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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第一章 白の青年と砂の国
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案内

 爽やかな砂漠の朝日が窓から降り注ぎ、シロヤは朝日を感じながら、ゆっくりと目を開けた。

 隣にいたシアンは、シロヤよりも早く起きて朝の会議に向かったようだ。

 とりあえず起きようと、シロヤはベッドから飛び降りて、軽い運動を始めた。

「・・・シロヤ様。」

「・・・うわぁ!」

 突然聞こえた声、ドアのところにいたのは、意外な人物だった。

「レーグ・・・様。」

 やって来たのはレーグだった。相変わらず人を小バカにしたように嘲笑いながら、シロヤの部屋を見ている。

「・・・何ですか?」

「ヒヒヒヒヒ、女王様の命によりシロヤ様のお目付け役を頼まれましてね。ヒヒヒヒヒ。」

 相変わらずムカつく笑い声だ。

「お目付け役・・・?具体的に何を・・・?」

「城の中の案内をするように頼まれましたので、今日は城の案内をさせてもらいます。ヒヒヒヒヒ。」

 シロヤは不服そうに頷いた。よりによってレーグに案内されるとは・・・。

「なにかご不満ですかな?ヒヒヒヒヒ。」

「いえ・・・何も・・・。」


「あら?レーグと・・・シロヤ君?」

 部屋を出てすぐの廊下にいたのは、寝起きのプルーパだった。ボサボサの髪の毛のまま、レーグについていくシロヤを見ている。

「ヒヒヒヒヒ、プルーパ様。今日は私がお目付け役を任されましたからお気になさらず。ヒヒヒヒヒ。」

 その言葉に、プルーパは顔をしかめた。シロヤと同じく不服そうに見つめている。

「まぁ・・・いいわ。それよりも、いくら大臣でも宝物庫は入らないようにね。」

「おやおや?よそ者が入っているのに大臣はダメなのですかな?ヒヒヒヒヒ。」

 よそ者、それはおそらくシロヤのことだろう。昨日、プルーパに連れていかれて入った宝物庫、星が安置されている場所だ。

「あら?何のことかしら?あそこには王族しか入っていないはずよ?」

 そう言ってプルーパは、小さくシロヤにウィンクをした。これはおそらく、シアンと結婚して王族になれってことだろう。

「ヒヒヒヒヒ、まぁいいでしょう。では案内を続けましょう。」

 そう言って、レーグは廊下を歩いていった。その後ろ姿を、プルーパは見えなくなるまで見つめていた。


 城の中は思いの外広く、全階層を案内されるだけで朝の大半の時間を使ってしまった。

 そしてたどり着いたのは、砂漠が見渡せる見回り台だった。

「ここはいいところですよ。砂漠の風を感じながら砂漠を見ることができるのですから。」

 レーグは景色を見ながら呟いた。しかし、レジオンのように景色を、風を体一杯に感じながら言った言葉とは正反対、うわべだけの感動だ。

 シロヤは少し苦笑しながら景色を見た。街では、人がせわしなく動き回っている。

「あれは三日後に行われる星夜祭の準備ですね。」 見ると、バルーシも物資の運搬をしている。

「星夜祭は、我がバスナダ国の宝である星を崇める由緒正しい祭りなんですよ。星夜祭はバスナダ国民のみが参加できる祭りだと言われていましてね。何せ・・・大事な星を崇める祭りですからね。盗まれたりしたら一大事ですからね。」

 これはおそらく、遠回しにシロヤに"早く消えろ"と言いたいのだろう。もちろんバスナダ国民のみが参加できるなんてのは嘘である。

 見え透いた嘘をつくな、とシロヤは苦笑する。

「昨日、シアン様から正式に星夜祭に招待されました。」

 含み笑いをしながら、シロヤはレーグに言った。それを聞いたレーグは、少し表情を曇らせた。

「そんな話は聞いてないんですがね・・・まぁいいでしょう。」

 してやったり、とシロヤは内心喜んだ。


「この先が王室です。」

 最後に来たのは、豪華な造りの扉の前、シアンがいる王室の前だった。

「では私はこの辺で。お帰りの順路はもうわかりますよね?ヒヒヒヒヒ。」

 そう言って、レーグはシロヤを置いて小走りで去っていった。

「え?ちょっとレーグさん!」

 まるでさっきの仕返しかと言わんばかりだった。シロヤは豪華な部屋の前でボーッとするしかできなかった。


 ようやく部屋についたシロヤは、ベッドに転がり込んだ。

 そのまま寝てしまおうと思った瞬間、ドアがノックされた。

「シロヤお兄様〜!」

「シロヤ君〜!」

 ドアの向こうからシロヤを呼ぶ声、声から察するにローイエとプルーパだ。

「は!はぁい!」

 慌ててシロヤはドアを開けた。ドアの向こうにいたのは、ローイエとプルーパ、そして、

「昨夜は・・・よく眠れたか?」

「シ!シアン様!?」

 三人の服装は地味なものだった。まるで街娘みたいな格好で、ローイエは結んでいた髪を解いていた。

「これから三人で行くところがあるの。シロヤ君も来てくれないかしら。」

「行くところ・・・ですか?」

「そうだよ〜!お兄様も王様になるんだったら必ず行かないといけないんだよ〜!」

「こ、こらローイエ!・・・すまぬな、一緒に来てはくれないか?」

 急な話ではあったが、シロヤは快く了承した。

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