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親友

更新停止していた理由としましては、受験と言う名のモンスターと戦っていたからです。申し訳ないです。


と、いうわけで、続けていきましょう!我等の俺っ娘物語を!

「あのさぁ…」

「ん?なんだい?」

「いや、わざわざ家の前までこなくていいんだけど」

「なんで?」


「いや、理由はないけど嫌だわ」

繰り返し言うようだが吉良は駅から10分、俺は20分。わざわざ俺の家までくる必要あるのだろうか。

俺の家じゃなきゃだめなんですか?駅じゃダメなんですか?

そもそも一緒に行きたくもないんだが。


「ぼくは一刻でも早く優奈ちゃんにあいたいんだよ♪」

んー。まるで語尾におんぷマークが聞こえてくるようだ気持ち悪い。

「なぁ、こんなこときくのもなんだけど、なんでお前は俺のことが好きなの?」

「ふふふ、それはね。ぼくに対して愛想をふりまいてこないから!むしろ突き放して来るしね」

え…え?

「いやー、人に合わせて過ごすのも楽だし、あれはあれで楽しいんだけど優奈ちゃんみたいな子に自分から関わっていくのも楽しそうでしょ?」

な、なんだこいつっ!


「あー、俺はお前のおもちゃかっての」

なんてやつだ。なんか腹が立つので足を早める。


「も〜、優奈ちゃんは怒りん坊さんだなぁ。そんなにはやく歩くとこけちゃうよ?」

「なっ!この歳になってこけるかっての!…っとと」

ふっ、残念だったな小石よ。今日の俺はそんな手に引っかからないぜ。


「優奈ちゃん!」

ブンッ!

吉良が俺の体を引っ張ると同時にスピードをだした自転車が目の前を通り過ぎる。

「あっ、危ないな!」


「やれやれ、どう?僕がいた方が安全でしょ?」

ぐぬぬ…。俺こんなにおっちょこちょいだったかなぁ?まぁ、注意力が散漫になってるようだ。

気をつけなければ。




____

駅に着くと、見慣れた姿が見えた。

「よぉ、隆士。おはよう」


「ん?え?…え?」

なんだこいつ?挨拶くらい返せよなったく


「おい、人が挨拶してるんだから返したらどうなんだ?」

「え、あ、おはよう。…で、ごめんなさい誰でしたっけ?」

あ、しまったやらかした。これやっちゃいけないやつだ!


「えーっと、君。僕の優奈ちゃんに何か用?」

しまった!こいついたのわすれてた!めんどくせぇ!


「えーっと、ようも何もそっちの人が話しかけてきたと思うんだけど?」

そうです、そのとおりです!

「そんなことはどうでもいいけど、優奈ちゃんは僕のだからあまり近づかないでね?」

吉良ぁぁ!やめろぉ!

「え?あ、はい。」

なんなんだ!僕のって!…僕のって!恥ずかしいわ!

そしてすまない隆士!


「おい、吉良。何を勘違いしてるか知らないけど、こいつは彼女もちだ。話くらいさせろ」

とりあえずフォローする。


「えー、むー。」

いじけ方…おまえは幼稚園児か!

しっかしなんなのこいつの独占欲!危険すぎる。


「ごめん、こいつ危ない人だから。でだ、お前の友達の木下優について話したいことがある。放課後に駅で待っていてくれ」

「ん?優がどうかしたのか?そういや昨日今日とみてねぇけど。何かあったのか?」

「とりあえずものすごく大事な話だ。これ、俺の連絡先。なにかあったらここにたのむ。じゃあ、あいつがこわいから今はこの辺で」


「えっ?あ?とっ、とりあえずいきゃあいいんだな?」

「そういうこと」

俺は、半ば吉良をひぎずりつつその場を去る。

とりあえず隆士には真実を言っておくべきだろう。昔からの親友だからな。


(えー、その親友であるあの子とのイチャラブは?)

いや、ほんと殺すよ?だいたいあいつとなんか気色悪いし、何度もいうが彼女持ちだっての!


