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第四十五話

投稿が遅れてしまいましたが、木曜更新としてはロスタイムなのでセーフ……だよね?

次回の投稿時間は戻せたらいいなぁ……。


それでは第四十五話、始まります。

「まったく、何を考えているんだ、あの御仁は」


「ほんっと、ロクなことしやがらねぇわね、あのクソジジイ」


「……ん。あれが表に出てきて良い事があった試しが無い」


「いち冒険者としては優秀な方、という話のようですけど……」


 ギルドマスターが会話の主導権を握っていた間のやりとりを思い出し、僕は濁した言葉しか出てこなかった。


 それを不審に思ってか、トリフィラさんを筆頭に何があったのかという追求を躱しきれず、仕方無しに先程の交渉会談の一部始終――特殊隠密部隊に関することと従魔と使い魔のくだりを避けつつではあったが――を正直に話した結果の、なんともまあ辛辣な御言葉のオンパレードである。


 ワイルドローズの皆さんも、あのギルドマスターの言動には多分に迷惑を被っているようで、その言葉に容赦が無い。


 オーリンちゃんに至っては最早『あれ』呼ばわりである。


 しかし、あのギルドマスターは十ツ星という冒険者としては最高位のランク所持者だ。


 この称号を得るためには、実力だけではなく、様々な功績を加味した上で冒険者ギルドの統括(グランドマスター)から与えられるものであり、加えてあの人の身分のひとつに冒険爵なんて貴族の一員と思われるものまであった。


 それ故に、あのジジイも腕っ節一本だけで伸し上がってきた訳ではないのだろうに、先程の会談では駆け引きとは到底言えない、力押しとしか言えないあの姿勢はなんだったのだろうか?


 敵意とまではいかないが、終始一貫してあからさまに警戒していた態度に目が行きがちではあったが、今思い返してみると後半、特に銀輝魔石に関する話の持って行き方は明らかに不自然だったかのように思える。


 アンナさんやメリッサさんたちの話を聞く限りでは、人類の生存圏に頻繁に現れる魔物のランクは星無しから星二つ、希に星三つが殆どであり、星四つの魔物というのは人類の生存圏では滅多に現れないくらいの高位ランク魔物であると言う。


 とは言っても、ワイルドローズのパーティーほどのレベルと実力があれば星四つの魔物であっても、単体であれば討伐自体は然程難しくはない。


 ただし、その魔物から取れるであろう素材の状態には期待しないでくれ、という注釈はつくが。


 そんな魔物である星四つのレッドオーガを、スライム(ラピス)という使い魔(従魔)を伴っていたとはいえ個人で討伐出来る戦闘力を持っており、自分で言うのもなんだが、この街の花形冒険者パーティー(ワイルドローズ)筆頭冒険者(ドガラン)から目を掛けられている期待の新人にあのような態度をとるのは少々不可解だ。


 普通の組織であれば、悪感情を持たれる前に、組織へと取り込もうとするのではないのだろうか?


 いやまあ、メリッサさんたちやドガランさんとギルドマスターが反目しているというのであれば、その限りではないのだろうけど、少なくとも一年以上はこの街に逗留しているということだし、呆れてはいるのだろうけど、そこまで確執があるようには思えない……さっきの言葉を聞く限りでは、ちょっと自信無くなってきているけど。


 そう考えると、どうにもあのグンゼスというギルドマスターの行動がちぐはぐに思えてならない。まるで、何かとても焦っていたかのように思えた。


「毎度思うんだけど、あのジジイがこのままギルドマスターなんてやってて大丈夫なんかねぇ? あの脳筋のストッパーもイマイチ機能してなさそうだし?」


 自分の分を飲み終わったラピスが、僕の果汁ジュースへと身体を触手のように伸ばしてくるので、それを手でガードしていると、トリフィラさんがちらりと背中越しに視線を投げ掛ける。


「はぁ、そんなの私だってわかってるわよ。だからそんなに苛めないでってば。これでもそれなり以上に苦労してるのよ? ギルドマスターには後できっちり釘を刺しておくから、今回はそれで勘弁してちょうだい」


