛らしい女の子。

 机下に隠れた私を赤い眼で覗きこみます。


 咄嗟に逃げようかと思いましたが、なんだか騒ぐ様子がありません。


「決して怪しい物ではないですが、これ位の男の子が居る部屋を知りませんかね?」


 なので、私は逃げずに彼の居場所を聞いてみました。


「知ってる」

「誠ですか! どちらに?」

「突当たり、上がる、階段」

「突当たりの階段を上がるのですね?」

「そう」


 彼女は頷いて指を三本立てた。

 三段上るという事でしょうか?

 さらに彼女は頷く、どうやら正解らしい。


「有難うございます!」

「頑張って」


 彼女はそう言って私を見送った。

 誰だか存じませんが、優しい方も居るものですね。



 突き当たりに階段はなかった。

 だけど近くにあった適当な階段を上る。

 三段上がって突当たりに行けば同事でしょう。


 私は流れるように走る。

 そして階段を三階上がって突き当たり。


「おや、君が侵入者かい?」


 そこで待っていたのは前髪で片目を隠した一人の女性。

 赤毛に黒い羽根を携えた女剣士でした。

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