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俺の恋

活動報告にて俺が女体(ryの妄想が爆発しました

「やっちまったぁぁぁ!」

い、いやキスのことじゃないんだよ?いや、やっぱりそれもあるんだけどさ、それよりも勢いで逃げてきたから帰りかたがわかんない。

携帯や財布もカバンの中に入れてたし、そのカバンは置いてきたし、今俺何も持ってないんですけど!

(まぁ、自業自得だよね)

サキュバスぅぅぅ!貴様、許さん!

(いやぁ、サキュバスちゃんこう見えていろいろがんばってるよ?)

どこがだ!

(んー、精神の女性化?)

な、なんだよそれ、怖いんだけど

(えーとね、毎日魔力いりの暗示をかけて外見だけでなく内側からの女化に日々勤しんでるよ)

そ、それはやっちゃだめなやつじゃん!

(いや、もう精神の女性化も最後の一踏ん張りってとこだよ。あの男に対しての嫌悪感、なくなってきたでしょ~)

具体的に指摘されて冷や汗をかく。実際そうだ。なんだかんだいっても吉良とデートすることに嫌悪感は抱かなかった。


正直、さっきのキスに対しても、男としたってことよりも、ファーストキスを身勝手に奪われるという恥ずかしさと、自分で言うのもなんだが乙女心てきなものの葛藤でパニックになってしまったのだ。


「ヤバいなぁ、俺普通に女の子じゃん」

言ってしまった。


たぶん、俺は吉良が好きだ。男のままあいつと関わることになったら、友達として好きになっていたかもしれない。

だけど、サキュバスなんかに関わってしまったせいで、最近になって俺はあいつのことを異性として好きになってしまった。

でも、そんなことを認めたくなかった。男らしさを求めていた俺が、女になって数週間で男をマジで好きになるなんてありえないって思いたかった。

(にゃはは、女の子って悪くないでしょ)

あぁ、そうだなまったくだ。

甘いもんは周りの目を気にせず食えるし友達はできるし自慢の彼氏までできちゃったからな。

全部おまえのせいだよ、サキュバス。許さないからな

(素直じゃないね。まぁ、君はいつも気を張りすぎなんだよ。自分の気持ちに素直に生きなきゃ損するぜぇ~)

あー、イライラする。まんまとおまえの策略にはまるとはな。

おかげでいろいろと整理できたけどさ。とりあえず

「どうやって帰ろうか」

たぶん、ここは駅の近く。海からもそんなに離れていない。ただ、闇雲に歩くと迷う気がする。

吉良ぁ、助けてー

空はもう薄暗くなってきている。日の沈むのがお早いことで。


「そこの姉ちゃん、なんやみちにでもまよったんかいな」

唐突に後ろからかけられた声に肝を冷やす。

勇気を振り絞って振り返ると

「優奈ビビった?」

「もうっ!愛ったら、普通にこえかければいいのに」

見慣れた二人組がいらっしゃった。

「え…え?」

「驚きすぎだよ!私達このあたりにあるショッピングモールにいって、そのままブラブラしてたんだ」

「私達って…僕はつれてこさせられたんじゃないか」

「文句言わないの!というか、優奈も誘ったと思うんだけどなぁ…いつのまにかうやむやに」

「そういえば、そんなことあったような…」

「とはいえ、優奈はどうしてここにいるの?」

「…ぬぬぬ!もしかして、男では?」

うぐっ!

「え、優奈彼氏いるの?!」

これはヤバい。吉良と付き合うことになってしまってから二週間くらいだけど、ついにばれてしまうのか?

「僕の予想だとたぶん吉良君」

「うにゃっ!」

バッチリ当てられたぞ

「その反応…ふーん、なるほど。そういえばちかくに水族館があったよね。デートかな?」

「そ、そんなこと」

ビクンッ

ヤバい。二人の察知能力半端じゃない。


「そうかそうかぁ、デートかぁ。しかもあの吉良君と。よかったね、私は応援するよ!」

「いや、あの、その…」

「むむっ、雪乃殿!肝心の吉良君がみつからないでありますっ」

「そういえばそうだね。てか、優奈かばんは?」

「いやぁ、それがさ…」

「ここにあるぞ」

またもや後ろからかけられた声にぞっとする。なんなんだよまったく。

例によってビクビクしながら振り返ると、吉良がいた。


「あ、吉良」

「あ、じゃねーよ心配かけやがって。携帯までおいてくか?財布も持ってないだろ」

「お、おう」

なんだろう、いつもと吉良の雰囲気がちがう。っつーか優しくねぇ!

てかなんだこいつ!何で居場所がわかったんだよ!怖い。ありがたいけど逆に怖い!


「雪乃、ここはとりあえずひくべし!な気がする」

「仕方ないなぁ、うん、若い二人の邪魔はできないしね。優奈、学校で事情聴取だからね!」

2人は空気読んで帰ったのかもしれないけど、やだ私2人と帰りたかったのですわ!

うぉー、気まずい!俺を吉良と2人きりにしないで!


「はぁ、なんかよくわかんねーけど、俺達も帰るぞ。遅くなる」

「はっ、はいぃ!」

もはや声も変わってるよ!顔とか変わんないのに全体的に怖いよ!

てか、前にもこんなことなかったっけ?

