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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第一章 白の青年と砂の国
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戦中

「レジオンさん!暗殺の件はプルーパ様達には言わないって!」

 レジオンの後ろを走って追うシロヤ。

「七人衆がお前を狙ってたんだ!一人にしておくとお前もシアン女王と同じように暗殺されてたところだったんだ!」

 走りながらレジオンが叫んだ。

「シロヤ君の暗殺?レーグは何がしたいのかしら?」

 同じく走りながら、プルーパが首をかしげた。


「きゃははは!死んじゃえー!」

「ぐっ!」

 放ったボウガンがバルーシの頬をかすった。かすった部分から、ゆっくりと少量の血が流れる。

 しかし、バルーシは怯むことなく突っ込んだ。

「・・・!」

「うわわわ!」

 剣を持っていた二人に飛びかかる。二人は同時に飛び退いた。バルーシの拳が空を切るが、そのままの勢いを殺さずに一人に向かって突っ込む。

「うぐっ!」

 一人の腹にバルーシの拳が炸裂した!腹を押さえ込んで倒れる一人の剣を、バルーシは空中でキャッチした。そのまま空中で一回転して、地面に着地したと同時に振り向いて剣を構えた。

「これで・・・互角だ。」

 剣を構えたと同時に、六人は体を震わせた。剣を持っただけで、バルーシの威圧感が変わったからだ。

「急に変わったわね・・・。」

「なるほど、水を得た魚というわけですか。」

 威圧感に圧倒される相手。しかし、その中の一人が突然叫んだ。

「こんなの・・・ハッタリだ!」

 激昂して銃を構える。しかし、銃口を向けられてもバルーシは一切動かない。

 そんなバルーシを見て、相手はこめかみをピクリと動かした。

「調子に・・・乗るな!」

 激しい銃声が三回鳴り響く。銃口から出る煙が、発砲したことを表していた。

 しかし・・・。

「・・・なっ!」

 その場にいた全員が唖然としていた。確かに弾は放たれた。しかし、バルーシは全くの無傷だった。

 弾を放った相手は驚いたような顔をしたが、すぐさま表情を爆発させた。

「ふざけるなぁ!」

 またもや激昂。そして銃声。


キィンキィンキィィィン!


 鳴り響く銃声と金属音。そして、立っているのは無傷のバルーシ。

「まさか・・・剣で銃を・・・。」

 バルーシの足元には、六発の弾丸が転がっていた。そして、バルーシの剣からは煙が上がっていた。

「うそー!」

「さすがは兵団長・・・。」

「・・・。」

「侮れませんな・・・。」

 思わず全員がバルーシに向かって、感心したような声を上げた。

「関係ない!俺が仕留める!」

 うずくまっていた一人が立ち上がって、バルーシに向かって飛びかかった。

「無茶ですよ!」

 後ろにいたもう一人も、バルーシに向かっていく。

「軌道が・・・まるわかりだ。」

 飛びかかった一人の拳の軌道を読んで、ギリギリで交わして蹴りを入れる。

「ぐふ・・・。」

 気絶したのを確認したのち、足でぶっ飛ばす。そして、向かってくるもう一人に目を向けた。

「一直線に突撃か・・・。」

 倒れた一人の後ろから飛び込んできたもう一人を、バク転で交わす。飛び込んできた勢いでよろけているのを狙って、前転をして頭にかかと落としを叩き込む。

「ぐっ!」

 バルーシは前転の勢いを殺さずに跳躍して、ボウガンを持っている一人を狙った。

「うわぁ!」

 虚を突かれて動けなくなった相手に、剣を降り下ろした。


キィン!


「しまった!」

 突如横から鳴り響く銃声。地面に落ちる剣。弾は、バルーシの持っていた剣を弾き飛ばした。

「よそ見しすぎだ!」

「くっ!」

 急いで剣を拾おうと体制を立て直すが、その一瞬の隙を狙って、ボウガンが構えられた。

「チャーンス!」

 ボウガンがバルーシに向かって、空を切って迸った。


「ぐああああ!!!」


「あれー?」

 心臓を狙って放ったボウガンは、バルーシの脇腹を貫いた。空中で急いで体制を変えて、直撃を避けたのだ。

 しかし、ボウガンをまともに食らったことに変わりはない。バルーシの脇腹が瞬時に赤くに染まる。

「くっ・・・!」

 苦痛の表情を浮かべながら、バルーシは剣を拾って構えた。

「・・・。」

 剣を持った一人が、バルーシに向かって切りかかる。バルーシも負けじと剣で応戦する。しかし、ダメージを負っている分、バルーシの動きは鈍くなっていた。

「くっ!」

「・・・。」

 徐々にダメージを負っていくバルーシ。どんどんと体が斬られていき、身体中から血を流していく。

 剣だけではなく、横から来るボウガンや銃も、バルーシに更なる傷を負わせている。

 徐々に追い詰められていくバルーシ。

「くそ・・・このままでは・・・長くは持たない・・・。」

 諦めが頭をよぎる。即座にバルーシは頭を振って考えをやめた。

 そうだ!もし今、戦っているのがシロヤ様なら、諦めたりはしない!ならば自分が諦めてはいけないんだ!

「長く持たないなら・・・刺し違えてでも倒す!」

 バルーシは、頭を狙って降り下ろされた剣に向かっていった。

「うおおおぉぉぉ!!!」

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