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第三十六話

「え? は? ちょ、まっ? ええ?!」


 僕が森でレッドオーガと遭遇したことを告げると、アンナさんはバリエーションに富んだ驚きの声を幾つか挙げてから、思考がフリーズしてしまったのか、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まってしまった。


 その驚いた顔は不謹慎ながらもちょっと面白いものだったが、嫁入り前の女性がしていい顔ではないと思う。


 いや、嫁入り後の女性ならしてもいいのか? と問われても困るのだけどね。


 苦笑しながらもそんなことを考えていると、固まってしまったアンナさん同様驚いていたメリッサさんが咳払いをして、気持ちを切り替えたようで真剣な眼差しを浮かべていた。


「んんっ! ハルトくん、すまないがもう少し詳しく話をしてくれるか? 私の認識が間違いでなければ、昨日まで探索していたところでは、そんな大物(おおもの)出会(でくわ)すとは思えない。いったい君は何処まで探索に行っていたんだ?」


 うん、これ下手なこと言ったらぶっ飛ばされんな。


 丁寧ではあったものの抑揚を欠きつつも圧の込もった言葉と、その鋭い目つきに気圧され、額と背中に冷や汗が流れるのを感じた。


 あのー先生(【状態異常無効】)、お願いだから仕事して?


大鬼(オーガ)と言えば、西の森でも深層の手前辺りなら()()()極希(ごくまれ)にではあるが、出没するのは知っている。その討伐には私たちも駆り出された事があったからな。だが、変異種である大赤鬼(レッドオーガ)ともなると、話は別だ。あれは変異種ということだけあって、大鬼(オーガ)よりランクは高い。ただの大鬼(オーガ)相手であれば、私たちのパーティーだけでもそれなりの損耗を覚悟すれば討伐出来なくもないが、大赤鬼(レッドオーガ)相手では分が悪い」


 メリッサさんは手で顎をさすりながら、視線を宙に向け、考えるように呟く。


「何と言っても大赤鬼(レッドオーガ)大鬼(オーガ)頑強(タフ)さに加えて火属性に高い抵抗を持つらしいので、オーリンとは相性が悪い。それもあって大赤鬼(レッドオーガ)相手となれば私たちだけでは、とてもじゃないが討伐は難しいだろうな」


 そう結論を出したメリッサさんが肩を竦めるその後ろで、オーリンちゃんがそっぽを向いているので、相当相性が悪いということなのだろう。


 ふむ、なるほどね。確かにレッドオーガが持っていたスキルには【火属性耐性】なんてのがあったな。


 まあ僕らには火属性系統のスキルは持ってなかったし、レッドオーガの持っていた【火属性耐性】のスキルレベル自体も3だったので、たいしたことは無いな、と考えていた。


 しかし、僕が持っている【七大属性耐性】の効果を照らし合わせてみると、耐性系のスキルがレベル3の場合、ダメージが2割以上軽減されると考えられる。


 そう考えれば、【魔術士】系統が主な攻撃役(ダメージディーラー)であるパーティーにとっては、たとえ耐性系スキルのスキルレベルが低くても、その影響はかなり大きいのだろう。


 単純に手数が一手は余計に増えることになるのだから。


 ゲームで言うような『1ターン(しの)ぐ』ということであれば簡単に聞こえるかもしれないが、ここはゲームでは無く現実世界(リアル)であり、正にその『一手』『1ターン』が生死を分けることになりかねない。


 僕も【風属性耐性】や【土属性耐性】、【雷属性耐性】なんかのスキル持ちを相手にするときは、たとえ耐性スキルのスキルレベルが低くとも注意が必要だな、と考えていると、ふと頭の中で何かが引っかかった。


 うん? なんだろう、何かを忘れている気が…………あ、ラピスの【打撃耐性】のスキルレベルをMAXまで上げてたわ。


 あの時はアドレナリン出まくりで、後のことは全く考えられなかったので、ラピスの安全確保のために勢いでやっちゃったけど、これよく考えるとひっじょーにマズいのでは?