 その視線の先には、手の平に収まる程度の布袋と一枚のギルドカードを乗せた木製のトレイを手にし、なんとも哀愁漂う雰囲気を身に纏いながら疲れた顔をしたアンナさんがいつの間にか立っていた。


 そこへ追い打ちをかけるかのように、トリフィラさんがいやらしい笑みを浮かべながら言う。


「そうは言ってもねぇ。あのジジイの暴走を前もって止めるのが、受付部門の長であり、サブマスターでもあるアンタの仕事でしょう? それに、今回のことはアタイらも知っちゃったし、本部にでも陳情するべきかしら、ねぇ?」


「はぁ、本当に迂闊だったわ。目の前にある宝の山に目が眩んで、ハルトさんに口止めするのを忘れるなんて」


 そう言ってアンナさんは眉間に皺を寄せながら天を仰ぐ。


 あー、やっぱり言っちゃマズかったですかね?


 でもですね? 僕にも言い分ってもんがあってですね? 目が据わったとってもいい笑顔の美人さん四人に迫られたら、そりゃぁ口も滑らかになっちゃうってもんなんですよ。


 まあ口止めされてなかったってこともあって、言っちゃってもいいんかなー? ってもの多少はありましたけども。


 それはそうと、なんかさらっと重要そうな情報がぽろぽろ出てたみたいだけど、それについては聞こえませんのです。聞こえないったら聞こえないのです。


 どこの馬の骨とも知らない無星の新人冒険者に、ギルドのサブマスターが専任受付になんてなるわけないだろぅ!


 と、現実逃避してみたけど、ギルドハウスで手続きする度に、メリッサさんたちが居ないにも関わらず、男女問わず冒険者のから突き刺さってくる数多の視線。


 その理由が漸く今、ここに判明したのかもしれない。


 というか、ラピスさんや? 面白くなってきたんだろうけど、触手の本数増やすの止めなさい。お行儀悪いですよー。


「くふふ、まあいいわ。今回はこれくらいにしといてあげる。これ以上苛めると、ストレスでハゲちゃいそうだし」


「ハゲないわよ。ハゲてたまるもんですか」


 ラピスの遊び相手をしながら、めげずに現実逃避をし続けていると、含み笑いをするトリフィラさんへとアンナさんがジト目で睨みつけ、その視線を受けたトリフィラさんは頬杖をつきながら、にししっと愉快そうに更に笑っていた。


 そんなやり取りをしている美女二人を他所に、ラピスの伸ばしてきた触手を掴んでにぎにぎしていると、アンナさんが居住まいを正して、改めて僕へと向き直る。


「んんっ! それはさておき、ハルトさん。お待たせしました、ギルドカードの処理が終わりましたので、お持ちしました。それとこちらがご要望頂きました現金10万ゴルド、大銀貨10枚になります。お納めください」


「あ、はい。ありがとうございます」


 本来であれば、受付カウンターまで取りに行かなければならなかったのだが、アンナさんは態々ここまで持ってきてくれたようだった。


 そのことに若干申し訳なくも思ったが、会話に混ざるタイミングの良さといい、トリフィラさんとの茶番っぽいやり取りといい、なんとなく狙っていたのではないかと思われる。


 何を狙っているのか、ある程度は予想がつく。しかし、それが僕にとって良い事なのか? というと、ちょっと微妙なところである。


 取り敢えず、そんな考えは一旦置いといて、ギルドカードとジャラっと小さく硬質な音を立てる布の小袋を受け取る。


 うむ、これで一先ず残金に怯えながらのその日暮しを脱却出来る!


