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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お題:ペンタゴン うすしお 共食い

作者: 珈琲

身内の暴走で生まれた、謎文。本来の意味でやおい。


やまなし

おちなし

いみなし


※これはフィクションです。実在のペンタゴン、うすしおとは一切関係ありません

 20XX年……悲劇は此処、アメリカ国防総省本部庁舎──通称ペンタゴンから始まった。




 「ったく……なんでこんな建物作ったんだろうかねぇ……」


 此処に配属されて、はやくも1ヶ月の時間が経とうとしていた。そして、当然の如くこの便利で不便な建物の習性……の様なものに悩まされている。

 ご存知の通り、この建物は上空から見ると五角形の形をしており……且つ、広い。そして、まぁ調度品や、お偉方が集まる部屋を除けば延々とおんなじ様な風景が続くわけだ。

 あぁ、もう端的に言ってしまおう。


「──迷った」


 迷子さ。迷子だとも。そんな歳になって恥ずかしくないのかって? 言うな。そして訊くんじゃない。まぁ『全ての道はローマに通ず』という言葉もあることだ。真っ直ぐどっちかの方向にグルグルしてれば、目的とする部屋に着くだろう。ここで問題なのは、右から行くか、左から行くか……だ。勿論、どっちから行ったところで、部屋には着ける。ただ、部屋の偏りがあった場合、到着時間に誤差が出る。そして、1分1秒に細かい上司の事だ。遅れたら間違いなく、


「撃たれる」


 常日頃から『お前の眉間に風穴開けていい?』とか『なぁ、試射させてくれよ。お前の腹に的描いていいだろ?』とか言うエキセントリックを超えて、脳内回路のハンダ付け忘れてんじゃねぇの? と思ったり思わないことも無かったり。


「さぁ、俺……どっちだ? どっちへ行く?」


 右を見る。野郎の2人組だ。左を見る。タイトスカートのオネーサンだ。

 左へ行こう。なんの問題もない。決して不埒な意味も無い。ただ「この後一緒にお茶でもどうですか?」と声をかけるだけだ。なんの問題もない。あわよくば「この後ディナーでもどうですか?」と続けようなんでこれっぽっちも思ってない。清純な青年として、しかるべき手順と言葉で女性をお誘いするだけだ。


「そこの上から88、56、72のおっねーさぁん! この後、一緒にお茶でもいかがっすかー!?」


 完璧だ。マーヴェラス。思わず、自画自賛したくなる程の誘い文句だ。これで落ちないオンナなんているはずもない。

 足は肩幅、女性に対し直角。少し腰を落とし、男の包容力を魅せる為に腕を大きく開き、胸板を見せつける。そして何より必要なのは彼女に向ける右手人差し指と、星が飛ぶようなウィンクと白く光る歯!

 もう一度言おう。完璧だ! マーヴェラス!  これで落ちないオンナはいないっ!


 女性がこちらへと振り返る。よく見れば、腕をダランと垂らしているし、顔もうつむき気味だ。恥ずかしがってる……のではないのだろう。

 そうして気付く。──あまりにも、静かすぎる。正確な数字は把握していないが、ここペンタゴンは100人単位の人間が席を置いている場所だ。それなのに、物音一つ、喋り声すら聞こえない。異常だ。


「う……」


 1秒、もしかしたらそれ以下の時間。瞬間とも言える空白に、彼女はこちらに身を寄せていた。

 第六感が警鐘を鳴らす。身体が逃げろと悲鳴を上げる。──彼女は、マズい。


「ヴ…………オ゛ォ゛ォ゛ォォォォッっ!」


 血走った瞳がこちらを捉える。異常に発達した犬歯が牙を剥く。猛禽類の足の様に開かれた手がこちらを掴もうと追ってくる。平静を失ってるどころの話じゃない。もう、彼女は……人間では、ない。


