悔い改めよ
「う、ん……」
「あ…目が覚めました?」
目を覚ますと、眼鏡をかけたおさげの地味な女が私を見下ろしていた。
「アンタ…誰?」
「わ、私…西沢茜です。堀田エリカさん…ですよね?」
「西沢ぁ……?……あぁ」
しばらく考えて、目の前の女が中学時代のクラスメートの1人であることを思い出す。
クラスメートと言っても別に仲が良かった訳でもなく、西沢は教室の隅でいつも本を読んでいるぼっちで、スクールカーストの底辺を這いずっているような女だった。当時スクールカーストのトップに君臨していた私との間には天と地ほども差がある、要するに底辺女だ。
「ちょっと…邪魔」
「あ、ご、ごめんなさい……」
そんな女が私を見下ろしているのが気に入らず、私を覗き込むような体勢で座っていた西沢を押し退けると、上体を起こした。
西沢はというと、軽く押したくらいでビビったのか、首を縮めて小さくなっていた。これだから底辺女は。
西沢を見て鼻を鳴らしていると、2人分の聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ、エリカっち起きたぁ?」
「よかったぁ~、心配したよぉ~」
声のした方を見ると、そこにいたのは懐かしい2人組だった。
「由美、翔子!久しぶりじゃん!」
「ホントそれ。めっちゃ久しぶり~」
「中学以来だよねぇ~」
2人は田代由美と北山翔子。中学時代によくつるんでいた2人組だった。
もう西沢のことなど気にしないで3人で再会を喜び合う。この2人とは中学3年生の時に転校して以来、3年ぶりの再会だ。
「って、それはいいんだけど、ここは一体どこなわけ?」
ひとしきり盛り上がった後、2人にそう問う。
ここはどこかの部屋らしいが、周囲を何度見ても見覚えはない。
空っぽの棚が左右にずらりと並んでいるだけの部屋で、床には仰々しい電子錠の付いたトランクが1つだけ転がっていた。本来窓があったと思わしき壁には鉄板が打ち付けてあり、ドアは1つだけあるものの、こちらにも、古びた木製のドアに似つかわしくない電子錠が取り付けられていた。ここがどこかは分からないが、一見して閉じ込められているということだけは分かった。
「あ~…アタシらもあんま覚えてないんだけどさ…西沢が言うには、ここ、北中の理科準備室じゃないかってさ」
由美に言われて西沢の方をチラリと見ると、西沢は床に座り込んだままビクッと震えた。
北中は私達が通っていた中学だが、理科準備室なんて入った覚えがないので分からなかった。そもそも北中は、1年前に廃校になったはずだった。
「あたしと由美ちゃんは気付いたらここにいたんだよねぇ~。エリカちゃんもそんな感じ?」
翔子の問い掛けに頷く。
私の最後の記憶は、学校から家に帰る途中で途切れている。恐らく帰り道に何者かに拉致されたのだろう。しかし、持っていたはずの学生鞄はどこにも見当たらない。ポケットの中に入れていたスマホもだ。どうやらそれは由美と翔子も同じらしい。
3人で情報交換をしていると、不意にピーッという警告音のようなものが鳴り響いた。
思わずビクッとしながら音が鳴った方を見ると、床に転がっていたトランクから、警告音に続いてガチャッという何かが開く音がした。それと同時に、トランクの上の小さなディスプレイに10:00の表示がされ、1秒毎にカウントが減っていく。
3人で顔を見合わせ、素早く意志疎通を図ると、一斉に西沢の方を見る。
「な、何ですか……?」
「西沢、アンタ開けなさいよ」
「え、で、でも……」
「でもじゃない!さっさと開けなっ!!」
由美がそう言うと、西沢はまたビクッとしながら恐る恐るトランクの方に向かった。
