約束
真っ白な世界に、シロヤとシアンは隣同士で立っていた。
そしてその向かいには、白い鎧に身を包んだ男と立派なドレス姿の女性がいた。
「おめでとう・・・この地を脅かす魔の者は、白の勇者によって倒された。」
鎧の男が優しく語りかける。
「長い間待っていたよ。絆の力を受け継ぎ、魔を倒す勇者を・・・。」
鎧の男の言葉に、シロヤは頭を掻きながら言う。
「俺だけの力じゃないですよ。絆の剣は・・・皆さんが力を貸してくれたからこそ紡げた力です。」
申し訳なさそうに言うシロヤを見て、隣にいたドレス姿の女性が微笑む。
「いいえ、あなたが強いからこそ剣を紡げたのです。そしてその強さは・・・仲間と共に紡いだからこそ得た力なのです。あなたが願う限り、あなたが繋がりを忘れない限り、あなたは強くいられるのです。」
ドレス姿の女性が言い終えると、鎧の男と女性の体がゆっくりと消え始めた。
「約束しておくれ。この先も・・・絆を忘れないと。」
その言葉に、シロヤはシアンの手をギュッと握り、決意を秘めた目でしっかりと言った。
「約束します!これからもずっと・・・俺は絆を紡いでいきます!」
その決意を聞いた鎧の男と女性は、嬉しそうに微笑みながら消えていった。
「チラプナ・・・ようやく会えたね・・・!」
「あなたに再び会えたことを・・・嬉しく思います・・・!」
白い世界で、ただそれだけが聞こえた。
「・・・シロヤ。」
その横で、シアンはシロヤの手を握り返していた。それは、シアンなりの決意であり、約束でもあった。
「シロヤ・・・行こう。皆が待ってる。」
「・・・はい!」
白い世界を歩く二人。その先に待っていたのは、美しき砂の大地の景色だった。いつ見ても雄大で、それでいて優しい、彼らの郷。
そしてそこにはクロトが、そして皆が待っていた。
「お兄様!大好き!」
「うふ、うぶなシロヤ君ね。」
「シロヤ様、何なりとご命令を。」
「皆、シロヤ様のことが好きなんです。」
「おらおらぁ!かかってこいシロヤ!」
「精霊相手に・・・シロヤ君ったら何考えてるのかしら?」
「いつもありがとうございます!シロヤさん!」
「俺達国境警備隊を忘れるなよ?シロヤ。」
「一生遣えさせていただきます、シロヤ様。」
皆がシロヤを待っていた。
「・・・さぁ、行こう。我らが郷へ。」
シアンに導かれ、シロヤはゆっくりと砂の大地に向かって歩き出した。
その胸に、誰にも負けない強い絆を抱いて・・・。