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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
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異変

「また来たわね・・・。」

「ったくめんどくせぇ!いつまでこんなこと続けなきゃいけないんだ!」

「・・・騒ぐな。」

「・・・。」

 ここはバスナダの国境の外。そこには、四人の人間がバスナダを目指して歩いていた。

「さぁ、来たわよ。」




「お、入国者か。」

 国境の子窓が開けられ、中から人が四人に話しかけた。

「んじゃ入国審査に入るぜ。まずはそのマントを四人とも脱いでくれ。」

 四人は、覆い隠すようにマントを被っていた。

 しかし、四人はマントを脱ごうとせず、そのまま国境を通過しようとした。

「お、おい!待てよ!」

 ランブウが四人を追うと、すぐさま国境警備隊が四人を囲む。しかし四人はそのまま押し通ろうとしている。

「ランブウさん!」

「ちっ!仕方ねぇ・・・発砲を許可する!」

 その瞬間、国境警備隊は持っていた銃を構えた。しかし、四人はそれでも動じる様子はなかった。

「てめぇら・・・そんなに死にたいのか?」

 口を開いたのち、四人のうちの一人が前に出る。そして、懐に手を入れて何かを取りだそうとした。その瞬間に、ランブウは手を前に出して発砲を促す。

 すぐさま警備隊が次々に発砲していき、四人の姿は砂煙に隠れてしまった。


・・・・・・・・・・・・・・・。


 砂煙が晴れていく。

「・・・なっ!?」

 四人は無傷だった。四人の足元には、警備隊が放った銃の弾が転がっていた。

「なんだよ・・・雑魚共じゃねぇか!」

 一人が叫ぶ。それと同時に、叫んだマントの人の回りにお手玉ほどの球が現れた。

「!」

 危険を感じたランブウは、すぐさま退避命令を出そうとするが・・・。


「体が・・・動かねぇ・・・。」


 ランブウの体は、ランブウの意思で動かなくなっていた。それはランブウだけでなく、警備隊全員が同じように動かなくなっていた。

「早くやれ・・・。」

「あいよ!」

 球は警備隊とランブウを包むと、その形状をゆっくりと球から太く尖った"剣"へと変えていった。

「・・・死ね!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




 剣は無情に警備隊とランブウを貫いた。

 瞬く間に国境の地面の砂が真っ赤に染まっていく。しかし、それでも流れ続けるおびただしい量の血。

「ぐっ・・・がはぁ・・・!」

 わずかに体を動かすランブウ。小さな動きだけでも、今のランブウにとっては口から血を吐くほどだった。

 顔だけ上げてランブウは前を見ると、すでに四人は森に入っていっていた。

 何とか体を起こそうとするが、未だに血を出し続けているランブウにそんな力は残っていない。どんなに力をいれても、それはわずかに指を動かす程度だった。

 次第に冷たさを帯びていくランブウの体。

「やべぇ・・・このままじゃ・・・シロ・・・ヤ・・・!」

 小さく口を開き、ランブウは力を無くして倒れた。

 国境に残ったのは、血の海と呼ぶにふさわしいほどの量の血と、その中央に倒れる警備隊とランブウの姿だった・・・。

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