私達が遠巻きに見守る中、西沢がトランクの蓋を開けると……中には一枚の紙と小さな薬瓶が入っていた。
どうやら危険は無さそうなので、私はトランクに近付くと、西沢の手からその紙を奪い取った。
その紙には、新聞や雑誌の切り抜きを張り合わせた文章で、こう書かれていた。
『悔い改めよ これは三森美雪の復讐である 三森美雪への罪を懺悔し 薬瓶の中の毒薬で服毒自殺せよ 誰か1人でも服毒自殺した時点でドアは開かれる 10分以内に誰も服毒自殺しなかった場合 ドアは永遠に開かれない』
「はぁ…?」
「何コレ…」
「ちょっ、毒薬って……冗談だよね?」
三森美雪は、私達の北中でのクラスメートだ。
貧乏人の分際でクラス中の男子に色目を使って調子に乗ってたから、私達が少し身の程を教えてやったのだ。そしたらある日、校舎の屋上から身を投げて自殺した。
しかも遺書に私達のことを名指しで書いていたもんだから、私達はこの町にいられなくなって転校することになったのだ。
「何なの?復讐とか、意味分かんないんだけど」
復讐される謂れなんてない。
別に私達が殺した訳ではない。あの程度のことで自殺なんてする方が悪いのだ。
そもそもの原因はあの女が調子に乗っていたせいだし、事件の時には親があの女の両親にかなりの金を払ったはずだ。しかも、あの遺書のせいで私達だって酷い迷惑を被ったのだからお相子だろう。これ以上の報復をされる理由なんてない。
「美雪ちゃん……?」
微かに漏れた声に目を向けると、床に座り込んでいる西沢が蒼白な表情でカタカタと震えていた。
その姿を見て、私は西沢が三森の幼馴染で親友だったという噂を思い出した。
そして、私達のグループに入っていなかった西沢が、この場にいる理由も察した。
「何だよコレ。オイコラ犯人!どこかで見てんだろ!出て来いよ!そしてさっさとアタシらを解放しろ!!」
「あっ、そっかぁ、どこかで見てないと毒を飲んだかどうかなんて分かんないもんねぇ。隠しカメラとか盗聴器があるのかなぁ」
由美と翔子はまだどこか緊張感が足りていないらしい。2人で隠しカメラを探し始めた。
でも、私はそれに参加するつもりはなかった。仮に隠しカメラを見付けたとしても、そんなことでこの状況がどうにかなるとは思えないからだ。
この紙に書いてあることがどこまで本当なのかは分からないが、少なくとも4人の人間をこんな場所まで拉致し、こんな大掛かりな仕掛けまで用意しているのだ。それはつまり、それだけ犯人が“本気”だということに他ならない。
それに、時間だってたったの10分しかない。
今こうしている間にも、ディスプレイの表示は8分を切っていた。もう迷っている暇なんてない。なら……
「西沢ぁ」
私が声を掛けると、西沢はまたビクッと肩を跳ねさせ、怯えたような瞳でこちらを見た。
「アンタさぁ、三森と幼馴染だったらしいじゃん?」
「え?は、はい……」
「ふ~ん、幼馴染なのにな~んでこんなところに拉致られてんのかなぁ?」
「そ、それは……」
私がそう話していると、由美と翔子も手を止めて、私達の方を見た。
2人と素早くアイコンタクトをし、意思疎通を図る。
「へぇ~、西沢って三森と友達だったんだぁ。初耳なんだけど?知ってたら三森とも一緒に遊んでやったのにねぇ~」
「あ、遊び!?あ、あれのどこが……っ!!」
「えぇ~~?遊びじゃなかったらぁ~~何なのぉ?」
「それは……っ!?い、いじめです!あ、あなた達は、美雪ちゃんをいじめてたじゃないですか!!」
「ふぅ~ん、まあアンタにはそう見えてたかもだけどさぁ?じゃあそのアンタは、自分の大事な大事なお友達がいじめられてた時、黙って見てたってワケだ」
「そ、れは……」
