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天の川がつなぐ約束  作者: 黒木香乃
1/9

日常

暖かい目で見てください



「この星が見える丘でまた会おうね。」


輝く天の川の下で私たちは叶うはずのない約束をした。





かつかつとチョークのはしる音がする。昼休みが終わり、母の作るお弁当を食べた後の5限目。窓際の席で、眠い目を擦りながら、私はぼんやりと授業を聞いていた。ふとした時に、私はあの天の川でのことを思い出す。今となっては、いつ、どこで、誰としたのか、それさえもわからない。天の川綺麗だったなぁぐらいしか覚えていない。


そんな時に、予想外の声がかかった。


「今の問題を永瀬。」


先生の話を全くといっていいほど耳に入っていなかった、私は戸惑い、あたふたしていたことだろう。しかも、運が悪いことに苦手な理科、さらにいうと地学の問題だった。諦めようかと思った時、横からメモがきた。なかには、綺麗な字で問題の答えらしきものが書いてあった。


私は先生に聞こえるギリギリの音量で

「ペガ」

と答えた。


先生は


「その通り」


と短く答え、授業を進めた。


しばらくたって終わりのチャイムがなる。


「今日はここまで」


「起立、礼」


「ありがとうございました。」


号令が終わるとすぐに私は隣に座っている救世主にお礼した。


「佐川君、さっきはありがとう!」


隣の救世主は佐川琢磨という。すらりと伸びた身長に、明るい色彩の髪や瞳。整った顔立ち、それに加えて頭もよく、バスケ部のエースときた。天は二物も三物も与えまくったと思う。


「どういたしまして、役に立てて良かったよ。」


「沙羅~。お疲れ様」


親友の南が声をかけてきた。


「南~。さっきは大変だったんだよ~。」

「うんうん。見てたからわかるよ。また、ぼんやりして授業聞いていなかったんでしょ?」


「その通りです。」


「今日、部活は?」


「ない。一緒に帰ろ?」


「分かった。用意するから待ってて。」


「うん。帰り甘いもの食べたい。」


「カフェ寄ってく?いいとこ見つけたの。」


「行く。さっすが南。」


「よし。行くか。」







南ときたカフェはとてもおしゃれなとこだった。


「ご注文は?」


「ケーキセットで」


「私も同じものを」


「畏まりました。」


ケーキセットは紅茶とケーキのセットで、南はアールグレイとチョコレートケーキ、私はダージリンとフルーツタルトを頼んだ。


「修学旅行の準備した?」


「ぜーんぜーん。」


「後、一週間だよ。」


「先週テストだったから、時間なくてね。でも、そろそろしないとね。」


「私も。」


「ごちそうさま。帰って準備する。」


「私も。後でメールするね。足りないものあったら明日、一緒に買いに行こ?」


「了解。また明日ね。」


「また明日。」



私は南と別れ、帰宅した。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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