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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
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証明

「これは・・・。」

 初めてラーカが静かに驚く。

 その目線の先では、砂の大地が地平線の先から黄金に染まり始めていた。

「お姉様!これって!」

「えぇ・・・間違いないわ・・・!」

 ローイエとプルーパ、そしてその場にいる全員も、今起きている現象に驚いていた。

 過去に一度目にしたことがある現象。バスナダの大地の砂が星型の砂金"星"へと変わる奇跡の現象、"流星"だ。

 やがて大地が完全に金色となった時、闇の波動を受け止めているシロヤの体を星の光が包み込み始めた。

「うぉおおお!!!」

 星の力を得たシロヤは、全身に力を込めて闇の波動を受け止め続ける。そして、剣を大きく右に振り、闇の波動を空に向かって弾き飛ばした。

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 星の力を得たとはいえ、闇の波動を弾き飛ばすのは相当な力を使うらしく、シロヤは大きく肩で息をする。

「我が波動を弾き飛ばすとは・・・星の力を得たといえども、普通の人間には出来ぬ芸当のはずだが。」

 ラーカは感心したようにシロヤを見下ろす。

 シロヤはラーカに向かって剣を向け、揺るぎの無い真っ直ぐな目でラーカを見る。

「これは俺だけの力じゃない!俺を信じてくれる人達のおかげで、俺は強くなれるんだ!」

「ほざくなぁ!」

 ラーカの表情が一変し、周りに大量の闇の波動を作り出す。

「あれだけの数を・・・!シロヤ君!」

「大丈夫です!」

 大量の闇の波動に驚くプルーパだったが、シロヤの表情は穏やかだった。あれだけの闇の波動を前にしても、まったくの動揺の無い、柔らかな表情だ。

「ラーカ・・・決着をつけるぞ。」

 そう言って、シロヤは剣をおろして目を瞑って神経を集中した。

 その時、シロヤの頬を何かがつついた。

「・・・クロト?」

 そこにいたのはクロトだった。

 クロトは小さく鳴き声を発し、ゆっくりと体制を低くして背中に乗るよう促している。

「クロト・・・お前まさか・・・!」

 その意味を理解したシロヤは止めようとするが、クロトは頑として動かない。それはまるで、シロヤと離れたくないと言っているようでもあった。

 そしてシロヤにもその事が伝わったのか、止めようとしていた気持ちを押さえ込み、ゆっくりとクロトの背中に跨った。

「クロト・・・頼んだぞ?」

 クロトは大きく頷いた。

「よし・・・行くぞ。」

 そう言うと、シロヤとクロトを星の光が包み込んだ。その光がシロヤとクロトをゆっくりと浮かび上がらせ、やがてシロヤとクロトは、ラーカと同じ高さにまで到達した。

「絆などと愚かな物にすがるか・・・。」

「絆は愚かなんかじゃない!」

 シロヤは凛とした表情で、クロトの上でラーカに剣を向ける。

「絆があるからこそ俺は・・・弱かった俺は強くなれたんだ!剣すらロクに使えない、戦う力もない、そんな俺が強くなれたのは、皆との強い絆があったからだ!」

 シロヤの頭の中に、この国を訪れた時のことが思い出された。

 シアンを助けたことから始まり、シロヤは様々な人と関わってきた。プルーパにからかわれ、ローイエに好かれ、バルーシから信頼された。リーグン、レジオン、フカミ、キリミド、ランブウ、クピンとも関わり、シロヤは何度もに励まされて何度も共に困難を乗り越えてきた。

 そしてそれこそが、シロヤがここまで強くなれた理由だった。だからこそシロヤは、絆の力が本物だということを証明できるのだ。

「証明してやる!お前を倒して・・・!」

 そして、シロヤはありったけの力で叫んだ。


「絆の力が誰にも負けない!真の心の強さだということを!」


 その瞬間、黄金に染まる大地が脈動し始めた。

「なに・・・?」

「一体何が・・・?」

 プルーパとバルーシ、そして全員がこの大地の脈動が何なのかわからないでいる。

 その時、大地を包む黄金が一斉に浮かび上がり、空を黄金で覆いつくした。

「あ!お兄様が!」

 ローイエがシロヤを指差すと、空を包む黄金の光が一斉にシロヤの方に集まった。

「シロヤ君!」

 プルーパがシロヤの名を叫ぶが、黄金の先にいるシロヤからは何も帰ってこない。


 次の瞬間、シロヤから眩しい光が放たれ、全てを覆いつくした。

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