 ステータス的にはレッドオーガのステ振りが尖り過ぎていて、単純に比較するのは難しいが、メリッサさんたちは四人ともユニークスキル持ちということもあり、同レベル帯の他の冒険者と比べるとそのステータスは頭ひとつどころか、二つも三つも抜き出ている。


 そんな人たちが、こう言ってはなんだが、耐性系のスキルレベル3程度のスキルを持つ星四つの魔物を討伐は困難だと言う。


 じゃあ、スキルレベルMAXの【打撃耐性】を持っているラピスは?


 ……うん、やばくね?


 もし、万が一、ラピスが僕の制御を離れた場合を考えると……。


 ま、まあ、いちおー【打撃耐性】スキルの詳細を確認しておこうかな。


 【火属性耐性】と違って、【打撃耐性】は案外大したこと無いのかもしれないし?



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


名称:打撃耐性

区分:コモン(パッシブ)

取得条件:体力100以上、累計で1000回打撃

     属性の攻撃でダメージを受ける


概要:打撃属性の攻撃に対して耐性を得る


Lv1:打撃属性の攻撃に対して9%軽減

Lv2:打撃属性の攻撃に対して18%軽減

Lv3:打撃属性の攻撃に対して27%軽減

Lv4:打撃属性の攻撃に対して36%軽減

Lv5:打撃属性の攻撃に対して45%軽減

Lv6:打撃属性の攻撃に対して54%軽減

Lv7:打撃属性の攻撃に対して63%軽減

Lv8:打撃属性の攻撃に対して72%軽減

Lv9:打撃属性の攻撃に対して81%軽減

Lv10:打撃属性の攻撃に対して90%軽減


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 ぬぉっ!? スキルの性能が半端ねぇ!! 誰だよ、大したこと無いとか言った奴は!!


 【七大属性耐性】に対してカンスト特典が無い代わりに、1レベル毎の軽減率が2%上昇してるじゃねぇか!


 減衰率だけいったら【七大属性耐性】より優秀じゃん!


 そう、ラピスの【打撃耐性】のスキルレベルはMAX、即ち10なので、打撃属性の攻撃を受けたとしてもダメージは九割減。


 ほぼ無効でーす。ああ、いや1割は通るから無効とは言えないか。


 とはいえ、ラピスに対しては打撃によるダメージはほぼ通らないと考えていいだろう。


 これに加えて【斬撃耐性】のスキルレベルもMAXにしてしまえば、完璧だな!


 そうすれば、ちょっとやそっとのことじゃラピスに危害を加えることは不可能である、という結論が出たので、安心安心っとひとり頷いておく。


 それはそれとして。


 この【打撃耐性】スキルは取得条件がコモンスキルにしては結構キツめ――ステータスの体力が100以上というのもそうだが、『ダメージを受ける』ということは、軽く叩いた程度では条件は満たされない――ではあるが、ラピスは星一つにランクアップした時に獲得したスキルだ。


 これらスキルは、取得条件を満たした時に取得出来るのは当然であるが、それ以外にも魔物であればランクアップ時に、人であればジョブレベルが一定のレベルに上がることで獲得出来る場合もある。


 なので、スキルを持っていること自体は問題無いのだが、そのレベルが問題だ。


 僕のスキルは【鑑定偽装】で隠しているのでバレる心配はほぼ無いが、【鑑定偽装】はスキル所持者にしか効果を及ぼせないので、ラピスのステータスは鑑定系スキルに対してはノーガードの状態だった。


 星二つの魔物にしてはやたら高いステータスもそうなのだが、今の話を聞いていると、スキルに関しても種類はともかくスキルレベルについては、どうにかして隠すか、誤魔化せないものか、と考えざるを得ない。


 まあ、魔物に対して鑑定がどこまで効果を発揮出来るのかわからないが、早急に何か対策を考えておこう。


「しかし、西の森にそんな大物が居たとは、な。あの森の(ぬし)大狼(グランドウルフ)だったはずだが、代替りしたのか? いや、だとしても森の(ぬし)とそう簡単に出会すとは……」


 僕がラピスのことをあれこれ考えていると、再び思考に沈んでいたメリッサさんが、はたと何かに気がついたように顔を上げ、突然ギロリとした視線を僕へと向けてきた。


「ハルトくん。君はまさか、とは思うが深層、その奥にまで行ったのか?」


 おっとっとぉ?! メリッサさんがぶつぶつと独り言を呟いていたかと思ったら、とんでもないことを言い出したぞぉ!?


 僕だって、僕とラピスのあの時までの力量は(わきま)えていたつもりだし、何よりラピスとたった二人で、オーガなんて魔物が出てくるような、そんなおっかないところに採取目的だけで踏み入るほど、向こう見ずじゃ無いつもりだ。


 まあ、さっきまではそんなことは知らず、強そうな魔物が居そうだってことくらいしか知らなかったけどさ。


 ただ、危機管理系のスキルは充実させていたから、中層手前くらいまでなら、そういった危険を回避しながら採取出来ると踏んだまでだ。


 そんなことを考え、スキルについては(ぼか)しつつも、慌てて僕ひとりで先日までと同じところを探索してもあまり薬草が採取出来なかったこと、ほんの少しだけ森の奥に入ってみると薬草の類がたくさんあって採取していると大きな気配が近寄ってきたこと、その気配を確認しに行ったらそれが赤銅色の肌をしたオーガを発見したことを話した。


 続けて、そのレッドオーガを見た()()()がやっつける! と意気込んでいたので諭したが止まらず、呆気にとられていると不意を突いたのが功を奏して、見事討伐してしまったこと、その討伐したレッドオーガの近くに気を失ったステラが倒れており、手当をして気が付くまで看病していたらこんな時間になってしまったということを説明。


 数箇所誤魔化し(フェイク)が入っているが、きにしなーい。


 さて、今回の件で一番重要なことは『無星の冒険者である僕が積極的に魔物の討伐をしたというわけではない』ということだ。


 実際、レッドオーガはラピスの体当たりで瀕死の重傷だったし、僕はトドメを刺しただけ。


 ……討伐するって決めたのば僕だけども。


 ま、まあギルドカードの討伐履歴には載ってしまったが、これだけを聞けばラピスがちょっと強い使い魔ってことで納得してくれちゃったり、なーんてことには…………なりませんよねぇ、ええ、ええ、わかってましたよ、コンチクショウ!


 説明し終わった段階で、なんとも言えない表情のメリッサさんたちの横、受付カウンターの奥からアンナさんのスタ〇ドである般若が仁王立ちしているのが見え……あ、(ちげ)ぇ。あれ、スタ〇ドぢゃねーや。アンナさん本人だったわ。


「あれほどっ! 言ったのにっ! 貴方はいったい何をしてるんですかっ!!」


 鬼のような形相で、ぷるぷると震える拳を握り締めながら放ったその凄まじいほどの怒声は、酒場エリアで陽気に酒を飲んでいた冒険者たちが何事かと振り返るほどだった。


 ひぃぃぃぃぃ!! ラピスの功績を前面に押し出してみたものの、そんなことは関係無ぇとばかりに、アンナさんの顔がおっかないことになっていくぅ!


「い、いや、待って下さい! ぼ、僕も何もしてないってことはないんですが、(おも)に頑張ったのはラピスで……」


「頑張ったぁ……?」


 あ、あかん、これアカンやつや。完全に目が据わってるでぇ。


――そーなの! らぴす、つおいの!!


 僕の一言で何故か一気にトーンダウンしたアンナさんに(おのの)いていると、同じく僕の言葉を聞いたラピスが僕の頭の上で上機嫌にぽんぽん跳ねる。


 が、ラピスの声は聞こえていないはずなのに、それに反応したかのようにアンナさんがラピスのことをキッと睨んだ。


――ぴぃっ!


 そのアンナさんの突き刺さるような視線を受けたラピスは、短い叫び声を挙げたかと思うと、瞬時に僕の服の中へと逃げ隠れた。


 ちょ、ラピス?! ひとりで逃げるなんてずるいぞ! 逃げるなら僕も一緒に……!


