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僕と鎖と修道服2

「なるほどね」


 民家の中で、僕は事情を説明した。

 と言っても、気付いたらここに居た。

 以上の説明はしようがないんだけど。


「信じてくれるの?」


 こんな滅茶苦茶な話を、彼女が信じてくれる事が驚きだ。


「まぁ、アンタがここに居ることは興味ないし」


 腕を組んで、壁に寄りかかりながら、そう言い捨てる。

 睨むような目付きで、僕を値踏みするように観察する。


「私が興味あるのは、さっきのアレ。魔法よね?」


 その言葉に静かに頷く。

 魔力を火に変換するのは、魔法の初歩だ。

 苦手な人でも、指先位の火を出すことは簡単にできる。

 そんなに疑問を感じる事ではないと思うんだけど。


「は? 本気で言ってるの?」

「も、もちろん。魔法使いならって話だよ」


 彼女の驚き様に、慌てて訂正する。

 だけど、どうやらそう言うことではないらしい。


「あれだけ巨大な魔法。一級の魔法使いでも、そう扱えないわ」


 彼女の言葉に、今度は僕が驚いた。

 一級というのが、どのレベルかは解らない。

 口ぶりからすると、かなりの腕前を指しているんだろうけど。

 それが、あの程度も扱えない?


 頭を悩ませる僕を見て「どうでもいいけど」と、投げやりに言い閉めた。

 なんだよ。

 そっちが聞いてきたんじゃないか。


「それよりも、この村はどうなってるのさ」


 お返しとばかりに尋ねてやった。

 村中にはゾンビが歩き回っている。

 まともな人間は彼女だけだ。

 恐らく元の住人があのゾンビ達なんだろうけど。

 だけど、予想を裏切り彼女は首を振る。


「知らないわ」

「知らないってそんな」

「私はここ出身じゃないの」

「じゃあなんであいつらと戦っているのさ」

「偶々立ち寄って、襲われたから反撃した。原因は知らない。終わり」


 にべもなく、言い捨てると興味をなくしたように僕から視線を外した。

 なんだ。

 となると、彼女も僕と状況は大差ないと言うことか。

 修道服なんか来てるから、それこそアイツ等が目的なのかと思ってた。


「その発想も良く分からないけれど、そもそも私はシスターじゃないわ」


 いきなりの告白。

 僕は「エッッ!」と驚きの声をあげた。

 じゃあなんでそんな格好をしてるんだろう?


「ここに来てすぐ、着てた服がダメになったから、適当に拝借したのよ」


 イライラしながら偽シスターはそう語る。

 それでももっと他の服があったんじゃないかな?

 いくらなんでもサイズがあってなさすぎる。

 背も胸も大きい彼女は色々な所が様々な意味でギリギリだ。


 彼女の体を改めて眺めている自分に気付いた。

 なんだか気恥ずかしくなって思わず目をそらす。

 べ、別に変な意味で見てるわけじゃないんだけど。


 途端に周囲が静かになる。

 僕は気まずくなって、チラリと様子を伺う。

 だけど彼女は僕の事など気になどしていないようであった。

 窓の外に視線をやる彼女は、何故だが険しい表情で何かを睨み付けていた。


「どうしたの?」


 僕の問いかけには答えず、出入り口から飛び出していく。

 いきなりの事で、呆然と見送ってしまう。

 僕は慌てて彼女を追いかけた。



 追いかけるまでもなく、彼女は出入口の目の前に立っていた。

 それに対峙するように、一人の男が立っていた。

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