約束
暖かい目でご覧ください。
結論から言う。
私はたぶん、というか絶対、天体観測と呼べるものはできなかったと思う‼
ぜーったいに、ぜっっーーたい!
だって、星が見えなかったんだもん。
天気が悪かった訳じゃない。人で。大事だからもう一回言う! 私の天体観測を邪魔したのは雲じゃない。ひ・と!
何でかって⁉
そんなの決まってるでしょう?天体観測は班行動なんだよ。つ ま り !佐川くんたち目当ての女子と女子がいなくなってがっかりしてこっちによってきた男子どもに邪魔されて全然見えなかったの‼
ぷんすか怒ってても過ぎた時間は戻らないし、虚しくなってきた私はふて寝することにした。
……しようと思った。
そうしたら佐川くんがホテルのラウンジから見えるってメールでおしえてくれた。
私は南に一言断って、ラウンジに行くとそこには先客がいた。まあいるよね。メールで教えてくれたもんね。
気づかない振りをして、ラウンジから空をみる。雲一つない星空がとっても綺麗だった。都会ではみれない小さな光の星たちも余すところなくみることができた。
「きれい…」
星空に気をとられて、人が近づいていることに気がつかなかった。
「昔、夜空を見上げてね、お母さんとはぐれた女の子に天の川の話をしたことがあるんだ。その子は、天の川に雲がかかると会えなくなると言う織姫と彦星の話を聞いてこういったんだ。」
「「星の光を渡っていける」って」
私と彼の声が重なった。答えるつもりなんかなかったのに、その言葉はするりと私の口から出てきた。
「あの男の子は佐川くんだったんだね。」
私は彼に聞いた。
「僕は、君を見てすぐにあのときの子だって気がついた。でも君は、気が付かないようだったから、黙ってたんだ。君はね、僕の初恋だよ、沙羅。」
名前を呼ばれてビックリした。
「約束の子だってわかって、ずっと君を目で追っていた。でも沙羅は、ずっと気が付かない。僕が近づくと離れるし、挙げ句のはてに避けるし。」
私はそんなに前から気がついていたのかって思った。そして同時に申し訳なくなった。だって、私が思い出したのは最近だから。
「永瀬沙羅さん。 あなたのことを知っていくうちにすきになっていました。僕と付き合ってください。」
佐川くんは私に右手を差し出した。彼の顔は、ほんのりと赤く染まっており、手は少し震えていた。
「私は、佐川くんと同じだけの気持ちを返せるのかわからない。でも、困ったときは助けてくれるし、私が悪口とか言われていたのを庇ってくれたのも知ってる。佐川くんはとてもいい人だって思う。だから、だから、」
うまく言葉が紡げない。泣きそうだった。
フワッと私のからだが暖かいものに包まれた。頬に暖かい液体が流れる。
優しい人だと思っていた。でも、それは生徒会長としての義務感だと思っていた。
誰にでも優しい、そう思って、誤解しないように言い聞かせてきた。
積もった愛しさが想いが溢れていくのを感じた。
「佐川琢磨くん貴方のことが好きでした。」
「過去形にしないでほしいな。」
そう言って彼は私を強く抱き締めた。
「私を貴方の彼女にしてください。」
きっと私の顔は涙でくちゃくちゃだったとおもう。
「もちろん。」
私たちは天の川のしたで新しい約束をした。
そして、数年後、また新しい約束をすると思う。
その後
二人が付き合っているのは勘のいい親友に秒で気付かれます。
どちらも人気があり、目立っているので、これといった反対派はいません。
佐川くんは結構粘着質なのでたぶんこのままゴールインすると思います。
ちなみに、秋にあった体育大会の借り物競争でお題「愛しい人」を引いた琢磨王子は沙羅姫をお姫様だっこしてぶっちぎりでゴールして、非リア充どもに
「リア充爆発しろ~‼」
って叫ばれます。たぶん、女子の黄色い悲鳴も上がります。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました!