表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/67

第二十話 冒険者ギルド

 辺境森林対策防衛拠点の街ルセドニ。


 これがこの石壁に囲まれた街の正式名称だ。


 これは後で知った情報なのだが、この世界は海を隔てて南北に一つずつ、東西に長い大陸が存在しているという。


 そしてこのルセドニという街は、北大陸の三分の一という随一の領土を誇るディアモント帝国、その南西部に位置している。


 人口は約三万人、街を囲う石壁は街の外からは見えなかったが、内壁と外壁の二つがあるようで、内壁は街の中心地から半径一キロメートル地点に、外壁は中心部から半径三キロメートル地点にあり、それぞれ三メートルほどの高さを有していた。


 内壁の内部は領主館や行政機関、そしてそこに従事する人間の居住区となっており、そのまま『行政区』と呼ばれている。


 内壁の外側から外壁の内側については、南西部から北部にかけて門の外に広がる田畑を耕す農夫とその家族が住まう『住民区』、北部から南東部にかけてはこの街で商店を構える者や鍛冶工房や細工工房といった物造りに従事する者が居を構える『商業区』、そして南東部から南西部にかけては流れ者や冒険者といったこの街に居住権を持たないものが集う『冒険者区』と定められている。


 また宿屋の数が最も多いのは『冒険者区』であり、区画としてこのように定められてはいるが、『商業区』にも宿屋はあるので、居住権を持たない者全てが『冒険者区』に密集しているわけではないという。


 ただし、『行政区』や『住民区』には特別な許可がない限り、居住権を持たない者が足を踏み入れると、法を破ることになり、非常に重い罰則を受ける事になる。


 これは冒険者や流れ者との住民によるトラブルを避ける為なので、仕方ない措置と言えるだろう。


 また人口に対して敷地面積がかなり広いと思われたが、それは極一部の建物が三階建てで、それ以外のほとんどの建物は二階建てか平屋造りとなっているので、敷地面積あたりの人口密度がそれほど高くないためであった。


 さらにいうと、三万人という人口はこの街に居住権を有している人口の数なので、短期逗留の商人や冒険者、傭兵といった流れ者も合わせると、この街で生活している人口は四万人近くにも上るという。


 総人口の二十五パーセント近い人間が居住権を持たない、という驚くべき数字であり、そんなんで街として成り立つのか? と激しく疑問を抱いたのだが、それにはこの街の成り立ちが関わっているらしい。


 そもそもこのルセドニという街は、元々辺境開拓民という人々が切り開いた集落が始まりであり、その集落の人々は南西部に広がる広大な未開の森を切り開くために集められたという。


 当時は不可能とまで言われたその試みは、豊かな森の恵みと人々の執念ともいえる努力と根気、そして熱意が数十年という長き月日のもとで、見事形となり、成し遂げられることとなった。


 当初集められた十数人の人々は、少ないが密度の高い交流の中で子をもうけ、その集落の規模は時代とともに村と呼べるほどに大きくなり、そして商人と言葉を交わし、難民を受け入れる等をして、町と呼べるほどの規模――ディアモント帝国では、百人未満の人間が住まう場所を『集落』、百人以上千人未満を『村』、千人以上一万人未満を『町』、一万人以上十万人未満を『街』、十万人以上を『都市』という号の基準が設けられており、それにより納税額や補助金が定められている――へと発展していった。


 その発展の最中、豊かさを狙った腐肉喰らいの如き野盗や、森から溢れ出た魔物の襲撃により、全滅は免れたものの半壊したことは幾度となくあったという。


 だが、それでも人々はその度に、血反吐を吐きながらも町を立て直し、生の営みを諦めること無く育み、町の発展に文字通り心血を注いできた。


 そしてある時、辺境開拓民とその子孫の功績が認められ、それまでは広大な国領の一部であったその場所は、領地分けによりひとつの領地として確立することとなる。


 この時既にその集落であった場所に住まう人々は五千人を超えていたため、ルセドニという名前と、自治結集の単位では上から三番目である『町』の号を与えられることとなった。


