悪魔の正体
今回、またもや読者様を混乱へ導きます。
「おい、吉良!」
手を引っ張って歩きだそうとする吉良を逆に手を引っ張り返して止める。
「どうした」
「あの人、大丈夫なのか?」
謎の男はいまだ、地面に座り込んで唸っている。
「それはあいつ次第だ。死にはしないだろう」
死?俺の考えるスケールとは格が違うが納得するしかないらしい。
「とりあえず、事情を聞くぞ!…俺の家に上がってもらう」
会話もなく、また二人の手が繋がれることもなく帰路に着く。
家に着くまで、気持ちの悪い雰囲気が漂っていた。
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「ただいま」
「おかえり…って吉良くん?」
「お邪魔する」
「話があるから上がってもらう。いいよな?」
「え、いやいいけどさ…え、なにあんたもうそんなところまで「いってないし、いくつもりも…いまはないわ!勘違いするなよな!」
なんてこと言わせるんだっての。
空気の読めない姉ちゃんに部屋には絶対に入ってくるなと釘をさし、俺の部屋へと向かう。
正座をして吉良と向かい合う。胡座をかこうとする吉良を睨みつけると、めんどくさそうにため息をつきながらも正座に直した。
やはりこういう話し合いは正座だよな。
「では、まず俺から質問させてもらう」
「おう」
「お前は誰だ」
「…吉良大雅」
ムッと睨みつける。
「はぁ…俺は紛れもなく吉良大雅だ。ルキフゲってのは前世の名前」
「え?…え?」
つまり、えーとなんだ?俺みたいに取り付いているわけじゃないのか?
「だから…いわば吉良大雅は二重人格。あっちの僕が表立っている人格。俺は滅多に出てこない裏の人格。」
「…?うん」
整理が追いつかないが、先を促す。
「俺たちが生まれたのに順番はない。生まれた時から二重人格だ。ただ…」
「ただ?」
「俺は前世の記憶…悪魔だった頃の記憶と能力を生まれながらに持っていた」
「…輪廻転生はあるってことなのか?」
「難しい言葉を知ってるじゃねぇか、そのとおり。生まれ変わりはあるんだよ」
「吉良は…いつもの吉良はお前のことを知っているのか?」
「俺の存在を僕に知られるようなことはあんまりしていない。ただ、あいつは勘がいいからな。薄々勘づいてるんじゃないか?」
「…教えないのか?」
「その方が僕は幸せに生きられるだろうな」
「それって…お前はいいのかよ!そんな生き方、そんな人生で!」
「人生ねぇ…」
「俺は前世の記憶がある。人生よりもよっぽど長い悪魔生を過ごしてきたんだ、人の死はすぐにくる。それを待つのはそう大変な事でもない」
「…そりゃ、お前はそれでいいのかもしれないけどさ」
「あぁ」
「俺はもうその事情を知ってしまったんだぞ!それを知ったまま過ごせるか!責任取れ責任!」
「はぁぁぁ?」
「そもそも、いるってわかってるのにいないように振舞うとかできるかっての!意識はあるんだろう?」
「まぁ、そうだが」
「なら仮に、仮に!俺と吉良がその…イチャイチャするとしましょう。でも、吉良の中にはお前がいる。果たして俺は気持ちよくイチャイチャできるでしょ…って何を言わせるんだ!」
「いや、今お前自分で」
「とにかく、俺は認めないから!」
これって浮気になるのかなぁ…。
『俺はこの女を愛している』
さっきの吉良の言葉にキュンとしてしまった俺が…っと、今のナシ!
というか、いま思えばこっちの吉良に助けられたことって多いんじゃないか?詳しくはわかんないけど。
まぁ、女の子なら?女の子なら惚れても仕方ないんじゃないかな?
