日常
暖かい目で見てください
「この星が見える丘でまた会おうね。」
輝く天の川の下で私たちは叶うはずのない約束をした。
かつかつとチョークのはしる音がする。昼休みが終わり、母の作るお弁当を食べた後の5限目。窓際の席で、眠い目を擦りながら、私はぼんやりと授業を聞いていた。ふとした時に、私はあの天の川でのことを思い出す。今となっては、いつ、どこで、誰としたのか、それさえもわからない。天の川綺麗だったなぁぐらいしか覚えていない。
そんな時に、予想外の声がかかった。
「今の問題を永瀬。」
先生の話を全くといっていいほど耳に入っていなかった、私は戸惑い、あたふたしていたことだろう。しかも、運が悪いことに苦手な理科、さらにいうと地学の問題だった。諦めようかと思った時、横からメモがきた。なかには、綺麗な字で問題の答えらしきものが書いてあった。
私は先生に聞こえるギリギリの音量で
「ペガ」
と答えた。
先生は
「その通り」
と短く答え、授業を進めた。
しばらくたって終わりのチャイムがなる。
「今日はここまで」
「起立、礼」
「ありがとうございました。」
号令が終わるとすぐに私は隣に座っている救世主にお礼した。
「佐川君、さっきはありがとう!」
隣の救世主は佐川琢磨という。すらりと伸びた身長に、明るい色彩の髪や瞳。整った顔立ち、それに加えて頭もよく、バスケ部のエースときた。天は二物も三物も与えまくったと思う。
「どういたしまして、役に立てて良かったよ。」
「沙羅~。お疲れ様」
親友の南が声をかけてきた。
「南~。さっきは大変だったんだよ~。」
さ
「うんうん。見てたからわかるよ。また、ぼんやりして授業聞いていなかったんでしょ?」
「その通りです。」
「今日、部活は?」
「ない。一緒に帰ろ?」
「分かった。用意するから待ってて。」
「うん。帰り甘いもの食べたい。」
「カフェ寄ってく?いいとこ見つけたの。」
「行く。さっすが南。」
「よし。行くか。」
南ときたカフェはとてもおしゃれなとこだった。
「ご注文は?」
「ケーキセットで」
「私も同じものを」
「畏まりました。」
ケーキセットは紅茶とケーキのセットで、南はアールグレイとチョコレートケーキ、私はダージリンとフルーツタルトを頼んだ。
「修学旅行の準備した?」
「ぜーんぜーん。」
「後、一週間だよ。」
「先週テストだったから、時間なくてね。でも、そろそろしないとね。」
「私も。」
「ごちそうさま。帰って準備する。」
「私も。後でメールするね。足りないものあったら明日、一緒に買いに行こ?」
「了解。また明日ね。」
「また明日。」
私は南と別れ、帰宅した。
最後まで読んでくださりありがとうございました。