「おかえり。変なことされなかった?」

おかえりって…

「あのさ、お前五歩後ろでみてただろうが。あと、過保護にするのやめてくれる?生活し辛い」

「おっちょこちょいだから、心配してるんだよ?」

こいつ…

「死ね!」



____

吉良を振り切るように学校に着くと

「優奈おはよう」

「よっす」

"私"の友人である2人はもうすでに教室に着いていた。しっかし朝から一緒って本当に仲いいな。


「おはよ。愛は朝からこっちにいるんだ。本当に仲良いんだね?」

「まぁ、幼稚園からずっと一緒だからね!」


「あ、ちなみにクラスの輪に入れないから雪乃のところにきてるとか、そんなんじゃないぞ!一緒に登校してそのまま寄り道してるだけだからにゃー。」

ほー。なんか、俺と隆士もそんな感じだったな。

俺は…クラスの輪にはイマイチ入れてなかった気もするけど。


「ま、そんなこと気にしないで、優奈もこの輪にじゃんじゃん入ってきてね。」

「そうそう。そういうことなのじゃ!」

あー、やっぱり頼りになるね。



____

「そういえば、優奈はどんな部活に入るの?」

雪乃が唐突に話を投げかける。


「え?うーん、特に何も考えてなかったんだけど」

そもそも俺、帰宅部だったしな。

「ほーほー。せっかくの青春なのに、もったいないことをするんですなぁ」


「むっ…そういう愛と雪乃はなにかしてるの?」

「へっへー、聞いて驚け!僕たちはなんと帰宅部だ!」

ニヤッと愛が笑う。


「帰宅部なのかよ?!」

「なのかよ?…まぁ、私達は学校終わったらバイトしてるからね」

うおっと、素がでてたわ。危ない危ない


「何のバイトしてるの?」

「聞いて驚け!ケーキ屋さんである!」

なんとも二人にぴったりな可愛らしいバイト先だった。


「それでね、今ちょっと働き手が不足してて、もし良かったら優奈もどうかなって」

「やってくれるよにゃー?」

あんた達!その上目遣いは反則でさぁ!


「うん!」

もちろんやるさ!だって、ケーキ屋さんだろ?つまりは、そういうことなんだろ?