「やっぱり、そっくりだな」
「何か言ったか?」
「なんでもねぇよ」
「ん、じゃあ決心はついたか?」
「は?なんのだよ」
「吉良同士の話し合い」
「あぁ?何でそんなことしねぇといけねぇんだよ!さっきの話聞いてたかおまえ!」
「あら、あらぁ?天下の大悪魔えっと…ルキフゲ様も流石にもう一人の自分とは話せないんですか?たいしたことない能力なんですねぇ。…あ、もしかしてもう一人の自分と話すのが恥ずかしかったり?」
「バカにするなっての!できるわそんくらい!」
見事に引っかかってくれた吉良は目を閉じて瞑想のようなものを始めた。
「うう…」
「おーい、吉良?」
「ん、優奈ちゃん?…えっと、ここはどこ…って優奈ちゃんの部屋じゃないか!」
「そうだよ」
あれ?もう一人のき…ルキフゲは何処へ?
『優待離脱した。今は精神体だ』
目の前にモヤがかかり、一瞬で晴れて半透明の吉良が現れる。
『具現化した。半透明だから魔力燃費がいい』
「…僕?」
「そう。もう一人のお前、名前はルキフゲ」
『だから、それは前世だ。今は吉良大雅』
「ルキフゲ…六大上級悪魔の?」
なんでコイツそんなこと知ってんだよ!
「そう、お前のもうひとつの人格。前世の記憶と能力を持ったまま吉良として生まれたんだと」
「すると、たまに記憶が抜けているのは」
『すまん、俺のせいだなそれは』
「急に眠くなったりするのも?」
『あぁ、俺がやった。すまないな』
「いや、君も俺何だろう?謝ることはないよ」
「なぁ、吉良、反応薄くないか?悪魔だぞ悪魔!二重人格だったんだぞ」
「うるさいよ優奈ちゃん。言われなくてもわかってる、整理させてくれないかな」
やれやれといった顔で黙り込む吉良。
『そういえば、反応薄いといえば優奈も相当反応薄いぞ。普通怖がるだろもっと。悪魔だぞ俺、元だけど』
えーっと、それは俺の中に悪魔がいるからであって…って言っていいのかな?
(セイセイセイセーイ!絶対に行ったらダメなんだニャー!)
「うぉっ!」
びっくりした!久しぶりだなおい。
(まぁ、サキュバスちゃんにもいろいろあるのよ、それじゃあこれで。ばいにゃらー!)
あ、消えた
「優奈ちゃん、どうかした?」
『…』
ルキフゲにいたっては訝しむような目でこちらを見ている。
「な、なんでもない!気にするな!どうぞごゆっくり話し合いしてくださいませ!」
「何かあるでしょ」
『おい、ここで隠し事か?俺たちはこんなにオープンなのに』
オープンって…まぁ確かに二重人格を人に知られたわけだしなぁ…本人の一方も知らなかったことだけど。
さぁ、どうごまかそうか…あ、そうだ
「まぁ、あんまり気にすんなよ」
(バカ!それはダメ!)
右目で魅了。これに限る。
「あぁ、そうだね」
『優奈…お前…』
呆気にとられた顔をするルキフゲ
「え、え?」
『なんで魅了が使えるんだ?』
「それってなんだい?」
「えっ…」
うそ、嘘だ!効かない?!…あ!ルキフゲ悪魔じゃん!(元だけど)もしかして効かないん…ですかね?
(はぁ…やってくれたね優奈、サキュバスちゃんもあきれ顔だよ)
頭の中で悪魔がぐでっとしている。かと思えば今にも泣きそうな顔になる。…えっ、なんかした?
『お前もしかして悪魔が「なんのことかなぁ!」』
「えーっと、僕はよく事情が飲み込めないけど、とりあえず優奈ちゃん、ごまかせてないよそれじゃ」
「私は何も知りませんですます」
(そのままごまかすんだ、イケイケーっ!)
『いや、普通の悪魔なら俺が気づく…上級悪魔かっ!…チッ俺が迂闊だった。…しかしよりによって優奈が悪魔憑きとは』
「えっと、もしかして優奈ちゃんにも悪魔がいるのかい?」
『そのようだな。優奈、能力を使わせてもらうぞ』
「へ?」
『管理能力で確認する。危害は加えない』
『それには及ばないわ』
またもや目の前に黒いもやがかかる。
『久しぶりね…ルキ』
俺たち三人の目の前に半透明の私が現れた
第一部は優奈と大雅、第二部はルキフゲと・・・
感想お待ちしております。




