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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第一章 白の青年と砂の国
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刺客

 包んでいた光がゆっくりと消えて、視界が徐々に回復してきた。

 手足の感覚も徐々に回復してきた。シロヤはゆっくりと指を動かした。手を上げて見てみると、指の表面に砂が付着していた。

 シロヤはようやく、自分が倒れていることに気づいた。

「シロヤ君!」

 突如気づいた声、頭を上げて周りを確認すると、プルーパとバルーシがシロヤに駆け寄ってきた。

「ずいぶんと遅かったわね。」

「すいません・・・レーグがシアン様を転移魔法で・・・。」

「なるほど、シロヤ様を灯台に置き去りにしたわけですか。」

「リーグンに話をつけといて良かったわね。」

 ゆっくりと立ち上がって、シロヤは服についていた砂をはたき落とした。

「じゃあ急ぎましょう!パレードが始まっちゃうわ。」


 三人は、星が飾られている広場にたどり着いた。パレードを見るために、街の人達は皆城の前に集まってしまったためだろうか、人の気配はない。

「レーグの目的が何にしろ、星の近くに来る可能性は非常に高いわね。」

「ならばここで奇襲をかけるのが得策でしょうな。」

 プルーパとバルーシはが、星を見ながら作戦会議を始めた。

「・・・。」

 二人の作戦会議を聞いていたシロヤは、苦い顔をして黙りこんだ。

 二人は、レーグの目的が暗殺だということを知らない。だから、今こうやっていることがレーグの目的に対して有効だとは言えない。

 しかし、暗殺の話をしてはいけないとレジオンに言われている。

「うぅ・・・。」

 言わなければ駄目な気もする。しかし言ってはいけない。そんな板挟みをくらって困惑するシロヤ。

「シロヤ君?どうしたの?」

「え?あぁいや!何でもないです・・・。」

 どうやら葛藤が表に出てしまっていたようだ。シロヤは慌てて笑顔で答えた。

 ・・・やはり言った方がいいのかもしれない。シロヤは激しい葛藤の末、重い口を開こうとした。

「あ・・・あの!」


ヒュン!


「!!!伏せて!」

 プルーパが叫ぶと同時に、シロヤとバルーシが伏せる。二人の直線上から、銀色の何かが飛んできた。

「く!誰だ!」

 すぐさま体制を立て直したバルーシが、飛んできた方向に向かって叫んだ。

「交わされましたな。」

「あはは!本当だー!」

「あんな的を相手に外すとは・・・。」

「だからこいつに任せるのはやめようと言ったのに・・・。」

「まぁいいんじゃない?どっちにしろ運命は変わらないんだしさ。」

「しかし奴らは苦しみながら死ぬ方を選んだようだな。」

「・・・。」

 そこに立っていたのは、七人の老若男女だった。

「貴方達は・・・バスナダ七人衆!」

「えぇ!あれがバスナダ七人衆?」

 高齢の政治家ばかりだと思っていたが、立っている人達は若い人もいるし女性もいる。そして、七人全員が武器を持っていた。

「レーグ様の命令で三人を殺すように言われました。」

「私達が最優先すべき相手がここにいて好都合だわ。」

 そう言うと、一人がボウガンをシロヤに向けた。

「貴方達まさか・・・シロヤ君が目的なの?」

「そうだよ!今度は外さないからね!」

 ボウガンの引き金が引かれ、矢がシロヤに向かって高速で放たれた!

「うわぁぁぁ!」

 シロヤは思わず目を閉じた。


・・・・・・・・・。


 暫しの静寂、一番に声を出したのは、ボウガンを放った人だった。

「うっそー!」

 シロヤは目を開けて、前を確認した。

 矢は自分には届かずに、第三者によって受け止められていた。

「ぐぅ・・・。」

 矢を止めたのはバルーシだった。バルーシは放たれた矢をキャッチしていたが、高速の矢を受けてしまったことで、手からはかなりの出血をしていた。

「バルーシさん!」

「くっ・・・目的は星じゃないのか・・・。」


「その通りだ!」


 またもや聞こえた第三者の声。それは、七人衆がいる側とは反対側の所からだった。

「プルーパ!バルーシ!レーグの本来の目的は星じゃない!シアン女王の暗殺だ!」

「なんですって!」

「それは本当ですか!レジオンさん!」

 声の主はレジオンだった。そして、レーグの本来の目的を聞かされた二人が目を丸くした。

「狙いはパレードの最中だ!今すぐレーグの場所に行かなきゃ手遅れになるぞ!」

 それを聞いた瞬間、レジオンが走り出した。それについていくプルーパ。しかしシロヤは、走るのをためらった。

「バルーシさん!」

「シロヤ様!ここは私が!」

 いくら兵団長と言えど、七人同時に相手取るのは無理がある。

「シロヤ様、ご心配なさらずに。すぐに後を追います。」

 後ろを見て、軽くうなずくバルーシ。それを見たシロヤは、決心して走り出した。


「あはは、本当に大丈夫だと思ってるの?」

 バルーシは軽く顔をしかめた。

 バスナダ七人衆を同時に相手取るのは容易ではないのは、バルーシが一番よくわかっていた。

「わかってますよ・・・そのくらい!」

 バルーシは、七人に向かって突撃した。

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