「クソがっ……!」


 咄嗟に蹴り出した右足が、鳩尾を捉えた。そのまま蹴りぬき、ソイツを後退させる。どうやら、痛覚はあるらしい。痛みを訴えるように、腹を抑えてジタバタともがいている。

 それを自分でも驚く位に冷静に処理した。

 腰のホルスターから、拳銃を引き抜く。パチン、と安全装置を解除。そのまま、胸と腹に合計3発。

そして止めに頭に1発。

 慣れてる訳じゃない。人に向けて撃ったのなんて、威嚇を除けばコレが初めてだ。

 それなのに、頭はクリアだった。

 仰向けの死体を足でひっくり返し、拳銃と予備のマガジンを引き抜く。外見はどちらも無事だ。弾を装填。1発、試射する。空気が破裂するような音が反響し、腕に衝撃が伝わる。大丈夫だ、問題ない。

 そして、しまったと気付く。こういう状況は、よくゲームである。そして、そいつらは決まって、視力を失う変わりに、聴覚が鋭くなっているのが定番。

 撃ったのは、計4発。マゾいものなら、ヤツ等が殺到してもおかしくない。心の中で毒づきながら、前の曲がり角へと音を立てずに、駆け出した。




 壁に背を預け、少しだけ顔を出す。

 そこには、定番とも言える風景があった。

 喰っている。どちらにも、もう意識は残っていないのだろう。バキバキと、ブチブチと音を立てながら、数分、数時間前には同胞だったヤツらを喰い散らかしている。

 コプっ、と胃から何かがこみ上げてくる。ソレを気合で押さえ込み、ゴクリと嚥下する。銃声に気付かなかったヤツらに吐瀉物が落ちる音が聴こえるとは思えないが、用心するに越したことはない。ソロリソロリと壁から出る。

 右膝を地面に、片膝立ちをし、右肩を頬に寄せる。右腕は真っ直ぐ、左手は銃床に添えるだけ。それだけの事で、何もかもが抑えられた。

 相手は3体。どれもお食事に夢中だ。

 反動を押さえ込み、3連射。手前にいた1体が倒れこみ、残りの2体がこちらに気付く。

 驚くべきことなのか、恐怖はなかった。文字通り、的を変える様に近い方の1体へ銃口を向け、同じように3発撃ちこむ。

 腕は振らずに後ろへ流し、低く低くと獣の様な前傾姿勢。

 1発目は左肩に当てた。これで、的が広くなる。

 2発目は若干それて、右肩を掠めた。だが、身体は開いた。

 3発目は、心臓に吸い込まれた。それだけで、ガクンと身体は崩れ落ち、動きを止めた。


 それを確認し、残りの1体へと目線を向ける。距離は、最初の半分まで縮まっていた。

 ロクに照準も合わせず、残りの弾を撃ち尽くす。1、2、3、……3発。それはどれも掠める程度のモノだった。それには気を払わない。カシュン、と空のマガジンを捨てベルトからマガジンを引き抜く。