 勿論、先日ワイルドローズからの謝礼金として頂戴した分はまだまだ残ってはいるし、この三日間で冒険者としてこなした依頼の報酬金も受け取っている。


 だが、冒険者としての報酬金は雀の涙ほどで、宿の宿泊費と食費で全て溶けるどころか少し足りないので、赤字分は謝礼金として貰った分で補填していた。


 その上、ポーションを作ったり、ラピスに持っていかれる等で魔力を使うと、妙に腹が減るので、その分食費が嵩み、手持ちの現金がどんどん減っていくことに焦っていたのだ。


 そんな状況だったために、替えの服や、日用雑貨もろくに揃えられず、不便な生活に甘んじていたのだが、これで漸く人並み――この世界基準ではあるが――に生活出来るというもの。


 ようやっと、この自転車操業の如き生活を打破出来ると、内心で感涙に(むせ)び泣いて、このお金で何から揃えようかと思いを馳せていると、にっこりと微笑んだアンナさんと目が合ってしまった。


 え? 何? 怖いんですけど。 


「ところでハルトさん、つかぬ事をお伺いしたのですけれど、宜しいでしょうか?」


「え? あ、はい、なんですか?」


 緑色(友好的)のマーカーではあるが、なんとも張り詰めた空気を纏っているアンナさん相手に油断してはいけない。


 現にラピスなどは樽ジョッキに覆いかぶさった状態で、器用にびくっとその身を震わせて、視線をあちこちに飛ばして隠れられる場所を探していた。


 何を聞かれるのかと若干警戒しつつも、アンナさんへと先を促す視線を向けてみる。


「お聞きしたところによると、メリッサたちから冒険者のイロハを教わっている、とのことですが、お間違いないですか?」


「ええ、はい、まあ。まだ半日を二回程度ですが」


「そうですか。それは今後も?」


 アンナさんが可愛らしく小首を傾げ、微笑を崩さず、そう訊いてくる。


「そう、ですね。皆さんが遠征から戻ってきてから、となりますけど、暫くはご教授いただく予定になってます……けど」


「そうですか! それは素晴らしいことです! 最近の新人さんは右も左もわからないまま森に向かった挙句、それで怪我をしたりと迂闊な方が多いんですけど、ハルトさんはそういった方たちとはひと味違うのですね!」


 大仰に両腕を広げ、次いで胸の前で手を合わせるアンナさん。


 オーバーアクションで誤魔化してはいるが、随分とわざとらしいセリフである。


「躓き易い冒険者の最初期に先輩冒険者からの指導を受け、尚且つ大赤鬼(レッドオーガ)さえも単独討伐が出来る戦力をお持ちでいらっしゃる」


 怖いくらいに持ち上げてくる、その言葉に僕は一体何を言い出すのかとより一層警戒心を募らせる。


「そんなハルトさんに朗報がございます」


 今の今までにこやかだったアンナさんの顔が、そんな言葉とともに急に真顔になった。


「冒険者の何たるかを知り、高位の冒険者と遜色無いと言っていいほどの戦力! そして状況判断も的確! そんなハルトさんを何時までも下位ランクに留まらせるなど、宝の持ち腐れというものです」


 握り拳を作って、力強く語ってるみたいだけど、うん、これ、もうノリで言ってるだけだよね。


 現状はさわりを教えてもらっただけで冒険者の基礎はこれからだし、戦力については遠目に下位冒険者パーティーの戦闘を一度見たことがあるだけなので、何とも言えない。


 状況判断が的確と言われても……何を持ってそういうのか? ああ、昨日はアンナさんの怒りメーターが吹っ切れるその直前に離脱出来たことかな?


「ということで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですけど、大赤鬼(レッドオーガ)を討伐、且つその素材を卸したことを功績へと転じまして、四ツ星まで一気にランクアップしちゃいませんか? 流石に五ツ星以上となりますと、経験不足という指摘が入ってしましますので難しいんですけど、メリッサたちの指導を受けているのであれば、四ツ星までなら問題無いと思うんですよね。ああ、そういうことなので勿論メリッサたちの指導がひと段落してから、ですよ。如何ですか?」


 くだらないことを考えていたら、副音声で聞こえてきそうなほど、あからさまな口止めが来た。


 これは、あれだな。今回のレッドオーガ討伐については罰則ではなく、功績として認めて、特例の昇格案件扱いにしてランク上げてやるから、先ほどのギルド、というかギルドマスターの醜聞のことは黙ってろってことなのだろう。


 まあ進んで吹聴する気は無いけど、呼び出し受けた直後に急激なランクアップなんてしたら、それこそ何かあったと言っているようなもんなんじゃないんです?