「うぅ~わ、サイッテー。友達見捨てるとかマジクソじゃん?」
由美と翔子の息の合った追求に、西沢はどんどんと俯いていく。
どうやら2人共私の意図を理解してくれたらしい。私達に自殺なんてする気はない。だから、この底辺女にその役目を引き受けてもらおう。
それからも、3人で西沢をとことん追い詰めた。
徹底的に罪悪感を煽り、人格を否定し、心を抉った。
そして、カウントが残り2分を切る頃、西沢はとうとう泣き伏した。
「う、うぅぅ……うあ゛あ゛あぁぁぁ!!ゴメン、ゴメンね美雪ちゃん。わ、私……私……怖くて……ぐすっ、助けてあげられなくて、ゴメンねぇぇ……!!」
「何泣いてんの?泣いても何の意味もないんだけど?紙見てなかった?三森はお前に死んでほしいんだってさ」
「本当に友達ならぁ、死んで詫びればぁ?」
由美と翔子がそう言うと同時に、西沢の鼻先に薬瓶を突き付けると、西沢はそれを、まるで差し伸べられた救いの手を取るかのように、どこか縋るような表情で受け取った。
そして震える手で蓋を開けると、錠剤を1錠取り出し、一息に飲み込んだ。
私達が固唾を飲んで見守る中、やがて西沢は苦しそうに胸を押さえると、その場に俯せに倒れた。
そのまましばらく声にならない声を上げながら胸を掻きむしるようにして悶え苦しんでいたが、やがてその動きも小さくなり…そして……動かなくなった。
…私は、しばらく動けなかった。
翔子から声を掛けられて初めて、既にドアが開いていたことに気付いた。
由美と翔子は早くこの場を離れたがってそわそわしていたが、私はそんな2人を他所に床に転がっていた薬瓶を拾うと、スカートのポケットに突っ込んだ。
薬瓶の中にはまだ錠剤が3錠残っていた。恐らく私達3人の分だろう。別に自分で飲む気はないが、何かに使えるかもしれないと思ったのだ。
正直、まだどこか半信半疑だった。それはきっと他の2人も同様だろう。
だが、西沢の死に様が、そんな私達の甘い認識を叩き潰した。
これはマジだと。
誰かは知らないが、私達を拉致した犯人は、本気で私達を殺す気でいると。
そのことに気付いて、私は1つの決心をしていた。
どんな手を使おうと、誰を犠牲にしようとも、必ず生き延びると。
なぜなら、間違いなくまだ終わらないから。
「は……?」
「え?またぁ?」
ドアを開けた先の光景に、由美と翔子が呆然としている。
だが、私にとっては予想通りだった。
ドアを開けた先にあったのは、先程の部屋と同じ密室。
がらんとした部屋に電子錠の付いたドア。違うのは先程よりも広々とした部屋の床と壁、更には天井まで全て鉄板で覆い尽くされており、トランクの代わりに鎖の付いた足枷が床に転がっている点か。鎖の端は壁にしっかりと固定されており、その近くにガスボンベが2本立てられていた。
私の記憶が正しければ、ここは第二理科室だ。
そして、あのドアの向こうには第一理科室があり、そこには校舎の外に直接繋がる出口があったはずだ。つまり、このままだと同じ事をあと2回繰り返すことになる。
そんな風に予想する私の背後で、今しがた通ってきたドアがガチャンッという音と共に閉まった。どうやら退路はないらしい。
反射的に背後のドアを振り返った私達の視界に、黒板にチョークで書かれた文字が飛び込んで来た。
『悔い改めよ これは三森美雪の復讐である 三森美雪への罪を懺悔し 足枷に足を固定せよ 誰か1人を拘束した時点でドアは開かれる 10分以内に誰も拘束しなかった場合 ドアは永遠に開かれない』
その文字と共に、その黒板の上で動き出している先程と同じカウントにも気付く。
そして気付くと同時に、私はすぐさま動き出していた。
ドスッ!!