 たったそれだけの時間で、形勢は逆転してしまった。


 獣の疾走からの、溜め。ギチギチという音が聞こえそうなそんな状態からの跳躍。弾丸だ。正しく弾丸の様なスピードで地を這うような跳躍。

 ガチン、とマガジンが収まった瞬間に、そのスピードは体当たりとなって、こちらの身体に衝撃を与えた。

 ガラガラカラカラと音をたて、拳銃が廊下を滑っていく。


「ガッ……はぁっ……」


「ジィ…………オ゛ォ゛ォゥゥ……」


 呼吸がままならない。肺にある空気が、残らず絞り出されてしまった。ゼイ、ゼイ……と息を漏らす間に、ソイツはこちらに馬乗りになってきた。

 同じだ。血走った目、異常に発達した犬歯。

 だが、妙に感じる。獣性に目覚めようとも、本能的に馬乗りをしても腹に乗るだろう。馬乗りとは、相手の動きを封じ、一方的に嬲るための姿勢だ。

 なのにも関わらず、ソイツは腿の辺りに乗っている。

 ソイツの腕がゆるゆるト上がる。揃えられた指先は鋭利なナイフだ。発達したのは、歯だけではないらしい。

 角度的には……腹狙いだ。あぁ、そうか。モツを喰いたいのか。生きた人間のモツを喰うとは、中々いい趣味をお持ちのようだ。

 自由の効かなかった身体に、力が入る。それを感じた瞬間、腰を浮かせホルスターからもう一個の銃を引き抜く。夢中で引き金を引いた。音からして、5発。全てがソイツの胴体に辺り、返り血は俺の身体にまんべんなく降り注いだ。片足を引き抜き、ソイツの身体を蹴り飛ばす。グチャリ、とあまり聞きたくない音を立て、その身体はゆるい放物線を描き、飛んだ。

 当たりを見回して手放してしまった銃を拾う。見た感じ、壊れていない。そこらの死体からマガジンを失敬し、交換。残りのマガジンはベルトに挿す。血まみれになった上着を脱ぎ捨てる。

 そして目に入ったのは、喰われていた方の死体。ソイツには、襲ってきたヤツらと同じ特徴が見える。


「共食いもすんのかよ……見境ねぇな」


 バサリ、とソイツに上着を乗せる。特に意味はない。




 正面玄関までやってきた。

 そこには、山があった。ダンボールの山だ。文字は……読めない。日本語だとは判るが、読めない。ワタシニホンゴワカリマセーン。

 ダンボールを1蹴り飛ばすと、思った以上に軽い感触が帰ってきた。空なのか。ガラガラとダンボールを崩していく。それのどれもが空。ちゃんと上から開けてあるのもあれば、力任せに引き裂かれたものもある。


「これが、原因……なのか?」


 何も分からない。見当もつかない。ただ、原因だけが見つかったような気がする一種の不快感。それに任せて、グシャグシャと落ちているものを踏み潰し、先へ進んだ。





 折り重なるように倒れた人。一室の出入り口だ。そして、こんなことになる前に目指していた、自分の席がある部屋だ。

 今まで何体も『処理』してきたが、こんな部屋の開き方をしているのは初めてだ。入口とは反対側の壁に背を預け、見える範囲で確認していく。……問題なし。死体を跨ぎ、部屋に入る。

 グチャグチャだ。あれだけ綺麗に並んでいた机はガタガタになり、椅子も倒れている。そこかしこに銃弾のあとが残っているし、部屋の隅には簡易的なバリケードも作られている。一角に穴が空いてることから、あまり意味をなさなかったのだろう。

 ぐるり、と部屋を回ると、室長の机に目が行った。落ちているのはショットガン。引き出しにはシェルもある。戦ったのか。戦って、死んだのか。死体は無い。ヤツらになった室長も見ていない。ただ、なんとなく、そう思った。

 腰巻用のサイドポーチを失敬し、シェルをあるだけ突っ込む。ガチャン、と薬室を解放し、シェルを確認。どちらも使用済みだ。引き抜き、新しい物へ変える。


 その時、首筋にゾワリと怖気が立った。感覚に任せ、部屋の中央に飛ぶ。

 確認すると、室長の机がまるでおもちゃの様にひしゃげていた。犯人は屈強な男。服を見るに、同業だ。ただ、人間ではない。ヤツらの特徴が出ているのもそうだが、人間にはあんなに筋肉は発達しない。見せかけの筋肉ではなく、実用的な筋肉だと見て取れる。