「とは言いましても、依頼達成ポイントはそのままですので、五ツ星に昇格するには現状のポイントから規定のポイントまで稼いで頂くなくてはなりません。ですが、それでも四ツ星以下の依頼が受けられるようになりますので、実入りは格段に良くなりますよ? まあ四ツ星の冒険者が受ける依頼ですので、その分危険も増しますが、ハルトさんであれば問題無いでしょう」


 レッドオーガですらあの様子ですからね、などと付け加えて気軽な様子で(のたま)っているかと思ったら、その顔には乾いた笑いが張り付いており、最早ヤケっぱちのご様子であることが(うかが)えた。


 とはいえ、こんな特例を受け入れていいものかどうかと戸惑っていると、トリフィラさんは相変わらずにししと悪い笑顔を浮かべているし、メリッサさんは神妙に頷いており、コーデリアさんは苦笑いだ。


 オーリンちゃんはオーリンちゃんで、我関せずといった様子でラピスの生態観察に夢中になっている。


 時折、身を乗り出してラピスを突っつこうとしてるけど、止めたげて。樽ジョッキと一緒になってどっか転がってちゃうから。


 なにはともあれ、四ツ星への昇格についてのみ言えば、僕としても歓迎すべき提案だ。


 口止め料込みとはいえ、危険が増すとはいえ、収入が増えること自体は望ましい。


 今回の件では、冒険者ギルド(アンナさん)が素材を欲しいと言ってくれたので、臨時収入へと繋がった。


 だが、このお金もある程度装備を整えて、クレイモアの借金へと当てたら、すぐに無くなってしまう、というか全然足りない。


 なので、路銀にしようと思ってスライムの泉から持ってきた品々が【アイテムインベントリ】内で不良在庫となっており、生活費の全てを冒険者業で賄っている現在の状況であれば、これは受けるべきなのだが、問題は四ツ星ランクに昇格するとある条件が付いてくることだ。


 今の状況とその条件を天秤にかけて、少し悩んでいると、アンナさんが救いの手を差し伸べてくれた。


「何か心配事でも? ああ、もしかして強制依頼についてでしょうか? それでしたら……うーん、そうですね。であれば私の権限で、一年間免除、といったところで如何です?」


 え、まじで? そんなこと出来るんですか?


「はい。こういった特例が過去に無いわけではありませんので。実力自体は高位ランクに近い物を持ってはいるが、経験はまだ不十分と判断された場合などは、特例でランク上げてから、通常の依頼で先任冒険者と組んで経験を積んでいただく、ということは極希にあります。あ、でも依頼などで他の街に出向いた際の登録だけはお願いしますね? 冒険者ギルドとしても、高位ランクもしくはそれに近しい戦力を下位ランクで遊ばせておく余裕はありませんから。知ってます? 六ツ星以上向けの依頼って、全っ然消化されてないんですよ? そもそも六ツ星ランクまで上がれる冒険者自体が少ないってのもあるんですけど、上がれたら上がれたで、いつの間にか冒険者資格返上して、どっかの国だが貴族だかのお抱えになっちゃってるんですよ! 信じられます?! お前ら冒険者ギルドに食わせてもらってたんじゃないのかぐぬぬぬぬ……」


 うん、ギルドマスターの件だけじゃなく、色んなことで鬱憤が溜まっていらっしゃるようで。


 中間管理職って大変だなー(棒)。


「こほん、失礼しました。それはともかく、五ツ星、六ツ星ランクとなりますと、私の権限では届きませんが、四ツ星ランクに対してであれば、私の権限で通達しておけば十分でしょう。それに強制依頼が発令されるのは、住んでいる街が魔物の脅威に晒された場合が殆どですから。冒険者の皆さんも、ご自身が拠点にしている街の防衛ともなれば、ランクに関係無く積極的に動いてくれます。ただ、強制依頼の対象となってしまわれると、最前線に出向かなけれなならないのですけど、先程も申しましたが、実力はあっても経験が足りていない方が前線に出てしまわれますと、連携が取れなかったりして、他の前線を支えている冒険者の方に不安と動揺を与えてしまいますので、こういった措置がとられるのですよ」


