第三十九話
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
先々週、気がついたら累計PVが100,000を突破しておりました。
本当にありがとうございます。
これを記念して、どこかで二話とか三話とかの連続投稿でもやってみたいんですけど……ストックがぁー。
それでもなんとか頑張って近々実現させたいと思っておりますので、気長にお待ちいただければ幸いです。
それでは第三十九話、始まります。
二つの《イルミネイト》によって生み出された光球を定盤の上空に浮かべた後、その眼をギラつかせたマドックさんに別れを告げてから即座に回れ右をして、ラピスを頭の上に張り付かせたままステラの手を引き、背中に突き刺さる視線に極力気づかないふりをして、そそくさと逃げるように解体室を後にした。
……いや、逃げるように、というのは少し語弊があるな。
あの状況では、少し時間を置いて、お互い冷静になったほうがいいと判断したまでだ。
アンナさんはレッドオーガの素材を前にして、随分と興奮していたしね。
決して《イルミネイト》を打ち上げた時にちらりと見えた、焦点が合ってないようなアンナさんの眼が怖くて逃げ出したのではないのだ、うん。
だが、足早に解体室を出ようとしたところで、背後からアンナさんの低くて、感情が抜け落ちたというか、妙に抑揚を欠いた声で『明日の朝一番で出頭するように』という言葉が投げかけられた。
なんというか、その張り詰めたような空気からして、もう相当お冠のご様子である。
てか出頭て! 僕、悪いことしてないもん! いや、まあ、行くけどさ。
はぁ、明日行きたくねぇなぁ、と翌日の登校のことを考える連休最終日の夜のような思考が過る。
けれど、ステラの形見やレッドオーガの皮と素材売却金の受け取りもあるので、行かない訳にはいかないのだが……でも多分、それだけじゃ終わらないんだろうなぁ。
しかし、多少のお小言は覚悟していたが、まさかアンナさんがあそこまでぶちギレるとは思わなかった。
ちょっとした大物を一体仕留めて、珍しい種族らしい魔物をテイムしただけなのになぁ。
はぁ、なんでこんなことになったのやら。
でもさ、なんていうか、もうちょっとさ、こう、持ち上げてくれてもいいんじゃないかな? せっかく滅多に手に入らないような大物を仕留めて、その素材を納品するっていうんだから。
冒険者のやる気を引き出すのも、ギルド職員のお仕事です、的な?
ギルドハウスから無事に脱出したところで零した、願望というか欲求というか期待のようなものが乗せられた僕の小さな呟きは、ため息とともに夜の湿った空気に融けていく。
その傍らで心配そうに見上げているステラの頭を優しく撫でてあげると、ステラは恥ずかしさと嬉しさが入り混じったような表情を浮かべる。
その際に、ふわりと香る女の子特有のほのかに甘い香気に混じった若草の芳香によって、僕は森に入った本来の目的を思い出した。
いけね、治癒草の納品し忘れてた。
あーでも、今戻るとなぁ。ちょっと、いやかなり気まずい。
ちらりと後ろを振り返ると、メリッサさんたちもちょうどギルドハウスから出てくるところだったので、明日に持ち越しでいいか。
鮮度うんぬんと突っ込まれるかもしれないけど、そこは全力で誤魔化す。もしくは明日の朝まで【アイテムインベントリ】から出しておくのでもいい。
断じて今のアンナさんに僕一人で会うのが怖いわけではないので、そこを勘違いしないよーに。
それにアンナさんだって、そろそろ終業時刻のはずだ。僕の要件で、残業させてしまうのはいくない。
そう自身に言い聞かせて、ひとり頷きながら歩いていると、ようやく水瓶亭の食堂の明かりが届くところまで帰って来れた。
ふぅ。最後の最後でアンナさんに全部持っていかれた感が強いが、なんだかんだで長い一日だったな。
しかし、なんだってあんなところにレッドオーガが居たのだろうか?
メリッサさんの話では、進化前であるオーガの棲みかは森のもっと奥の方と言っていた。
そもそもオーガは兎も角、進化種であるレッドオーガはこの近辺には棲息していないと言う。
アンナさんの興奮度合いからしても分かる通り、過去にも数える程しか確認されていないということだった。
その過去に確認されたというのも、数十年前に西の森で発生したモンスターパニックの時に二、三体見かけたことがある、程度のものらしい。
その当時は多くの犠牲を払ってモンスターパニックを鎮めたものの、乱戦に次ぐ乱戦であったため、素材に気を使う余裕などなく、全てダメになってしまったおり、素材として利用できる部分など極僅かであったという。
そもそも、モンスターパニックとは、森や湿地帯、平原などに生息する魔物が何らかの要因で異常増殖した結果、数百から数万体規模で本来の生息域を離れ、新天地を目指す魔物たちの大移動のことである。
その移動に際して派閥争いなのか、主導権争いなのか、はたまた単純に食糧不足なのかは不明だが、そこそこの頻度で道中魔物同士による戦闘が発生するらしい。
戦闘に勝利して生き残った魔物は、経験値を得ることになり、レベルが上がり強くなるだけでなく、希に上位種へと進化する場合もあるのだという。
数十年前のモンスターパニックで確認されたレッドオーガなんかは、恐らくこれに当てはまるのだろう。
だが先に述べたことでも分かる通り、魔物の進化というものは、自然界においては、そう簡単に起こるものではなさそうである。
実際、僕のチートスキル【ポイントコンバーター】をもってしてもラピスの進化には、ベースレベル、ジョブレベル、そして【進化】スキルのスキルレベルという三つの条件と満たす必要があったのだから、さもありなんというところだ。
そして、最早遭遇すること自体、事故と言っても差し支えないレベルの魔物であるレッドオーガが、何でもない平時とも言える今この時に森の、しかも浅層と中層に跨がるようなエリアに現れた。
これが何を意味しているというのか。
そこまで考えたところで、ふと脳裏に四ツ腕狂乱熊という言葉が過ぎった。
あの魔物も、本来の棲家は灰の森の奥深くである、と言っていたはずだ。
そして、僕がというかガーネたちが倒した、もう一体の星六つの魔物、白亜ノ大蛇の存在が妙に引っ掛かる。
白亜ノ大蛇の本来の棲家が何処かはわからないが、少なくともあの場所は星六つの魔物が棲家にするには浅すぎるはずだ。
となると、白亜ノ大蛇も四ツ腕狂乱熊同様、本来の棲家から出張ってきたと思われる。
この二体は僕が寝ている間に、ガーネたちが倒してしまった。
僕は当時の状況とメリッサさんたちの話から、あの二体の魔物は『深層部に突然現れた僕たちを縄張りへの侵入者と見なして排除しようとしていた』と考えたが、果たして本当にそうだったのだろうか?
あの二体が自身の棲家としていた場所から大きく離れた場所に現れた理由。
……まさか、本当に排除すべき存在が他にいた、ということなのか?
確かに僕らと遭遇した時点では、星七つであり、名持ちでもあるガーネたちは、彼らの目には脅威に映ったであろう。
だが、ガーネたちは僕が人里付近に辿り着いたあとはスライムの泉に戻るつもりだったのだ。
まあ、そんなことはあの二体には判らなかっただろうから、とにかく目の前の脅威となり得る侵入者を排除しようとした結果、返り討ちに遭ってしまった。
もし、あそこで僕らと遭遇しなかったら?
彼らは今頃、その本来排除すべき存在を打ち倒していたのだろうか?
それがレッドオーガだった、という可能性はどれくらいあるのだろうか?
そうだった場合、ステラの集落は難を逃れていたのだろうか?
それともその争乱に巻き込まれて、ステラさえもその犠牲になっていた?