「頑張った、じゃなくてラピスちゃんのタガが外れただけです! 使い魔が暴走しないように管理するのは主人の責任って、さっきビックスくんも言ってたでしょう!!」


 い、いえす、まむ! そうでした!!


 再び放たれた怒声とと共に、僕の敗訴が決定した瞬間だった。






―★―★―★―★―★―






「二人とも、落ち着いたか?」


 腰に手を当てて、呆れた様子のメリッサさんがため息混じりにそう言った。


「……ええ、なんとかね」


「はぃ」


 【状態異常無効】先生が全く仕事をしてくれなくて、項垂れながらも、未だに服の中でふるふる震えて怯えている様子のラピスを服越しに撫でて気持ちを落ち着かせるように自身へと言い聞かす。


 その様子にステラも僕の腰辺りの服を掴みながら、心配そうに見上げていたので、頭を撫でてあげると、少し嬉しそうにふにゃっとした表情を浮かべる。


 その仕草にちょっと癒されていると、アンナさんの視線が突き刺さる感じがしたので、顔を上げてみると、案の定アンナさんにジト目で見つめられていた。


「それで? ハルトさんは大赤鬼(レッドオーガ)を見つけたにも関わらず、何故撤退せずに討伐しようと思ったんですか?」


 先ほどのように感情を爆発させることもなく、静かな声音であったが、アンナさんのそれは嘘も誤魔化しも許さないと言った非常にドスの聞いたものだった。


「えーと、ですね。それは……」


 ラピスとステラを撫でながら、当時の状況を思い浮かべる。


 確かに、アンナさんの言う通りだ。


 無星の、魔物との戦闘経験の無い冒険者が、レッドオーガのような強力な魔物を見かければ、その場から即逃走すべきだ。


 逃げ切れるかどうかは別にして、ね。


 でも僕はステラの声を、魂からの叫びを聞いてしまった。


 アンナさんは知らないだろうが、幸いにも僕は危機管理系のスキルは充実しているし、戦闘スキルもあり、魔術だって使える。


 いざとなったら【ポイントコンバーター】でレベルを上げてステータスを上げることだって出来るのだ。


 実際ラピスには戦闘直前でレベルを上げられる限界まで上げたし、【打撃耐性】のスキルレベルも上げて、【強化魔術】でステータスの底上げもした。


 ちょっとした不安もあったが、いくつもの手札があって、その手札のいくつかを切ればレッドオーガの討伐は可能だったし、またそれをしなければステラを助けることは出来なかった。


 そもそも助けるつもりが無ければ、【気配察知】が捉えたマーカーが僕らより大きいとわかった時点で引き返している。


 それをしなかったのは、(ひとえ)に僕の我儘であり、この世界で生きていくための決意、その現れだ。


 僕の目的の前に立ち塞がるのであれば、それは敵であり、敵であるのならば、それがどこの誰であろうと倒さねばならない。


 結果的にではあるが、あの集落の惨状を目の当たりにして、それを改めて思い知らされた。


 今ではあの惨状を見せつけてくれたレッドオーガにも感謝しているくらいである。


「さっきも言いましたが、ラピスが、ってのもあるんですけど、この子に助けを求められたから、ってとこですかね」


 僕はその言葉とともに、撫でられて嬉しそうにしているステラへと笑みを向ける。


「それは……はぁ、そーですか」


 その様子を見たアンナさんは、苦虫を噛み潰したかのような顔で何かを言い淀み、次いで諦めたかのような溜息とともに受付台へと突っ伏してしまった。


「あはは、すみません。それで、えっとペナルティとかってあったりします?」


「ぺなるてぃ?」


 僕の問いかけに顔だけを上げたアンナさんが、その顔に胡乱げな表情を浮かべて、オウム返しに繰り返してきた。


「あっと、罰則? って言うんですか? そんなカンジのヤツです」


「当然です! ……と言いたいところですが、特にはありませんね」


 アンナさんは突っ伏していた身体をすっと正して、背筋を伸ばした姿勢から鋭い視線を投げかけてきたかと思ったら、意外にも罰則は無いと言う。


 ほぇ? え、じゃあ、なんで怒られたん?