(あったね。おー怖い。サキュバスちゃんはおとなしくひっこんどくよ。おやすみん!」

り、リタイアしやがったぞあの悪魔。そんなに危ないのか?こいつ


「優奈ちゃん、大丈夫?本当に見つかって良かったよ。さっきはごめんね」

「おっ、おう?」

あれ?戻ってる。なんだよ本当にこわいよさっきの!ほんとに二重人格かよ!

「さっ、予定がズレちゃった。優奈ちゃんのお姉さんが変な心配しないように帰ろうか」

この若干嫌みな冗談言うのは間違いなく吉良だな。

あぁぁあぁぁあぁぁ、どうしよう。…んっ、よし決めた!


「吉良っ!」

俺はとりあえず、ここで(・・・)らしくガツンと決めてやることにした。

サキュバスの思い通りになってしまうってのはいやなんだけど、こればかりはしょうがない。

「今日はごめん!俺恋人らしいことしなかったしお前をほったらかして…っていうか避けて1人で楽しんでた!でも…」

次の言葉を言ってしまったらもう後戻りはできないかもしれない。

まぁ、覚悟は決めた。これからは、おとこらしく自分に素直にやってやるぜ


「でも、俺はおまえのこと好きだからな!」

吉良が大きく目を開く。どっ、どうだ!一矢報いたんじゃねぇの?

とかいいつつ、自分の体が熱くなるのを感じる。勢いよく放たれた矢は、的にどう受け止められるのだろう。

「あはは、今日の優奈ちゃんはなかなか素直というか……そっか。」

そういいながら吉良に抱きしめられる。まぁ、いやな心地はしないかな。

「ありがとう、優奈ちゃん。でもね、優奈ちゃんがなにもしてくれなくても、僕は楽しかったよ。あと、優奈ちゃんは僕とちゃんと2人でたのしんでたからね。僕に話しかける姿は小学生か幼稚園の子供のような無垢そのものでとても微笑ましかったよ」

俺を抱きしめながら、耳元でそっとつぶやかれる。おれは顔を真っ赤にして


「うぐはぁっ」

吉良のみぞおちを殴った。

「おまえ!ばっ、バカにしてるだろ!」

「ごほっ!まぁ、怒ってる姿も可愛いよ。」

くっそ!いつもならここでもう一撃といきたいところだけど今はそんな時間もない。

とっ、特別に今日だけは許してやろう。

「帰るぞ吉良」

「そうだね。」


行きと同じく窓側でくっついたまま帰った。別に席は空いてたんだけど、吉良がどうしてもっていうから仕方なく。

うん。仕方なくだよ。



俺の家までの帰り道を2人で並んで歩く。

いつものように、わざわざ自分の家を通り過ぎなければいけない道を行く。

いや、先に言っとくけど手をつないだりとかそういうのはないから。

はい。まだそういうのは抵抗あるっていうかなんていうかまぁ、その…ね。

歩きながら今日のことを振り返る。色々あったけど一番心に残っているのは…

あ、そうだ事情聴取とかいわれたんじゃないか!うわっ、めんどくさっ!

女子のそういう恋愛が絡む話って超めんどくさそうなんだが。


まったく…一日一日を暮らすだけでも大変なのにな。

「あぁ、問題が多い」

「何か言った?」

一番の問題はこいつだな。

まったく、よりによってこいつを好きになるなんて。

「あ、そうそう」

「なんだよ」

「そろそろ僕のこと、″大雅″って呼んでくれてもいいんじゃないかな?」

「は?」

「僕は優奈ちゃんって呼んでるんだからさ、僕のことも下で呼んでくれるとうれしいなぁ」

期待のこもった____まるで撫でられるのを待つ子犬のような目で俺をみる吉良。えー、ちょっとなにこれ気持ち悪い。

「断る」

「隣町の限定プリン」

うぐっ…!

「たっ、た…」

「うんうん、た?」

「たいがいにしとけよ吉良っ!そっ、その手には乗らんからな!」

卑怯だ!限定プリンなんて!しかし今回は負けない!

「優しくないなぁ優奈ちゃん。名前に優ってつくくせにね」

「うるさい」


うだうだと言っているうちに家に着いた。こういう時間も今は悪くないと思える。

「それじゃあ、またね優奈ちゃん」

「はいはい。…おやすみ」

「っ、おやすみ!」

ニコニコ笑顔の吉良。ふへへっ、そんなに俺のおやすみが嬉しかったのか。そうかそうか。

俺が家の中にはいるまで帰ろうとしない吉良。ちゃんと見送ってくれることにすこし心が温かくなる。


ふと、ドアの覗き穴から様子をうかがってみる。俺を送って寂しいのか、その背中に元気がないような。

うんうん、そんなに俺が好きか。うんうん。仕方がない。魂が抜けたような背中をしている吉良に今日の褒美をくれてやろう。

とぼとぼと帰る吉良に忍び寄り後ろから抱きつく。

「気をつけて帰れよ、なんかぼーっとしてたよ」

「優奈ちゃん…わざわざまた家から出てきたの?」

「事故でも起こしそうなくらい魂の抜けた背中だったからな」

「それは激しい思いこみだと思うけど…ま、ありがとう。気をつけて帰るよ」

「そうそう。"大雅"に怪我でもされたら彼女である俺の夢見が悪くなるからな。月曜日も元気に迎えに来たまえ」



俺は別に、デレてなんかないんだからな。

第一部、完!

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