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閑古鳥の巣立ち

そして、オレは旅に出た…と、宗士郎は語った。



「それからは人との関わりを断ち、人里を離れ、山から山へ移動しながら狩りをして、獣のような暮らしをしていた。」



「なるほど!それでケダモノにっ…。」



「………。」



ひろみは真顔だ。



「えぇ!?今の話を聞いて納得するのソコなのか!?」



「あら、娘を手ごめにした事の言い訳をしていたのでは?」



「今度は手ごめか!?」



宗士郎はがっくりとうなだれた。

これには葵も苦笑いしている。



「…なら言うが、そのケダモノに娘が嫁ごうとしてるんだぞ?親なら止めるべきだろ!」



「それは無理!そして無駄よ。親だもの、娘の事は誰よりも分かっているわ。」



即、……断言した。唖然とする宗士郎は間が抜けた顔で固まっている。しかしそんな事で冷める娘ではない。



「その通りよ!」


勝ち誇るように葵は無い胸を張る。

しかし、ひろみが“ただし!”と付け加えると、彼女の表情が変わった。



「条件があるわ。」



「うぅっ…」



またか……、と呻き、気まずそうに、やや緊張して母と向き合う。……そう、母はいつだって葵を止めたり、頭ごなしに否定したりしない。むしろ、意地になって暴走する自分の背中にそっと手を添えてくれる。

ところが、背を押してくれるかと、…味方になってくれるかと思った時、葵はホッとして勢いを失う。 そこで母が出す条件をはねのける事ができなくなってしまうのだ。



「なるほど…」



そういう事かと、納得する宗士郎。恐らくは、これまでも幾度と無く暴走して、周りが見えなくなった娘をそうやって制御……いや、導いて来たのだろう。

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