経歴
「とは言ったものの・・・。」
朝食後、ローイエはすぐさま兵士の詰め所の奥に向かった。
詰め所の奥にはたくさんの本棚があり、その本棚には同じようにたくさんの本がある。
「中々見つからないな〜・・・。」
ローイエは何冊もの本を開いては閉じて、また開いては閉じてを繰り返していた。
ローイエが探しているのは、槍の技術を記した技術本だ。
「ここにならあると思ったんだけどなぁ〜・・・。」
ここは兵団の図書室。主に兵法や戦術の技術本等が置いてある部屋だ。
「レジオンはダメだったし・・・自分でやるしかないのかな・・・。」
どうにかして槍の技術を上げようと、ローイエは本を頼りに頑張ってみようと決意したのだ。
「う〜ん・・・もっと奥の方かな・・・。」
さらに奥の本棚に手を伸ばす。
ガタガタガタ!!!
「え!うわわわわわ!!!」
ガシャーーーン!!!
「いてててて・・・!」
派手な音が響き渡り、たくさんの本がローイエ目掛けて落ちてきて、ローイエはそのまま本に埋もれてしまった。
「ぷはぁ!」
何とか頭だけ本の山から出して呼吸を整えるローイエ。「もう何これ〜!"犯罪者ミーヴァとリオンの報告書"?これじゃな〜い!」
本を放り投げると、その本はローイエの近くの本棚に当たり・・・。
ゴン!
「いた!」
ローイエの頭を目掛けて、その本棚から一冊の分厚い本が落ちてきた。
「もう〜!これは・・・"兵団長の成績と報告書"?」
何の気なしに、ローイエは落ちてきた本を手に取って、適当な場所を開いてみた。
「・・・あ!このページ、レジオンが兵団長の時の記録だ!」
ローイエはページをパラパラとめくっていった。
「・・・!?」
どんどんとめくっていくと、ローイエが開いたページから今の所まで、全てに共通点があった。それは、レジオンが兵団長だということ以外の共通点だった。
「何これ・・・どのページの所も・・・死者が三人以上いる・・・!」
一日一日の記録が記されているページには、それぞれ全てに死者の名前が欄に書かれていた。
「何で・・・?毎日三人以上が死んでいるなんて・・・!」
体が凍りつくような恐怖がローイエを襲う。
しかし・・・。
「あ!この時代は砂の竜王時代だ!だから多かったんだ!」
ちゃんと理由があったんだという安心感によって、ローイエの体から恐怖が消えていく。自然とほころぶ顔。しかし、その顔は長くは続かなかった。
「・・・・・・・・・えっ!」
最初に開いたページから遡って本を見ていたローイエは、ある事実に気づかされた。
「砂の竜王時代じゃないのに・・・死者が出てる!?」
砂の竜王時代だから死者が出ていたのだと自己完結させていたローイエに、再び恐怖が襲いかかる。
「一体どういうことなの!?」
ローイエはすぐさま本の終盤までページを早めた。
「・・・あった!」
ローイエが見つけたのは、レジオンの経歴書だった。
「・・・あった・・・母ミーヴァ、父リオンの間に産まれる・・・?」
経歴書に書いてあった名前を見て、ローイエはさっきの本を思い出した。
「ミーヴァとリオンって・・・さっきの?」
すぐさまローイエはさっきの本を探す。がさごそと散らばった本を投げては、どんどんと奥に手を伸ばしていく。
「・・・・・・・・・あった!」
さっきローイエが投げた"犯罪者ミーヴァとリオンの報告書"と書かれた本を手に取り、すぐさまパラパラと斜め読みをする。
「・・・これ・・・!」
ローイエは、その中の一ページに目をやった。
「ミーヴァとリオンの間には、第一子が誕生していたという事実がある。その第一子は、ミーヴァとリオンが持つ、"負の霊力"を受け継いでいるという事実が発覚した。」
ローイエはさらに続けた。
「負の霊力とは・・・自分と自分の周りにいるものに負の力を働かせ、災いをもたらす霊力である。」
そこまで読んだローイエは言葉を失った。
「そんな・・・じゃあ死者が多かったのって・・・レジオンの負の霊力のせいだってこと・・・?」
ローイエは、レジオンの経歴書を見直した。
「・・・あれ?レジオンって・・・もっと小さい頃から城にいる・・・!」
嫌な予感がしたローイエは、すぐさまレジオンが城に来はじめた辺りの報告書を見てみた。
「・・・やっぱり・・・!レジオンが城に来てから・・・死者が増えてる・・・!」
全ての結論が出たローイエは、目に涙を溜めていた。
「まさか・・・レジオンが私を戦いに参加させないのって・・・。」
自分の負の霊力でローイエを死なせないため?
言葉が脳に浮かんだ瞬間、ローイエは体を動かしていた。地面を蹴り、本を飛ばし、図書室のドアを突き破らんとする勢いで走り出していく。
「レジオン・・・!間違ってる!間違ってるよ!」
溢れる言葉を叫び、ローイエはレジオンを探して走り続けた。