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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
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約束

 真っ白な世界に、シロヤとシアンは隣同士で立っていた。

 そしてその向かいには、白い鎧に身を包んだ男と立派なドレス姿の女性がいた。

「おめでとう・・・この地を脅かす魔の者は、白の勇者によって倒された。」

 鎧の男が優しく語りかける。

「長い間待っていたよ。絆の力を受け継ぎ、魔を倒す勇者を・・・。」

 鎧の男の言葉に、シロヤは頭を掻きながら言う。

「俺だけの力じゃないですよ。絆の剣は・・・皆さんが力を貸してくれたからこそ紡げた力です。」

 申し訳なさそうに言うシロヤを見て、隣にいたドレス姿の女性が微笑む。

「いいえ、あなたが強いからこそ剣を紡げたのです。そしてその強さは・・・仲間と共に紡いだからこそ得た力なのです。あなたが願う限り、あなたが繋がりを忘れない限り、あなたは強くいられるのです。」

 ドレス姿の女性が言い終えると、鎧の男と女性の体がゆっくりと消え始めた。

「約束しておくれ。この先も・・・絆を忘れないと。」

 その言葉に、シロヤはシアンの手をギュッと握り、決意を秘めた目でしっかりと言った。

「約束します!これからもずっと・・・俺は絆を紡いでいきます!」

 その決意を聞いた鎧の男と女性は、嬉しそうに微笑みながら消えていった。


「チラプナ・・・ようやく会えたね・・・!」

「あなたに再び会えたことを・・・嬉しく思います・・・!」


 白い世界で、ただそれだけが聞こえた。

「・・・シロヤ。」

 その横で、シアンはシロヤの手を握り返していた。それは、シアンなりの決意であり、約束でもあった。

「シロヤ・・・行こう。皆が待ってる。」

「・・・はい!」

 白い世界を歩く二人。その先に待っていたのは、美しき砂の大地の景色だった。いつ見ても雄大で、それでいて優しい、彼らの郷。

 そしてそこにはクロトが、そして皆が待っていた。

「お兄様!大好き!」

「うふ、うぶなシロヤ君ね。」

「シロヤ様、何なりとご命令を。」

「皆、シロヤ様のことが好きなんです。」

「おらおらぁ!かかってこいシロヤ!」

「精霊相手に・・・シロヤ君ったら何考えてるのかしら?」

「いつもありがとうございます!シロヤさん!」

「俺達国境警備隊を忘れるなよ?シロヤ。」

「一生遣えさせていただきます、シロヤ様。」

 皆がシロヤを待っていた。

「・・・さぁ、行こう。我らが郷へ。」

 シアンに導かれ、シロヤはゆっくりと砂の大地に向かって歩き出した。

 その胸に、誰にも負けない強い絆を抱いて・・・。

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