……いかんな、思考の迷宮に嵌ってしまいそうだ。
今、もしもの世界や、仮定を考えても仕方無い。
だがそれとは別に、ルセドニ近郊の森で何かが起こっていると思われる。
それが何なのか、今はわからないが、それが僕の前に立ちはだかるというのであれば、僕はこの殺意の高い世界で家族となってくれたラピスとステラを守るため、全力でそれを叩き潰すだけだ。
僕は軽く頭を振り、脳裏にこびりつきそうになった不安を振り払って、そう自身の心に刻み付ける。
「どうかしたか、ハルト君?」
「いえ、なんでもないですよ」
僕が水瓶亭の入口で立ち止まっていることを不可解に思ったのか、背後から掛けられた声に振り向くと、メリッサさんたちが不思議そうな表情を浮かべていた。
「そうか? であれば、早く入ろう。もうすぐ八の鐘が鳴って、夕食を食いっぱぐれてしまうぞ」
「ああ、それはマズイですね。では急ぎましょうか」
そう言って僕は杞憂であってほしい、と願いつつも、振り切れないでいる不安を抱えて食堂との敷居を跨ぐのであった。
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無事、夕食にもありつくことも出来、胸の中に広がっていた不安は満腹感という幸せに押しのけられ、まったりとした時間を部屋の中で過ごしている。
本日の夕食は牛っぽい魔物の肉を使った、分厚いステーキ定食だった。
非常に食いごたえが有り、ボリューム的にも味的にも僕としては大満足だったのだが、ステラはお気に召さなかったようだ。
それというのも、ステラに一口そのステーキを食べさせたところ、小首を傾げていた。
曰く、
「美味シイ、デス。デモ、チカラ無イ、思イマス」
とのこと。
要するに、美味しいとは思うが、生命活動に必要な力は得られないということらしい。
魔物の生命活動に必要なのは魔力。
試しに、【アイテムインベントリ】から取り出したリピコの実とマジックアップルを渡したところ、満面の笑みで頬張っていたので、恐らくステラの食事としてはこちらが正解なのだろう。
つまり、見かけは人間と殆ど変わらないように見えるステラだが、歴とした魔物であるということだ。
僕としては鑑定結果でわかっていたことではあるけどね。
しかし、ギルドハウスにいた時もそうだったけど、先ほどの食堂でも僕たち、というかステラに集まった視線が妙に気になった。
まあ、女将さんやエイミーちゃんに、新しく僕の使い魔になってくれたことを説明するとき、周囲に聞こえるように少し声を張って説明したので、大丈夫だと思うが、油断は出来ないな。
ということで、第二回ちーとなスキルで強化しちゃおう大会を行ないたいと思います!
わーぱちぱちー、どんどんぱふぱふー。
んじゃ、まずはステラからいっくよー。
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名称:ステラ
種族:魔物(ゴブリン)
性別:♀
年齢:0(122日)
職業:ゴブリナ
身分:ハルトの従魔(眷属)
ランク:★
状態:平常
BLv:3 ▲【決定】
JLv:1 ▲【決定】
HP:555/555 ▲【決定】
MP:283/283 ▲【決定】
筋力:39 ▲【決定】
体力:71 ▲【決定】
知力:138 ▲【決定】
敏捷:74 ▲【決定】
器用:110 ▲【決定】
保有スキル(3/20)
・幻惑:Lv1 ▲【決定】
・闇魔術:Lv1 ▲【決定】
・進化:Lv1 ▲【決定】
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うん、わかってたことだけど、名前つけてあげただけで、けっこーなパワーアップしてんな。
それでもこの時点では、まだビックスさんに若干劣るくらいかな。
とはいえ、魔物が相手であっても人間が相手であっても、一対一ならともかく、複数に囲まれたら不安でしかないことは事実だ。
この不安を解消するには、実戦経験を積んで、レベルを上げていくのが一番なんだが、如何せんどうにもそんな時間的猶予は無さそうなのが、頭の痛いところだ。
だがしかし、心配する事なかれ。
時間的猶予がなければ、ちーとスキルにお願いすれば一発なのさ。
ということで、ラピスを手の中でころころと転がしたり、頭の上に乗せたりと戯れているステラを呼んで、僕の正面に向かい合うようにして座らせる。
「それではステラ、君は今日から僕とラピスの家族だ。改めて宜しくね」
「ハイ」
「それで、だ。家族になってくれたことは嬉しいけど、僕たちはこれから人間社会で生きていくことになるんだけど、そこはいいかな?」