 このルセドニの町はそれまで号を与えられなかったため、町を囲う柵などは設けていたが、石壁や堀などを設置することは許されておらず、それ故に度々野盗や魔物に蹂躙されるという悲劇が起きていたのだ。


 野盗もはた迷惑な存在ではあったが、何より森から溢れ出てくる魔物が厄介極まりなかった。


 それまで未開の地とされていた南西部であったが、この頃には周辺にあった森はもう随分と切り開かれていて、森から溢れ出てくる魔物の強さがガラリと変わっており、町の男衆が武器を持ったところで全くもって太刀打ち出来ないほどであったという。


 そのため、当時ルセドニを含む一帯の領地を拝領した貴族は、『町』の号を授けられたからにはそれ相応数の兵を配置するべく奔走したのだが、そこでひとつの問題に直面することとなる。


 その頃のルセドニを中心としたこの領地は、森を挟んだ東側と南西部に小国ではあるが他国との国境線が存在しており、またディアモント帝国は東部との戦を終えたばかりで、少なからず国力は低下しており、兵士たちも疲弊していた。


 兵の数は足りない、足りていたとしても帝国の内部情勢上、無闇に他国を刺激するわけにはいかない。


 だが、野盗や森の魔物を撃退するには相応の兵数が要求される。


 正にあちらを立てればこちらが立たず、という状況に陥ることとなった。


 そこで領主となった貴族が苦し紛れに打ち立てた政策というのが『強い魔物の素材を求める冒険者を呼び寄せる』というものだった。


 その結果、この政策が功を奏し、多くの高い実力を持つ冒険者を集めることに成功したのだ。


 冒険者というのは、上位であればあるほど、強い魔物の素材を求める。


 それは更に己を高みへと押し上げるために強い魔物と戦い、経験値を得て、レベルを上げるため。


 そして倒した魔物の素材を使い、より良い装備を拵えるためである。


 また冒険者というのはどれほど実力があっても、とある理由からその国の戦力とはみなされないため、また兵士として呼び集めるわけではないので雇用問題も発生しないという点も領主にとっては好都合であった。


 加えて冒険者という存在はある程度上位の者であれば、魔物と相対した経験も多く、盗賊退治を専門として生業にする者もいたので、現状のルセドニの町の防衛という観点から打って付けの存在であったのだ。


 難点としては、最底辺の者はそれこそ農夫に毛が生えたようなものであったり、実力があっても盗賊一歩手前の食い詰め者が多いことだろう。


 だが、最底辺の強さしか持たない者はともかく、食い詰めものであっても、腕っ節さえ確かであり、魔物を狩る事が出来るのであれば、その魔物の素材を売ることで日々の糧は十分に稼げるので、盗賊に堕ちる者はそう多くはなかった。


 町の住人は森を更に切り開き、田畑を耕す。


 集まった冒険者や流れ者は森に入り、魔物を狩り、素材を手にして日々の糧を得た。


 冒険者たちが魔物を間引きすることで、町に安全が訪れ、そこへ商人が我先にと集まる。


 時折現れる野盗の類は町の住人も冒険者も関係無く武器を取り、そこに住まう人々全ての力を集結して駆逐された。


 そのような日々が数十年に渡り巡ると、やがて冒険者を引退した人間が町に根を下ろし、魔物の素材の取引が目当てだった商人らは店を構える者が現れる。


 そうしてルセドニという町は少しずつ少しずつ発展していき、やがて数百年の時と人の営みを重ねてきた結果、ルセドニは号を『町』から『街』へと改められることとなった。


 こうしたルセドニという街の歴史から人々はここを『冒険者の集う街』と呼ぶようになったという。


 またこういった街の成り立ちのため、僕のような身分証を持たない人間に対しても、犯罪歴の有無の確認のみといった、割と緩い審査だけで街の中に入ることが出来るのだ。


 閑話休題(それはさておき)