「ぐぅえっ!!?」
こちらを向いていた由美の鳩尾に容赦なく拳を叩きこむ。
反射的に身体をくの字に曲げた由美の顎先を膝で蹴り上げ、仰向けに蹴倒す。
ゴッ!!
「がっ!!」
床に後頭部を強打した由美は、そのまま動かなくなった。
どうやら気絶したらしい。狙ってやった訳ではないが、これならこれで好都合だ。
「ひっ、エ、エリカちゃん?何を……?」
「ぼさっとしてないで手伝って。由美を鎖に固定するわよ」
「え、で、でも……」
「何?私は別にアンタでもいいんだけど?」
そう言って睨むと、翔子はひゅっと喉を鳴らした後、わたわたと由美の身体を引っ張り出した。
翔子ではなく由美を狙ったのはこういうところだ。
翔子は基本長いものには巻かれるタイプで、私達2人が学校で強い力を持っていると察して擦り寄ってきた口だ。
だからこそこういう状況になれば、必ず強者に付くだろうことは分かっていた。
2人で由美を部屋の真ん中まで引き摺ると、その右足に足枷を嵌めた。
すると、ガチャッという音と共に次のドアが開いた。
そして、プシューッという音と共に、2本のガスボンベを繋ぐ噴射口から何かの気体が放出され始めた。
「ほらっ、行くわよ!」
「あ、あれ何?」
「知らないわよ!毒ガスか何かじゃないの!?」
「毒ガ―――!!?」
「ヤバイって分かったなら行くわよ!!」
なかなか動こうとしない翔子の腕を引っ張ると、半ば引き摺るようにしてドアに向かう。
そしてドアの取っ手に手を掛けたところで―――それは起こった。
ボゴアッ!!
空気が破裂するような爆発音と、背後から襲い掛かる熱波。そして―――目を覚ました由美の絶叫。
私の予想は外れていた。
あれは毒ガスではない。あの2本のガスボンベは―――火炎放射器だ。
一瞬にして火に包まれた由美が、聞くに堪えない絶叫を上げながらこちらに手を伸ばしている。必死に火から逃れようとしているが、足枷のせいで逃げることも出来ないのだ。
「ひっ――」
「行くわよっ!!」
由美の助けを求める声を振り払うようにして、次の部屋に飛び込む。そして、腰を抜かしている翔子も無理矢理引っ張り込むと、すぐにドアを閉めた。
「――――――――っ!!!!」
ドアを閉めても、由美の断末魔の絶叫を遮断することは出来なかった。
ドアの向こうからは悍ましい絶叫と、鎖がガチャガチャとぶつかる音が絶えず聞こえてくる。
「あ、あぁ……いや、いやぁ……」
翔子は部屋に入ると、すぐにその場で蹲ってしまった。
完全に怯え切った様子で両手で耳を塞ぎ、ガタガタと震えている。
しかし、私はもうそちらは気にせず、素早く状況を確認していた。
予想通り、ここは第一理科室だ。
対面の壁には電子錠付きのドアがあり、その小窓からは校庭が見えている。
それだけ確認すると、私は振り返って黒板を確認した。
『悔い改めよ これは三森美雪の復讐である 三森美雪への罪を懺悔し 拳銃で頭を撃ち抜け 誰か1人が死んだ時点でドアは開かれる 10分以内に誰も死ななかった場合 ドアは永遠に開かれない』
いや、わざわざ確認する必要などそれほどなかったかもしれない。
何故なら、部屋の中央に実に分かりやすい物が転がっていたから。
私は、テレビでしか見たことのないそれを持ち上げた。
弾は1発。本来ならこれは自殺用なのかもしれないが、文面には『自殺せよ』とは書かれていない。ならば、他殺でも問題ないはずだ。
私は引き返すと、この期に及んでまだ小さく蹲って震えている翔子の頭に、銃口を押し付けた。
そして、一呼吸してから――容赦なく引き金を引いた。
パンッ!