「ハイ。ますた、ゴ迷惑カケナイ、ガンバル、デス」
「うん、そこは僕も色々と勉強しなくちゃいけない部分もあるから、一緒に頑張ろう」
僕もメリッサさんたちに言わせればこの世界の常識を知らな過ぎるらしいので、頑張らなきゃいけない部分ではある。
っと、問題はそこじゃなかった。
「えーと、それもそうなんだけど、ここからが本題。僕のお仕事、まあ生きていくための糧を得る手段なんだけど、これは冒険者のお仕事で賄っているんだ。このお仕事は、所謂なんでも屋と言われてて、色んな人のお願い事、例えば荷物運びとか薬草の採取なんかを請け負って、それを達成して、お金や食べ物を貰うお仕事なんだ」
そこで一旦言葉を切って、ステラを見てみると、真剣な眼差しで聞き入っていた。
時折頷いていたので、言葉が難しくて理解出来ていないということは無さそうだ。
「そのお仕事の中には、勿論危険なこともある。そう、例えば畑を荒らしまわっている魔物を退治するとか、森に潜む危険な魔物を討伐するとか、ね」
そこまで言うと、『危険な魔物を討伐』という部分でステラが顔を強張らせた。
「とは言っても、僕は話が通じるような魔物を無闇矢鱈と退治するつもりは無い。けど、どうしても話が通じなかったり、敵対するようであれば……僕はラピスと君を守るために戦うことは躊躇わない。それは僕たちが生きるために必要なことだから」
「ハイ。ソレ、正シイ、思イマス。森ノ生キ物モ生キルタメ、他ノ生命奪ウ、デス」
ふむ、魔物を討伐することに忌避感があるかと思ったが、表情を見ている限り、そうではないようだ。
表面上は普通に振舞ってはいるけど、やっぱりまだ昼間のことを引き摺っているようだな。
であれば、ちょっと脳筋寄りではあるが、そのトラウマを払拭するにはあのレッドオーガを倒せるくらい強くなるしかない。
「うん、そうだね。だからステラにもそのお仕事を手伝ってもらいたいんだ。そのためにステラにも強くなってもらいたいんだ」
「ハイ。強クナリタイ、デス。ますたオ守リスルチカラ、欲シイデス。モウアンナ思イ、シタクナイ」
ええ子や。でもね、守るのは僕だけじゃなくて自分も、だよ。
ステラの意思も確認したことだし、ちゃちゃっといっちゃいましょう。
「それじゃステラ、少しじっとしててね」
「? ハイ」
僕は少し不思議そうにしているステラを前にして、改めてステラのステータスウィンドウに目を向ける。
んーと、まずはベースレベルとジョブレベルを『▲』が『△』になるまで上げてー、最後に【進化】スキルをひとつ上げて、【決定】をポチッとな。
すると例のアナウンスが表示されたので、迷わず【はい】をクリック。
としてから、しまった! ぴかぴかが来るぅ! と思って慌てて目を瞑ったのだが……あれ? あんまり眩しくないな。
ラピスのときは目を瞑っていても、瞼の裏まで突き刺さるような光量だったんだけど。
恐る恐る薄目を開けてみると、そこには祈るような姿勢で、薄らとした光に包まれているステラの姿があっただけだった。
ふむ、進化の際に光るのは共通だとしても、光量自体は種族によって違うのだろうか。
そんなことを考えていると、ステラを包んでいた光が胸の中央辺り、ちょうど魔石があると思われるところに収束していき、やがて完全に胸の中に消えていった。
改めてステラのステータスを確認してみよう。
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名称:ステラ
種族:魔物(ゴブリン)
性別:♀
年齢:0(122日)
職業:ゴブリナメイジ
身分:ハルトの従魔(眷属)
ランク:★★
状態:平常
BLv:1 ▲【決定】
JLv:1 ▲【決定】
HP:1718/1718 ▲【決定】
MP:817/817 ▲【決定】
筋力:85 ▲【決定】
体力:162 ▲【決定】
知力:320 ▲【決定】
敏捷:164 ▲【決定】
器用:247 ▲【決定】
保有スキル(3/20)
・幻惑:Lv1 ▲【決定】
・闇魔術:Lv1 ▲【決定】
・進化:Lv2 ▲【決定】
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うむ、進化は成功でござる。
ステータスの中でも知力が突出していたから、魔術系統に偏ると思っていたし、【職業】もゴブリナから上位種であるゴブリナメイジに進化もしたのだが、新しいスキルは覚えなかったようだ。
まあこれに関しては、レベルを上げていけば追々覚えていくだろう。
それはともかく、うーん、この上昇量はやっぱ、ぱねぇな。
レベルをたった20上げて、ワンランク進化しただけで、ステータスが倍以上伸びるって、アリなんか?
