異変
「また来たわね・・・。」
「ったくめんどくせぇ!いつまでこんなこと続けなきゃいけないんだ!」
「・・・騒ぐな。」
「・・・。」
ここはバスナダの国境の外。そこには、四人の人間がバスナダを目指して歩いていた。
「さぁ、来たわよ。」
「お、入国者か。」
国境の子窓が開けられ、中から人が四人に話しかけた。
「んじゃ入国審査に入るぜ。まずはそのマントを四人とも脱いでくれ。」
四人は、覆い隠すようにマントを被っていた。
しかし、四人はマントを脱ごうとせず、そのまま国境を通過しようとした。
「お、おい!待てよ!」
ランブウが四人を追うと、すぐさま国境警備隊が四人を囲む。しかし四人はそのまま押し通ろうとしている。
「ランブウさん!」
「ちっ!仕方ねぇ・・・発砲を許可する!」
その瞬間、国境警備隊は持っていた銃を構えた。しかし、四人はそれでも動じる様子はなかった。
「てめぇら・・・そんなに死にたいのか?」
口を開いたのち、四人のうちの一人が前に出る。そして、懐に手を入れて何かを取りだそうとした。その瞬間に、ランブウは手を前に出して発砲を促す。
すぐさま警備隊が次々に発砲していき、四人の姿は砂煙に隠れてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・。
砂煙が晴れていく。
「・・・なっ!?」
四人は無傷だった。四人の足元には、警備隊が放った銃の弾が転がっていた。
「なんだよ・・・雑魚共じゃねぇか!」
一人が叫ぶ。それと同時に、叫んだマントの人の回りにお手玉ほどの球が現れた。
「!」
危険を感じたランブウは、すぐさま退避命令を出そうとするが・・・。
「体が・・・動かねぇ・・・。」
ランブウの体は、ランブウの意思で動かなくなっていた。それはランブウだけでなく、警備隊全員が同じように動かなくなっていた。
「早くやれ・・・。」
「あいよ!」
球は警備隊とランブウを包むと、その形状をゆっくりと球から太く尖った"剣"へと変えていった。
「・・・死ね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
剣は無情に警備隊とランブウを貫いた。
瞬く間に国境の地面の砂が真っ赤に染まっていく。しかし、それでも流れ続けるおびただしい量の血。
「ぐっ・・・がはぁ・・・!」
わずかに体を動かすランブウ。小さな動きだけでも、今のランブウにとっては口から血を吐くほどだった。
顔だけ上げてランブウは前を見ると、すでに四人は森に入っていっていた。
何とか体を起こそうとするが、未だに血を出し続けているランブウにそんな力は残っていない。どんなに力をいれても、それはわずかに指を動かす程度だった。
次第に冷たさを帯びていくランブウの体。
「やべぇ・・・このままじゃ・・・シロ・・・ヤ・・・!」
小さく口を開き、ランブウは力を無くして倒れた。
国境に残ったのは、血の海と呼ぶにふさわしいほどの量の血と、その中央に倒れる警備隊とランブウの姿だった・・・。