 なるほどなるほど。確かに元の世界でも末期のオンラインゲームやソーシャルゲームなんかには、そういうのは結構居たな。


 初心者特典だかスタートダッシュだかでレベルだけは上位プレイヤー並に高いが、モブの行動パターンは何一つ理解してないせいで、組んだパーティーを壊滅に導く、所謂地雷と呼ばれる存在。


 でも高レベルなだけあって、単独(ソロ)でプレイするには力技で押し通せるスペックだけはある。


 あははははー、まるで今の僕そっくりだね。


「それで、どうなのメリッサ?」


「ん? そうだな、ハルト君は飲み込みも早いしな。あと三日もあれば基礎の基礎は十分だろう。魔物との個別戦闘となると運もあるから……追加で五日といったところか」


「そ。なら余裕を持って十日ってところね。あとは推薦状の署名だけど……」


「それも私のでいいだろう」


「わかったわ。なら私のは先に記入しておくから、メリッサは遠征から帰ってきたときにでも書いて頂戴ね」


「了解した」


「ということで、ハルトさん。ハルトさんの特例昇格は、メリッサたちによる基礎研修開始から十日後となります。それまでに書類の方は作成しておきますので、詳しい話はメリッサたちが遠征から帰ってきて、落ち着いてからしましょう、ね?」


「あ、はい。それでお願いします?」


 一人で納得して、一人で落ち込んでたら、話がとんとん拍子に進んでいた。


 まあ特例だろうが何だろうが、一年間限定とはいえ、強制依頼免除で四ツ星に上がれるのだ。


 損は無い……はずだ。


「はい。畏ましました。それでは本日この後は如何いたしますか? 依頼を受けるのであれば、ハルトさん向けに幾つかご用意はありますが」


「あーいえ、コレのこともありますし、今日は止めておきます」


 そう言って、僕が足元に置かれた頭陀袋へと視線を向けると、アンナさんの目が光った気がしたが、気のせいだろう。


「そうですか、残念です。いえ、そうですよね、昨日はあんな魔物を討伐されるくらいの大冒険をされたんですから、今日ぐらいはお休みされた方がいいでしょう」


 ぬはははは、わかってますって。こんな無茶はそうそうしませんってば……ラピス次第ともいいますけど。だから、そのオーラ引っ込めてください(にじ)り寄ってこないでください、お願いします。


「ふぅ、まったく。……それでは、私はこれにて失礼します。何かありましたら、受付でお声掛けください」


 そう言って不穏なオーラを漸く引っ込めてくれたアンナさんが、颯爽とギルドエリアへと戻っていった。


 しかし、改めて思うと、今までの一連の流れはどこからどこまでが仕込みだったのだろうか?


 アンナさんとメリッサさんたちが打ち合わせしていた様子も無かったのに、まるで打てば響くとでも言うように、僕のランク昇格の話が進んでいった。


 なんとなーく、今朝の呼び出しから今の今まで、アンナさんの掌の上のような気がしないでもないが……まさか、ね?


 そもそも、僕のようなぽっと出の新人を、特例と権限を使ってまでランク昇格させたり、強制依頼を免除する意味がいまいちわからない。


 強制依頼を免除するのであれば、四ツ星となることでギルド側に利点があること、といえば精々戦力把握の登録ぐらいしか思いつかない。


 それが狙いなのか? うーん、しかし強制依頼を免除されているのであれば、登録したからなんだ? ということになる。


 ……ふむ、ますますわからん。考えることを止めるつもりは無いけど、考えてもわからんし、今のところは僕にメリットしかない話ということでもあるし、そこまで気にしなくてもいいのかな?


 そう結論を出し、ラピスの触手攻撃が止んでいるみたいだったので、ジョッキに口をつけ……空でした。


 どうやら話している最中に、隙を見て僕の分の果汁ジュースを半分以上強奪していたらしい。


 妹分として認識しているせいか、ステラに方には奪いにいかねぇのな。まあいいんだけどさ。


 ラピスはあとでお仕置きです。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・矛盾点・説明不足・わかりにくい表現等のご指摘いただければ幸いでございます。

ただ、作者ガラスのハートでございますれば、柔らかい表現でお願いいたします。

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