 審査を無事何事もなく終えた僕は、仮の身分証である木札を握りしめ、衛兵の詰所から門の方へと歩を進める。


 門を抜けると、そこは多くの人で賑わっていた。


 威勢良く呼び込みをするガタイのいいおっさん、値切り交渉しているふくよかな女性、子供は元気に走り回り、屋台からは香ばしい匂いが漂ってくる。


「おお」


 久しぶりに目にする人の営みに思わず声が漏れ出てしまう。


「おーい、こっちこっち」


 呆然と目の前の光景に見入っていると、先に街に入っていたワイルドローズの面々が現れ、トリフィラさんが手をひらひらと振っている。


「おつかれー。ビックスに酷いことされなかった?」


「あ、はい。大丈夫です。ビックスさんには色々と丁寧に教えてもらえました」


「そか、ならよし。……お仕置きはさっきの分だけにしておいてやろう」


 トリフィラさんが何やら黒い笑顔をしている。


 一人楽しそうに含み笑いをしているトリフィラさん、それを呆れた目で見ていたメリッサさんが処置無しとばかりに肩を竦めてから、僕の方に振り向く。


「それで、ハルト君はこれからどうするんだ? 私たちはこれから冒険者ギルドに向かおうと思っているのだが……」


「えー、今から向かうの? 明日じゃダメなの?」


「私としてもコーデリアのこともあるし、今日は早々に身体を休めたいところなんだけどな」


「……ん、依頼の細かい結果報告は明日に回すとしても、帰還の報告は後回しにすると、後が面倒。特にギルマス」


「ま、そういうことだ。不本意ではあるが、諦めろ。それでコーデリア、体調のほうは大丈夫か? 厳しいようであればオーリンと一緒に、先に水瓶亭に向かっても構わないが」


「そうね、少し厳しくなってきたところだけど、帰還の報告だけでしょう? であればなんとか踏ん張ってみるわ」


「そうか。ならもう少しだけ辛抱してくれ」


 朝から今まで、割と平気な顔をしていたコーデリアさんだったが、臓器が伺えるくらいの大怪我をして、本来であれば失血死してもおかしくないくらい大量の血を失っているのだ。


 いくら三種類の異世界のお薬(ポーション)で治療したとはいえ、まだ万全の状態とは言えるはずが無かった。


 その証拠というわけでもないが、野営地からの道中、足元が覚束無くなることも屡々(しばしば)、時折メリッサさんやトリフィラさんの肩を借りていたし、早めに安静にして、身体を休めるに越したことはない。


 まあそれはコーデリアさんだけに言えることじゃない。


 他の三人の表情にも疲労の色は濃く出ているので、その心情をトリフィラさんが代表して言葉にしただけなのだろう。


「ちえー。ま、しゃーないか。んじゃ坊やも一緒に行きましょうか。どうせ身分証が必要なんでしょ?」


 確かにビックスさんから『五日以内に正式な身分証を手に入れろ』と言われていた。


 また即日発行してくれるのは、冒険者ギルドぐらいだとも。


 そもそもギルドというのは、それぞれの職種における相互扶助を目的としたの組織の総称であり、その運営形態は大多数が国家によって運営されている。


 数は少ないが、多数の国家が支援しているものの機関としては独立しているギルドというものもある。


 だがどちらの運営形態であっても、根っこのところは仕事や依頼の斡旋や仲介、製品の品質や規格及び価格などの統制、販売や雇用そして教育による職人の技術維持及び向上やノウハウの継承といったものが主な目的となる。


 そして国家が運営するギルドであれば、登録には厳しい審査が必要となり、すんなり通ったとしても登録が認められるには十日前後の時間が必要となるらしいが、冒険者ギルドは数少ない独立ギルドであるため、登録審査に関してはその土地の支部に一任されているため、早ければその場で、遅くとも翌日には登録出来るという。


