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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
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再来

「国王様!ご機嫌うるわしゅう・・・!」

「え?あぁ・・・どうも・・・。」

 現れたのは、奇抜な格好をした旅芸人だった。両手に大道芸用のお手玉を持ちながら頭を下げていた。

「新たなる国王様の噂は各地に広まっております!大変勇敢な方だと聞き及んでおります!」

「えぇ!もう広まっていたのですか!?」

 固まるシロヤに、旅芸人はさらに頭を下げた。

「この度は私の大道芸を新国王のシロヤ様に見ていただこうと思い、この場にやって来た次第でございます!」

「え・・・?あぁ・・・じゃあ、お願いします。」

 すると、旅芸人が立ち上がって手に持っていたお手玉で芸を始めた。

 芸は単純にお手玉をクルクルと回しているだけだったが、時間が経つにつれてどんどんと回すスピードが速くなっていく。

 やがて、お手玉が見えなくなるほどにスピードが速くなった時、旅芸人が動いた。

「・・・!」

 旅芸人は急にお手玉をやめて、持っていたお手玉をシロヤに向かって投げつけた。

「ッ!」

 何事かと思った瞬間、お手玉が空中が剣に変化した。

 剣はまっすぐにシロヤに向かって飛んでいく。避けようとするが、剣の方がわずかに速かった。


「!!!」


キィン!


 響く金属音。何事かと思い見てみると、飛んできた剣が勢いを無くして床に落ちていた。そしてその横には、剣を弾いたと思われる物―――矢が落ちていた。

「・・・!」

 驚いて見てみると、シロヤの横にいたシアンが弓を構えていた。そしてその表情は、見たこともないほどに殺気立っていた。

「二度も同じ手は食らわぬぞ!!!」

 シアンはさらに矢を放つ。まっすぐに飛んでいく矢を、旅芸人はお手玉で弾いた。

「まさかお前・・・あの時のガキか!?」

「貴様の顔・・・忘れてはおらぬぞ!」

 それを聞いて、シロヤも思い出したように声を上げた。

「まさか・・・お前シアン様の!」

「何でてめぇが知ってるんだぁ!?」

 驚く旅芸人。

 そして、旅芸人は後ろに飛び退くと同時に奇抜な服を脱いだ。

「ちっ!顔がバレてるんじゃしょうがないな!」

 旅芸人はすぐさま服の下から剣を取り出して構えた。それに合わせて、シロヤとシアンも戦闘体制に入る。

「お前・・・何者なんだ?」

「知っても意味ねぇだろ?だってここで死ぬんだからなぁ!」

 旅芸人は持っていた剣をシロヤに向かって投げつけた。高速で飛来してくる剣を受けようと構えるシロヤ。


「シロヤ様!!!」


 突如聞こえる叫び声。叫び声と共に、飛んでくる剣に向かって強い風が吹いた。その風によって、飛んできた剣は軌道がそれて城の壁に突き刺さった。

「ちっ!誰だ!?」

 旅芸人が振り向くと、強い風を起こした人物が旅芸人に向かって構えていた。

「バ!バルーシさん!?」

 構えていたのはバルーシだった。剣をまっすぐに旅芸人に向けて立っていた。

「ハ!真空波を剣で起こせる奴がまだいたとはな!」

 高笑いする旅芸人。バルーシは、その奥にいるシロヤとシアンに向かって叫んだ。

「シロヤ様!シアン様!ここは私に任せて今すぐ避難を!」

「バルーシさん・・・。」

 心配そうに呟くシロヤの手を、シアンはそっと握った。

「大丈夫だ・・・バルーシを信じよう・・・。」

「・・・・・・はい!」

 シロヤとシアンは同時に走っていった。

「あぁ?逃がすと思っているのか!?」

 旅芸人はすぐさま剣を投げようと構えた。

「させるか!」

「ぐぅ!」

 旅芸人が剣を投げるよりも速く、バルーシは旅芸人の腕を封じた。今までのバルーシよりもはるかに速くなっている。

「バルーシさん!」

「すぐに後を追います!」

 バルーシはシロヤとシアンに向かって微笑んだ。シロヤとシアンはその微笑みを見て、安心したように走っていった。

「てめぇ・・・よくもやりやがったな!」

 旅芸人は持っていた剣でバルーシに斬りかかろうとが、バルーシはすぐさま自分の剣でそれを受け流す。

 さらに斬りかかろうとするが、全ての剣戟をバルーシは受け流した。

「てめぇ・・・相当できるやつみたいだな。名を聞いておこうか。」

「聞いてどうするんだ。」

「あぁ?流れだよ流れ。いいから名乗れ。」

「・・・バルーシだ。」

 それを聞いた旅芸人は、すぐさまバルーシから離れて剣を構え直した。そして、剣を持っていない方の手を背中に持っていった。

「ハッハッハ!覚えたぜバルーシ!貴様を俺!ドレッド様のライバルにしてやるぜ!」

「よくわからん・・・。」

 そして、ドレッドはすぐさま持っていない方の手を勢いよく振った。

 その手には、持っていた剣と同じ剣が握られていた。

「ハッハッハ!ドレッド様の最強二刀流!特と味わいやがれ!」

「・・・馬鹿か・・・。」

 バルーシは、日本の剣を構えて走ってくるドレッドに向かって構えた。

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