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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
153/156

勇者

 突然放たれた強い光が、ゆっくりと止み始めた。空を覆っていた黄金の色は無くなり、空に浮かぶ二人の姿をはっきりと映している。

「あれ・・・お兄様・・・?」

 ローイエが指差した方向に、ラーカと向かい合っている男がいた。しかし、それはさっきまでのシロヤの姿ではなかった。

 その男は、白い鎧に身を包み、手には真っ白に光輝く巨大な剣が握られていた。

「クロト・・・君・・・?」

 男が乗っているのは、黒く輝く竜だった。さっきまでのクロトの面影は、クロト同様に一切感じられない。

「あれがシロヤ様とクロト様・・・?」

 信じられないといった表情で固まるバルーシ。

 その時、キリミドが思い出したように口を開いた。

「空を取り込まんばかりの巨大な闇がこの地を覆う時、人が持つ何者にも負けぬ強い力が集まり、闇に打ち勝つ英雄、この地に現れる。」

「確かにこの光景・・・あの石板の絵、そのものだわ。」

 驚き固まるフカミとキリミド。

「じゃあ・・・闇に打ち勝つ英雄って!」

「シロヤ・・・ってことか」

 シロヤを見上げるリーグンとレジオンが言った。

「シロヤ様・・・!」

「もう、俺達が手を出せる戦いじゃないってことだな。」

 不安そうにしているクピンの横で、ランブウが言った。

「シロヤ君・・・。」

 プルーパの言葉と共に、全員がシロヤを見上げる。その表情は、とても不安な表情だった。


「馬鹿な・・・!ありえん・・・!」

 シロヤと向かい合っているラーカは、初めて表情を崩して固まった。

「確かにあの時、貴様は!」

 ラーカの激昂に、向かい合っているシロヤはあくまでも表情を変えずに対峙し続けている。

「くっ!ならば再び消すだけだ!」

 そう言うと、ラーカは周りに浮かぶ大量の闇の波動を、一斉にシロヤに向けて放った。四方八方から、闇の波動がシロヤに向かって降り注ぐ。

 それを見たシロヤは、ゆっくりと光輝く剣を前に出した。腕を動かしただけで、体を包む光の余韻がこぼれ落ちる。

 そして剣を前に出したまま、シロヤはカッと目を見開いた。

「!」

 その瞬間、シロヤの周りに強い光が放たれ、周りの闇の波動を一つ残らず全てかき消してしまった。

「何故だ・・・!この力は・・・絶対の力のはずだ!」

 さらに闇の波動を放つラーカだが、その全てがシロヤの目の前でかき消されてしまった。

「馬鹿な!何故だ!」

 ラーカが激昂してシロヤに気をそらした瞬間、それをシロヤは見逃さなかった。

「!!!」

 ラーカの目の前には、すでにシロヤがいた。そしてラーカに向かって剣を振るい、ラーカの体を引き裂いた。

「ぐわぁぁぁ!」

 体を切られて後ずさるラーカ。

「貴様・・・何故生きている・・・?」

 切られた痛みに耐えながら、ラーカはシロヤに聞く。

「・・・!」

「なんだと・・・!」

 シロヤが、何かを口にした。そしてそれは、不安そうに見上げているプルーパ達にもはっきり聞こえた。

「俺は・・・過去に砂の大地に込められた戦士の思い、そして今の砂の大地に込められた皆の強い思いを受け継ぎし者だ!俺は貴様を倒し、この砂の大地に永久の平和をもたらす!」

 そう言って、シロヤは再びラーカに向かっていった。

「やぁあああ!」

 瞬間、ラーカの体が再び切り裂かれた。それはもはや、プルーパ達はおろかラーカにすら見切れないほどの速さだった。

「ぐぁあああああ!!!」

 激しく身を切り裂かれ、ラーカは空中でよろめいた。さっきまでのラーカに比べて、圧倒的に動きが鈍くなっている。

 それを見たシロヤは、白く輝く剣を高く上にかざした。

「今度は何を・・・?」

 全員が固唾を飲んでシロヤを見守る。

 高くかざした剣は、刀身が光に包まれていき、やがてそれは光を纏った巨大な剣に変貌した。

「すごい・・・!」

 巨大な光の剣を、全員が目を見開いて見ていた。


 その時・・・。


「皆よ!力を貸してくれ!」


 全員の頭に声が響いた。

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