日記
暖かい目で見てください。
「ただいま~。」
家に帰るとお母さんが夕食の支度をしていた。台所からとてもいい匂いがする。オーブンで焼いているところを見るとグラタンかなにかだろう。お母さんは帰ってきた私におかえりと言うと調理に戻った。
「お母さん、スーツケースってどこにある?」
修学旅行の準備をするためスーツケースが欲しい。
「物置の左下にあるはずよ」
私は2階にある物置にむかった。物置のなかは整理はしてあるが、ものが多すぎて、目当てのものを見つけるのも一苦労だ。私は左下からそれを引っ張り出した。勢いあまって上の箱まで落としてしまったのはご愛嬌だろう。
「あぁ~。やっちゃった。」
後悔してももう遅い。箱の中身は床に散乱している。ぶちまけたときの音が聞こえたのだろう、御歳6歳の可愛い男女の双子が大丈夫?と聞いてきた。この弟妹は私が10歳の時にできた。いつなっても愛くるしい。
「大丈夫だよ!」
心配させないようにすぐさま返した。
片付けるかと下にめをやると、想像以上の大惨事だった。アルバムから写真は出てるは、と。遠い目をしつつ、片付けに取りかかる。写真をアルバムのなかにいれ、箱に詰めていく。あらかた片付いたか、と思い周囲に目を向けると、ながせさら、とひらがなでかいたってノートが出てきた。
開いてみると、日記のようだ。次のページにてを伸ばしかけたところで母が私を呼んだ。
「沙羅~。早く降りてきなさい。」
「はーい。」
残っているものをさっと箱にいれ、日記も一緒に入れようとしたところで、手が止まりスーツケースとそれを自分の部屋に置いてから、階段を下りた。
下へいくと、グラタンが出来ており、美味しそうな匂いがたちこめていた。母がよそった味噌汁やご飯をリビングのテーブルに並べると、ちょうど父が帰ってきた。
「ただいま~。」
と父が言うと
「おかえり‼」
と双子が抱きつく。
「おかえり。」
「おかえり~。」
と母と私が言った。私は双子に言ってもらえなかった、とちょっぴり拗ねた。後で聞くと、その頃双子は寝ていたようだ。
和気あいあいとした夕食が終わる。私は双子の一緒にテレビを見ようという誘いを断り、後ろ髪をひかれつつも修学旅行の準備をするため2階に上がった。
下着やタオル、制服のブラウスなどをスーツケースに詰めていく。そこに南から部屋着を買いに行こう。と誘いがきたので、うん。と短く返しておく。だいたいこんなものだろうとスーツケースをしまう。下では、双子が並んで勉強をしていた。私も双子の隣で明日の予習を始めた。
一段落ついたところで、双子が
「お姉ちゃん、おやすみ」
というので
「おやすみ」
と返した。
風呂に入ったら、眠たくなったのでベッドに直行した。意識がおちる寸前日記のことが気にかかったが、睡魔にはあらがえず、私の意識は闇に落ちた。
最後まで読んでくださりありがとうございました。