____

「おっ、この子が例の子か」

隆士との約束もあるが、学校から近いということで早速例のケーキ屋さんに来ている。

小さなお店だが、まだ若い夫婦が営んでいて味はもちろんのこと、その可愛さからうちの女子生徒に絶大な支持を持たれているらしい。


「あら、雪乃ちゃんや愛ちゃんに劣らずな可愛い子を連れてきたのね。お友達?」

「はい。先日転入してきた木下優奈ちゃんです。たぶんうちの高校で一番可愛いんじゃないかな」

「そんなことないって!」

散々可愛いと言われ続けてきた俺にとって、『可愛い』はもちろん禁句なのだが、こう女の子たちに可愛いと言われるとなんだか怒りよりくすぐったさが勝ってしまう。

「僕の折り紙付きである!このお店にぴったりなのだ!」

「ははは、そうだね。じゃあよければよろしくお願いするよ」


「は、はいっ!お世話になります!」

「僕は店主の工藤(クドウ) 輝也(テルヤ)。僕がケーキを作っているんだ」

「私は工藤(クドウ) 節乃(セツノ)。店主の妻であり、デザイン担当。そして永遠の看板娘!なんちって、よろしくね。優奈ちゃん」


そんなこんなで俺は高校近くのケーキ屋さん『angle warmth』で働くこととなった。


____

「待たせたな」

「あっ、どうも」

駅に着くと、ちゃんと隆士は待っていてくれた。さすが俺の親友。

しかしまぁ、よそよそしいな。仕方ないけど。


「で、早速本題にはいるけど。君を呼んだのは他でもない、木下優についてだ。」

「お、おう!なんでもこい!」

なにかあったのかと身構える隆士


「俺が木下優だ」

「お、おう…うぇぇ?!」

なかなかいいリアクションだ。


「と、いうわけで女になりました」

「うぇぇ?うぉぉ、うぇぇ?!」

「うるさい」

なんて言うか、驚きすぎだろ。


「お前、驚きすぎ」

「いやいやいや!いきなりそんな話聞かされて驚かないやつなんていないわ!その話、本当なら恐ろしいぞ!これが驚かずにいられるかっ!いや、信じられるか!」


「え、本当なんだけど」


「…………え、何本当に優なの?ってもしかしてお前ってそっちの気があったのか?!そもそも、あいつが女になんかなったら、発狂して精神崩壊してるだろ!やめとけやめとけ女装なんて!」

こいつは俺をどんな目で見ているんだ。


(いや、これが普通でしょ。あんたが鈍いだけ。ってかまだ魅了(チャーム)つかってないし。ばっかじゃないのぉぉぉぉ?)

あ、そっか。というか、いちいち腹が立つんだが!

「おい、こっち見ろ」

隆士にむけて右目でウインクし、魅了(チャーム)をかける。

これでいっちょあがり。本当に恐ろしい力だな。便利だけど。

(まぁ、やるたびに男に戻る道がぐーんと遠ざかるけどね)

う、そういえばそうだった。


「へー、それで女の子にねぇ…って納得できるか!あいつ女みたいに扱われるの一番嫌ってたのに!ありえねぇ!」

あれ?!効いてない?

(あーだめだこりゃ。この子みたいに意志や思い込みが強いと、効かないときがあるんだよねー。)

えー、なにそれ初耳。都合良くない?!

というか、俺が女の子扱いが嫌いなのにここ迄確信をもってるのは、友達としてやっぱうれしいな。

さすが親友、心の友だ。


「とりあえずあれだ。俺の家にこい」

「え、見知らぬ俺っ娘女子の部屋に?それは…さすがに!俺、彼女持ちだし!」

「いや、なにもないからな?そして、来るのは見知った俺の部屋だ!」



____

「うわー、普通に優の部屋だな」


「当たり前だ」

ちなみに、お母さんの説明もあり、どうにか俺が優だと納得してもらえた。


「しっかしあの優がよりによって女の子にねぇ?」

「まぁな。」

「まぁ、元から顔は可愛かったけど、さすがにこんなにちっこくはなかったからなぁ」


「ちっこい言うな!」

元の俺の身長は171くらい。今は…161くらいか?

隆士は無駄に182ほどあるから、まぁ差はすごいな。


「ほら、可愛いってところじゃなくて、ちっこいって言ったところに反抗するあたり優らしくないんだよなー。」

ぐっ、そういえばそうかも。

なんだかんだで女子扱いに慣れてきてしまっているのかもしれない。

…姉ちゃんのせいか。


「まぁ、そういう事なんだけどさぁ、これからもなんだ。その、よろしくな。」

「あぁ。しかしまぁ、俺は彼女持ちだぞ?」


「わかっとるぁい!誰がお前の事を好きって言った!」

なんだよ、毎回毎回彼女もちっていいやがって!この彼女コンプレックスめが!


「冗談だって。そういや、朝のはなんなの?あいつって、学年一位のなんでもできる君だろ?」

「あー、あれか。色々あってな。なんというかその、付き合ってるんだ」

「え?!?!やっぱりそっちの」

「ねぇわ!こっちにも色々と事情があるんだよ!」

とりあえず、いろいろの部分はなんとか濁した。


「…まぁ、そうか?…なんか助けれることがあったら言えよ?親友として、力かしてやるからさ」

「おう。ありがとう」


「しかし、その言葉遣いどうにかならねーの?可愛いのに違和感ありすぎ」

「やだ。これは変えたくない。とりあえず人前以外では。そして可愛っていうな」


「あらそう?おもしろくないなぁ…ま、今日はこの辺で帰るわ。お邪魔しましたー!」


「おう、またな」

「んじゃ」

いつものように別れを告げて、隆士は帰って行った。


持つべきものは友だな。今日は改めてそれを実感した一日だった。


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