 故に手っ取り早く身分証を手に入れるには冒険者ギルドに登録するのが一番の近道ということなのだ。


「そうですね、身分証もなんですけど、僕は今文無しなので、どうにかしてお金を稼ぎたいところなんですが」


 そう、第一目標だった人里への到着を果たした今、次に何が必要かというと、現金が必要なのだ。


 元の世界の中世レベルとはいえ、流石に文明圏で物々交換というわけにはいかないだろう。


 実際辺りを見回してみると、昨晩メリッサさんに見せてもらったものと同じ硬貨で物の売り買いをしているのが目に付いた。


 世界が変わったところで、食事をするにも、宿に泊まるにも、何をするにもお金が必要な世知辛い世の中であることには変わりが無い。


「ああ、それについては心配しなくても大丈夫だ」


 腕を組んで直近の、具体的には今日の夕食と今晩の宿代の資金調達手段について考えていると、メリッサさんからそのように告げられた。


「へ? それはどういった……」


「あのね、坊やみたいに手ぶらってのは流石に珍しいけど、冒険者になろうって奴らは剣一本、槍一本であとは着の身着のままってのはそれほど珍しくは無いからね。そういった奴のために、冒険者ギルドでは初回登録時に限って、銀貨十枚くらいは借受出来る制度があるのよ。といっても、ギルドに登録するにも登録料が掛かるし、それもそこから差っ引かれるから、実質銀貨七枚になるんだけどね」


 ああ、なるほど。


 獲物以外に資産がない輩が、その日の糧を得るために冒険者ギルドの門を叩いたというのに、冒険者になるために、その日の宿代を求めるために、唯一の生命線とも言える獲物を質に入れるわけにもいかないだろう。


 銀貨七枚がどれほどの価値になるのか、いまいち判然としないが、確かにそういった救済措置があれば、先立つものがない輩が野盗や盗賊になることに対して、多少は歯止めが掛けられるかもしれない。


「それに言っただろう、薬の代金は街に戻ったら必ず支払うと。ヒールポーションだけでなく、いくつもの貴重なポーションを使ってまでコーデリアの治療をしてくれたんだ。ハルト君が居なければ、私たちはコーデリアを失っていたかもしれないんだ。それに見合うだけの報酬は約束するよ」


 あー、そーいや、そんな話もしたっけか。


 僕としては、ヒールポーションの検証が出来たので、金銭を対価に薬の効果をその身体で確かめる治験のイメージでいたこともあり、むしろ僕の方が対価を支払うべきなのかなあと思っていた。


 それに加えて、色々と面倒になことになる前に忠告を貰えたこともあり、ますます借りが出来てしまったなあと思っていたのだが、ワイルドローズの皆さんはそう考えてはいなかったらしい。


 まあ人の生命が羽のように軽い世界だ。


 見ず知らずの人間が、何の見返りもなく人一人の生命を救ったとは考えないのであろう。


 それであれば、何か理不尽な対価を要求される前に、金銭で片付けてしまおうと考えても不思議では無いか。


「まあ差し当たっては、ハルト君に必要なのは今日と明日のの食事代と宿代だな。それ以上については……まあ金銭以外のことを求めるのであっても、すまないが明日また相談させて欲しい」


 ちらっとコーデリアさんに視線を送るメリッサさんと、それを受けてこくりと頷くコーデリアさん。


 その雰囲気は否定的なものではなく、どちらかというと暖かく肯定的な感じがした。


 んむ? なんだろうこの空気? 厄介事は金銭でとっとと片付けてしまうに限ると思いますよ?


「そーゆーこと。ま、取り敢えず今日のご飯と寝る場所については、アタイらに任せておきなって」


「そうだな。まあ、ハルト君ほどの強さであれば、普通に依頼(クエスト)をこなすだけでも食うには困らないだろうがな」


「そーれーとーもぉ、なんならこれから先もずぅっと、お姉さん達が食べさせてあげてもいいわよぉ?」


 しなを作ったトリフィラさんが妖しげな視線を送ってきたかと思うと、艶かしい仕草で舌なめずりをし始めた。


 ぉおう、トリフィラさんのその仕草を見ていると、なんだか背筋がゾクっとする。


 まるで、肉食獣にロックオンされたかのような……。


「お、おい、トリフィラ。その話は暫く保留だと言っただろう」


 焦ったかのような声を上げるメリッサさんにトリフィラさんの視線が移り、僕は不可思議な圧力から解放された。


「なによぅ、メリッサは反対なわけぇ? この坊や、今わかってるだけでも有用なスキルてんこ盛りなのよ? それにこんな可愛い男の子だよ? さっさと唾付けとかないと何処ぞの変態野郎に持ってかれちゃうわよ?」