予想に反して小さな音と共に、翔子の身体が力なく崩れ落ちた。
それと同時に、背後でドアが開く音がした。
「……」
この手で、人を殺した。それも見知った相手を。
両腕には、その確かな実感が痺れという形で残っていた。
そのまましばらく形容しがたい感情に包まれて立ち尽くしていたが、鼻を突く異臭によって、すぐに私は現実に引き戻された。
「ちょっ、ウソでしょ!?」
隣の部屋に繋がるドアの隙間から、煙が入り込んできていたのだ。
どんどんと広がっていくその煙が、人体にとって有害なものであることはすぐに理解できた。
私は慌てて反対側のドアまで走ると、一気に校庭に飛び出した。
…この時の私は、完全に冷静さを欠いていた。
よく考えれば、こんなことをした犯人が私1人を逃がす訳がなかったのだ。
だが、初めての殺人と迫りくる煙によって精神を掻き乱されていた私に、そのことに気付く余裕はなかった。
校庭に踏み出した私の足は、そのまま地面に吸い込まれた。
一瞬の浮遊感と、落ちる視界。そして、右足に走った激痛。
落とし穴に落ちたのだ。
そう気付いた時には、もう頭上の穴が微かなモーター音と共に閉まっていくところだった。
「ちょっ、待っ―――」
声も虚しく、閉じる穴。そして訪れる暗闇。
微かな灯りに目を横に向ければ、そこにはうっすらと光を放つ蓄光テープで書かれた文字。
『悔い改めよ』
そこにはそれだけ。
それだけしか……なかった。
蓄光テープがその身に宿していた微かな光を霧散させ、完全な暗闇が訪れた。
どれだけ足掻いても、落とし穴から脱出できる見込みはなかった
どれだけ叫んでも、助けが来る気配はなかった。
どうやら犯人が私に望むのは、この暗闇の中での餓死らしい。
最後まで生き足掻いた者に、最も深い絶望を与えるつもりなのだろう。まったく、イイ性格をしている。
「痛っ!」
僅かに身動きした拍子に、右脚に鈍痛が走った。
どうやら落ちた際に完全に骨折してしまったらしい。
しかし、痛みを我慢して軽く腰を浮かせると、手探りでポケットからあるものを取り出した。
犯人は1つミスを犯した。
それは、これを部屋から持ち出される可能性を考えなかったことだ。
取り出したのは1つ目の部屋にあった毒薬の入った小瓶。
私はもう助からないだろう。
だが、このまま右脚の痛みに苦しみながら、暗闇の中で餓死を待つ気なんてない。
犯人の望み通りに絶望などしてやるものか。
私は手探りで蓋を開け、錠剤を取り出すと、それを3錠纏めて口に放り込んだ。
叫び続けてカラカラになった口内に無理矢理唾液を集め、一気に飲み下す。
「ははっ、ざまあみろ……」
最後の最後に一矢報いたまだ見ぬ犯人にささやかな悪態を零すと、私は目を閉じた。
………………
………………
………………
…どのくらいの時間が経ったのか。
私の体調には、一向に変化がなかった。
いつまで経っても、右脚の痛みは消えない。
いつまで経っても、死が訪れる気配がない。
やがて、私は全てを理解して。そして―――絶望した。
堀田エリカは、1日中叫び続けた。
やがて2日目になる頃にはその声は笑い声になり、3日目にはそれも途切れた。その間、反省や懺悔が聞こえることは一度もなかった。
「結局、誰1人として悔い改めず。反省も懺悔もなし。まあ、予想通りだけど」
結局、全てが予想通りだった。
死ぬ順番も、誰も反省などしないことも。
「仕方ないね。彼女達の分も、私が一生掛けて反省し続けることにするよ。美雪ちゃん」
―――、―――、―――ッ
「もしもし、警察ですか?人を殺しました。場所は―――」