【ネームド】スキル単体でも、結構凶悪なスキルだと思ったが、やっぱ【ポイントコンバーター】と組み合わせると極悪スキルに認定してもいいと思うほどだ。
まあ、出来てしまうものは仕方がないのだ、と無理矢理自分を納得させていると、ラピスがステラへと駆け寄っていた。
――すてら、ぴかぴか、おめでとー!
「ハイ。アリガトゴザマス、ヴァニ・ラピィス(ラピス姉さま)」
駆け寄ってきたラピスを両手で掬い上げ、目線の高さまで掲げたステラが嬉しそうに微笑んでいる。
その光景に見とれていると、ラピスがくるりとこちらに振り向いてきた。
――あるじ、らぴすもぴかぴか、やりたい!
ん? ラピスもって……ああ、そうか、レッドオーガぶっ飛ばす前にベースレベルだけ上限まで上げてたっけ。
ふむ、まあいいか。この際だ、ラピスのランクもひとつ上げちゃおうか。
――わーい! やったー!! ぴかぴかー!!
ということで、一応ラピスのステータスおーぷん!
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名称:ラピス
種族:魔物(スライム)
性別:-
年齢:0(221日)
職業:スライム
身分:ハルトの従魔(眷属)
ランク:★★
状態:平常
BLv:30 △【決定】
JLv:3 ▲【決定】
HP:2604/2604 ▲【決定】
MP:1148/1148 ▲【決定】
筋力:350 ▲【決定】
体力:368 ▲【決定】
知力:363 ▲【決定】
敏捷:810 ▲【決定】
器用:511 ▲【決定】
保有スキル(6/20)
・溶解:Lv1 ▲【決定】
・吸収:Lv2 ▲【決定】
・進化:Lv2 ▲【決定】
・打撃耐性:Lv10 △【決定】
・斬撃耐性:Lv1 ▲【決定】
・酸弾:Lv1 ▲【決定】
・ブリッツビート:Lv1 ▲【決定】(New!)
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なん……だと? こやつ、いつの間にか新しいスキルを覚えてやがる!
何時覚えたんだ? スキルってそう簡単に獲得出来るもんじゃなかったはずだけどなぁ。
どんなスキルなんだろうか?
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名称:ブリッツビート
区分:コモン(アクティブ)
取得条件:投擲術Lv3、筋力100
概要:投擲物を高速で射出することで対象に大ダメ
ージを与える
魔物の場合、自身を投擲物に見立てて、高速
で体当たりすることで獲得する場合がある
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って、ぅおいぃぃ! これ、あれじゃねーか。僕がお願いされてラピスぶん投げたときのじゃん! つか、おかしくね? あの状況だったら、覚えるの僕じゃね?!
いや、確かに僕のコモンスキル枠は満席ですよ? それでもさぁ……なんか納得いかねぇ。
――あるじ! はやく、はやく!
どうにももにょっとした感覚を抱きながらも、ラピスに急かされたので、ジョブレベルと【進化】スキルのレベルをぱぱっと上げて、アナウンスの【はい】を無造作にクリックする。
と、そこで安易にぽちぽちしたのがいけなかった。
前回のときとは違い、今度はボタンを押した瞬間にぺかーっと眩く光り輝いたラピスをまたも直視してしまう。
ぬっがああぁあぁぁああぁっ! 目がっ! 目がぁぁぁっ!
こうしてまたもやラピスの不意打ちによって、僕の眼球は致命傷を負わされ、再び床を転げ回るのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
誤字・脱字・矛盾点・説明不足・わかりにくい表現等のご指摘いただければ幸いでございます。
ただ、作者ガラスのハートでございますれば、柔らかい表現でお願いいたします。