「はぁ、なんて顔してるんですか。実際今回のことで、堅気の方に迷惑かけたわけでもないですし、ギルドに不利益もたらしたわけでもありませんし。強いて言えば『身の丈に合った依頼』ってのに引っかかるのかな? とは思いますが、これは基本的に推奨してるってだけで、絶対ではありませんから。身の丈に合わない依頼を受けて失敗したら、ギルドに不利益をもたらしたってことで、謹慎くらい受けてもらうかもしれませんが。というかそもそも、ハルトさん大赤鬼(レッドオーガ)の討伐なんて依頼受けてませんよね? 出てもないですし」


 あー、まあ確かに。あれと遭遇したのは完全に突発事故のようなもんだったしね。


 ぽかーんと間の抜けた表情をしていた僕だが、それを聞くと、確かに規約には抵触してないわ、と思い直した。


「なので、当然討伐報酬なんてものも出ませんからね」


 まあ、それは別にいいんです。期待してなかったと言うと嘘になりますけど。


「後はーそうですね、私たちを心配させた、ってことぐらいです」


 うっ、それを言われるとなー。


 僕がたはは、と苦笑いしながらこめかみを掻いていると、アンナさんは真面目な表情で僕のことを真正面から見据えてくる。


「いいですか、ハルトさん。冒険者という仕事は常に危険と隣り合わせなんです。自分の力量を見誤ったり、過信したりして、戻ってこなかった冒険者なんて、このルセドニの街だけでも毎年何十人といるんです。私は、私たちは、ハルトさんがその中の一人になんて、なって欲しくないんです」


 若干潤んだ瞳でそう言い洩らすアンナさん。


 視界の端でワイルドローズの四人も頷いているようだった。


 アンナさんを泣かせてしまったことに罪悪感が芽生えたが、知り合って十日くらいしか経ってないのに、こんなにも気に掛けてもらえるとは、思ってもみなかったな。


「いいですか、こんな無茶なこと、もう二度としないでください」


「はい、分かりました。気をつけます」


「……はぁ、その顔はまたやるかもって顔ですねぇ」


 ちょ! アンナさん?! 今僕、結構殊勝な顔してると思うんですけどぉ!!


 いや、まあ、否定出来ないところはありますけどね。流石に暫くは自重しようって気はありまっせ?!


「うーん、この顔を見てると、お咎め無しってのも何となく(しゃく)なのよねぇ。他の低位冒険者の方が真似するかもってことも考えると、何かしら罰を受けてもらった方がいいのかしら?」


 な、なんですとぉ?! さっき罰則無いって言ったぢゃん! 嘘イクナイ!! てか私情入ってますよね!!


「ま、この件に関しては、ギルドマスターに報告して、裁定を下してもらいましょうか」


 ぐぬぬ……何か、ペナルティを回避する手は無いのか?!


「さて、それはそれとして」


 無情にも言外に抗議の受け入れ余地無しと告げられたことに、僕はガックリと項垂れるしかなかった。


「そっちの子は新しくハルトさんの使い魔になったんですよね?」


「あ、はい、そうです。レッドオーガに襲われていたのを助けた縁で、使い魔になってくれました。ステラ、ご挨拶出来る?」


 僕が途方にくれながら、ステラにそう言うと、ステラはひとつ頷いて、僕の後ろから一歩前に進み出る。


「ステラ、言ウデス。ますたニ貰イマシタ」


 そうステラが自己紹介をしつつ、深々とお辞儀をした。


 メリッサさんたちも、アンナさんも、その仕草に驚いた様子だったのだが、一際驚きを示したのは先程からキラキラと目を輝かせてはステラとの距離感を計ろうとしていたコーデリアさんだ。


「え?! この子喋れるんですか!?」


「集落、タマニ人間クル、デス。ソノ時少シ覚エル、デス」


 コーデリアさんの驚いた様子に少し怯えながらも、拙い言葉でステラがそう返すと、いっそう目を輝かせるコーデリアさんだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・矛盾点・説明不足・わかりにくい表現等のご指摘いただければ幸いでございます。

ただ、作者ガラスのハートでございますれば、柔らかい表現でお願いいたします。

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