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閑古鳥の巣立ち

……………………………………………宗士郎はため息混じりに笑う。



目の前の葵は楽しそうだ。槍を回したり構えたりして体をならしながら準備体操をしている。

……あの日から、毎日のように現われては挑みかかってきた彼女の性格はあいかわらずだが、確かにいい女に成長したと認めるしかない。…今の自分と丁度同い年位に見えるだろうか。


あの時のまま外見が変わらなければ、とっくに追い越されていただろう。


姉弟のように見えたかもしれないと思うと笑える。


……体を鍛えなおしてよかった。……日増しに強くなる彼女対しても、程よく手加減ができた。


あの日、槍が出した条件は、やはり力を示す事だった。


葵と勝負をして、ボコボコにされるか、槍が認めるほどの強烈な一撃を、彼女が打ち込む事ができれば、一時的に呪いは解く……と、いうものらしい。


何故“部外者”であるハズの自分がボコボコにされなければならないのか……、という疑問はあるが、問うだけ無駄だろう。


ソレよりも“一時的に”というところが気になった。

そもそも期待をしていたワケではないが、そこに含みがある様な気がする。ひろみさんがニヤニヤしていたのが余計に不安を誘った。



これについて葵は未だに口を割らない。ソレはすでに解決しているから問題ない……と、彼女は顔を赤らめた。



「私が勝った時に教えてあげる。」


なんて、可愛い顔してオレをボコボコにしようと躍起になっている。



残念ながら負ける気はしないが。


いつの間にか師事されるようになり、素直に教えを請う葵に稽古を付ける日々。隙を見ては攻撃に転じる彼女にケガをさせないよう、あしらうには、自分自身もさらなる鍛練が必要だった。


彼女にとってはまるでいたちごっこだろう。

……膨れっ面をしたり、悔し涙を浮かべたりする事もあったが、いつだって笑顔で、「明日は勝つ!」なんて安い捨て台詞を吐いて帰って行く。五年間ずっと……。


一週間前から姿を見せなくなって心配していたが、どうやら何か秘策があるようだ。



この一撃に賭けるつもりだろう。泣いても笑っても今日が期限だ。……部外者とされる自分がだせる唯一の条件、五年間逃げも隠れもしない代わりに、それまでに達成出来なければ、この村をでて二度と戻らない。それは期限であり、葵との約束だった。





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