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天の川がつなぐ約束  作者: 黒木香乃
3/9

夢、うつつ

暖かい目で見てください。



小さな女の子が泣いている。艶やかな長い黒い髪をした女の子が。


誰かが、近づいてくる音がして、女の子は顔をあげる。


「どうしたの?」


近づいてきた男の子が聞く。明るい色彩を持つ男の子だった。


「ママがいなくなっちゃったの…」


女の子は泣きながら答える。


「僕もしろとはぐれたんだ。」


「しろ?」


「僕の飼っている犬だよ。」


「どんな犬なの?」


「まっしろでふわふわしてるの!」


「かわいい?」


「すっごく!」



女の子と男の子は仲良く話していた。

それはふたりにとって楽しい時間だった。


「沙羅~‼どこにいるの?!」


「ワンワン‼」


女の子と男の子を呼ぶ声がする。


「ママだ。」


女の子が言った。


「しろだ。」


男の子が言った。


「バイバイ。」


男の子が言った。


「また明日会える?もっとお話ししたいっ!」


女の子が言った。


「また明日、会おうね。」


男の子はにっこり笑って答えた。



幼いふたりはまた明日会う約束をした。




次の日、昨日と同じ時間に同じ場所でふたりは会った。



いろんなことをふたりは話した。



「あっ、お星さまだ。」


「ほんとだ。」


「あのね。お星さまはね、たくさんあってね、きれいな川があるんだよ。」


男の子は女の子にお星さまの話をした。


「お空に住む王子さまとお姫さまはね、1年に1回しか会えないんだよ。」


「どうして?お姫さまたちかわいそう。」


「天の川、お星さまでできた川をわたれないから。」


「どうして?」


「橋がないから…」


男の子は悲しそうにうつむいた。


「だいじょうぶだよ!」


女の子は言った。


「お星さまのひかりを渡って会えるもん。」


女の子の言葉に男の子は目を見開いた。


「そうだね。ひかりの橋を渡って会えるね。」


男の子は嬉しそうに笑った。暗くなってきたので女の子たちはまた明日会う約束をした。


「また明日会おうね。」


「うん。また明日。」





女の子と男の子は仲良くなった。


しかし、ある日男の子は


「僕、引っ越すんだ。」


と言った。



その夜に


「この星が見える丘でまた会おうね。」


ふたりは約束をした。

















幼い頃の私の記憶だった。






最後まで読んでくださりありがとうございました。

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