劇場《プリズン》への道
一方、蓁 董晶とウェンディは、応接室を離れ、白 鴻凱の指示で『ザナドゥ』へ行くよう指示されていた。
「しかし、どう思う? なんでこの時期にオレたちだけ劇場行きなんだ?」
董晶は首を傾げつつ、ウェンディに尋ねた。
「わからないわよ。『元老院』の重鎮を招いて警護するという任務と天秤にかけて、どっちが重いか、って話になるでしょ結局」
董晶は頷いた。
「劇場は『エピゴノイ』側の戦略拠点なんだろう、という気はするけれど、それ以外に、今必要な理由が思い付かない。まあ、行ってみないことにはわからないか」
ウェンディは返す。
「まあ、正直な話、思い当たる節はあるけれどね。おそらく、のレベルでしかないわ」
「何か思い当たるなら、言ってくれよ! 気になるじゃないか!」
董晶はやや怒った顔を見せた。
「それはね……あ、ちょっと待って」
途端、タイミング悪くウェンディの携帯電話が鳴り出した。
「はい、あらケイン。どうしたの。……そう、わかったわ、設置に協力するわ。それじゃ、また新居条で」
すぐにウェンディは電話を切った。
「なんだ? 思い当たる節ってやつか?」
董晶の疑問に、ウェンディは笑顔で答えた。
「そういうこと。まあ、行けばわかるわ。さあ、行きますか」
二人は、『ザナドゥ』への入り口、改札口のような場所の前に辿り着き、身分証明書をセンサーに触れさせた。