 手に持っていたショットガンをすぐさま発砲。大半がソイツの身体に吸い込まれた。

 ──だが、ビクともしない。

 なんだそれは、と言いたい様な笑み。

 すぐさま、第2射を放つ。

 効かない。

 シェルを入れ替え、3回4回と打ち込むが、まるで意味がない。

 ゴキリ、と気怠げに首を回す。

 それだけか? と言っている様だ。


「クッソがぁぁァァァァァッッッっっっ──!」


 ショットガンを捨てて、2丁の拳銃を乱射する。意味も無い、非効率的な行動。すぐに、ガチンガチンと弾切れを起こす。


 カチンカチンカチン、カチンカチン……カチン、カチン。カチン。


 意味もなく、引き金を引き続けた。いや、意味はあったのかもしれない。意思を、示したかったのかもしれない。負けない、と。お前みたいなのに負けてたまるか、と。


 だけど、悟った。


 今、俺は死ぬのだ。この腕を下げれば、死ぬのだ。


 だから、下げた。意地も多分通せた。他人から見たらしょうもない意地かもしれない。


 だから、下げた。ひと思いにやってくれ、と。


 それからは一瞬だった。


 腕を掴まれ、宙吊りにされた。


 そのまま壁に叩きつけられた。


 腕が迫る。


 そして、腹の風通しが良くなった。文字通り風穴が開いた。


 ズチュリ、と腕が引き抜かれる。


 そのままズルズルと壁伝いに下ろされ、意識が飛ぶ。


 最後に聴こえた言葉は


「Mild Solt?」


 いい声だ。










「ねぇ、聴いてる?」


「ん? あぁ……」


「ぜーったい、聴いてなかった! トリップしてたの見え見えだもんねっ!」


「……ワリィ」


 夕暮れ時の帰り道、俺は彼女と2人で帰り道を歩いていた。特になんともない……普通の日。今日の授業がどうだったとか、学食がどうだったとかの、すっげぇどうでもいい話をしながら道を歩く。


「だからさ、明日映画見に行こうよっ! 新作だよ、新作っ!」


「どんなやつだよ? またB級なヤツじゃないだろうな?」


「んーとね、アメリカの……ペンタゴン、だっけ? あの五角形の建物。あそこから、細菌感染が始まって、SWATとか、現地のスゴウデな殺し屋さんとかがドンパチするアクション超大作!」


「ヤダ。ぜってぇヤダ。聞いただけでB級感漂うわ」


「えーっ!? 行こうよー? 絶対楽しいって!」


「お前の楽しいはアテにならん」


 手に持っていた菓子の袋に手を突っ込み、3枚くらい手にとって口に放る。やっぱり、何個違う味が出ようと、この味は忘れられない。


「もー、らいっ!」


 そして、袋ごとかっさらわれた。


「テメ、コラっ、返せっ!」


「やーだよっ! あたしの前で、コレを食べてるアンタがわるいっ!」


「なんだよソレっ! コラっ返せっ!」


「アンタも知ってるでしょ? あたしがこの味好きなのっ!」


 あぁ、知ってるさ。


 小さい頃から一緒に食ってたもんな。


「ホラ、最後の1枚」


 なにか言おうとしてた所に、ソレが突っ込まれる。


「ね、この先にコンビニあったよね? また買おうよ!」


「おい待て! 走ってくんじゃねぇ!」


「おーにさんこっちらっ! てーのなるほうへっ!」


 あぁ、全く。こういうヤツだって事も知ってる。


 この気の置けない関係がなんとなく心地いい。


 だから、今日も一緒に食べようか。


 ポテチのうす塩味を。

と、いう訳で書ききったぞこのやろう!


前半というか、大部分は男がトリップした時に聞いてた映画のプロローグと、持ってたうすしおが科学変化を起こして生まれた何か。


ペンタゴンに届いたうす塩味のポテチが感染源となり、ペンタゴンは細菌感染してしまった! な作品。


もう、ゴールしてもいいよね……?











前日にラストオブアスの動画を見てたから、こんなことになったとか言えない……(

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[一言] まさか本当に書くとは思ってなかった(
[一言] わんだほー! こんなカオスな組み合わせで書けるとは、ぶらぼー!
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