 え? なにそれ怖い。


「い、いや、反対と言うわけではないが、その、ハルト君の意思もあるだろう?」


 ……メリッサさん、顔を赤らめて今何を想像しましたか。


 なんだか僕のあずかり知らぬところで、僕の行く末が決まりそうで、なんとなく恐ろしいんだけど。


 ふむ、しかしトリフィラさんがワイルドローズのパーティーに誘ってくれていると仮定して少し考えてみよう。


 僕のどこを気に入ってもらえたのかわからないが、出会って間もない、若い男である僕をパーティーに誘うなんて、それが本当なら、トリフィラさんも随分と思い切った決断をするものだ。


 しかし、女性のみで構成された、しかも美人揃いのパーティーであるワイルドローズに男一人が紛れ込む。


 僕も一応男であるからして、本当にそうであるならば、色んなイケナイ妄想も膨らむところだが、正直いって今の状態では絶対的に常識が足りていないのは昨晩のことでも嫌というほど自覚しているし、尚且つ僕が異世界人であることが発覚した場合、どのような扱いになるのか不明なこともあり、暫くは情報収拾に専念した方が望ましいと思われる。


 先輩冒険者でもあるワイルドローズの皆さんに、冒険者のなんたるかをレクチャーしてもらえるのは素直に嬉しい。


 けれども、今後の事を考えるにここにいつまでも留まることも出来ない。


 故に暫くはラピスと二人で、色々と手探りでこの世界のことを調べていくしかないのかもしれない。


 約二秒間もの時間をかけた脳内会議の末、この結論に至ると、オーリンちゃんが割り込んで来た。


「……メリ(ねぇ)、トリ(ねぇ)、ハル(にぃ)の参入はボクも賛成だけど、そろそろ移動したほうがいい」


 ふと空を見上げると、街に入るときにはまだ高かった太陽は大分傾き、空は茜色に染まっており、間も無く夕餉の時間といったところだった。


 陽が完全に落ちてしまえば、街の安全の為に街門は閉ざされてしまうため、これくらいの時間になると、日帰りで熟せる依頼により街の外に出ていた冒険者達が、一斉に帰還してくるので間もなくこのあたりも騒々しくなるらしい。


 また同様に冒険者ギルドも混み合うので、早々にワイルドローズは帰還の報告を、僕はギルト登録を済ませたいところだ。


 ということで、メリッサさん先導のもと、街門から大通りを十分ほど歩いていくと剣と盾が描かれた看板が見えてきた。


 看板が掛かっている建物にはでかでかと『冒険者ギルド ルセドニ支部』と書かれているので、どうやらここが冒険者ギルドの建屋みたいだ。


 外観は物凄くデカくて、木造三階建てとは思えないほど立派な建物である。


 ワイルドローズの面々に続いて建物の中に入ると、外観の大きさ通り、内部も相応に広々としていた。


 五十メートル四方はあろうかという広大なフロアは中央から左右では用途が異なるのか、背の低い仕切りで分けられている。


 向かって右手側には十もの窓口が設けられており、それぞれに二十代前半と思われる見目麗しい女性たちが控えていた。


 左手側には軽食や酒を提供出来そうなテーブルセットとバーカウンターが設けられており、ガタイの良い屈強そうな男女数名が赤らめた顔で談笑しながら小樽ジョッキを傾けているのが見える。


 それ以外には、まだ依頼報告のピークには若干早いのか、建物の中にいる人影はちらほらとしか見受けられなかった。


 おのぼりさんのごとくキョロキョロとしている僕を尻目に、メリッサさんたちは一直線に一番奥の窓口に足を向けていってしまう。


 それに気づいた僕は慌てて、メリッサさんたちの後を追うようにして冒険者ギルドの中へと足を踏み入れていくのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・矛盾点・説明不足・わかりにくい表現等のご指摘いただければ幸いでございます。

ただ、作者ガラスのハートでございますれば、柔らかい表現でお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