閑古鳥落とせ
では、さっそく、と言って立ち上がった宗士郎は急なめまいに襲われて、膝が折れてしまった。
咄嗟に抱き留めたひろみにしがみ付いてしまい、計らずもその胸に顔を埋めてしまった。
「あらあら、まあまあ、宗士郎さん。さっそく、こんな所で……、ですか?」
少し顔を赤くしながら彼女は笑い、優しく抱きしめてゆっくりと座らせてくれた。
はっとした宗士郎は真っ赤になり、また頭を床にぶつけて誤った。
「け、け、決してそのようなつもりでは!」
彼女はまたくすくすと笑っていた。
「冗談ですよ、その御守りはあなたのチカラを封じただけで、怪我や疲労を回復した訳ではありません。無理をなさらないで下さい。」
「面目ない。」
「今夜はここにお泊り下さい。私が介抱致します。」
優しく……、と耳元で囁かれた宗士郎は、どきりとしてたじろいだ。
「どうしました?宗士郎様ぁ、お顔が真っ赤ですよぉ?」
近い……慌てて仰け反ると、かぶさるように、彼女は更に体を寄せて来た。しかも口調が何だか変だ。宗士郎は緊張で目が回りそうになりながら、ごくりと唾を飲んだ。
彼女が耳元でくすりと笑うだけで、びくりと震えてしまっていた。
「まあ大変、震えているじゃないですかぁ。どうぞこのまま横になって下さい、宗士郎様ぁ。」
言われるまでもなく押し切られてぱたりと後ろに倒れた。
「ふふふ、大丈夫。私がちゃんと介抱してあげる。」
(なんかまた口調がちがう!?)
「ちょっ………」
その時、
「ちょっとまったぁぁぁぁ!!」
ばーんと勢い良く戸を明けて少女が入ってきた。