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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
148/156

思想

 ゴルドーは剣を構えて、まっすぐラーカに向かっていった。

「やぁぁぁ!」

 雄叫びを上げながら剣を振るうゴルドー。

 しかし、ラーカはその剣戟をいとも簡単に右へ左へと避けてしまう。

「ふん、星の力を得てもその程度か?」

 嘲笑うようなラーカの言葉を無視して、何度も剣を振るい続けるゴルドー。しかし、いくらやってもラーカには当たらない。

「つまらんな、貴様ら人間の心の強さとはその程度か」

 そう言うと、ラーカは向かってくるゴルドーに向かって手をかざした。

 その瞬間、動きを止めずに剣を振るい続けていたゴルドーの体が、ピタリと止まった。

「くっ・・・!」

「星の力を得てもなお、私にかすり傷すらつけられないとはな」

 そう言って、ラーカはかざしていた手を勢いよく右に回転させた。

 その瞬間、剣を握っていたゴルドーの両手首が、ラーカの手が右に回転させたと同時に右に折れ曲がった。

「ぐわぁぁぁ!!!」

 両手首の骨が右に砕け、ゴルドーは剣を握ることができずに離してしまった。

 激しい痛みに反撃できずにいるゴルドーに向かって、ラーカはさらに右手をかざす。そして勢いよく右手を振り下ろすと、浮いていたゴルドーの体が勢いよく地面に叩きつけられた。

「ぐぅ!」

「ゴルドー兄さん!」

 地面に叩きつけられたゴルドーに駆け寄るバルーシとロブズン。

「くっ・・・!」

 両手首を折られて、倒れたまま動けなくなっているゴルドー。

「ふん、つまらぬ」

 見下すようにゴルドーを見るラーカ。

「やはり人の心の強さなど脆きものだ。」

 その言葉に、シロヤとバルーシが剣を構えてゴルドーを守るように立つ。

「人の心は・・・脆くない!」

「人の心を理解出来ぬ貴様に、心の強さなど理解できない!」

 二人の言葉を聞いたラーカは、まるで滑稽だと言わんばかりの高笑いを始めた。

「ハハハハハ!弱者が唱える心の強さに何の意味がある!下らぬ思想に見出だす力など所詮は虚構!」

「それは違う!」

 シロヤは剣を構えたまま、ラーカに向かって叫ぶ。

「下らぬ思想なんかじゃない!俺達は手を取り合い、共に戦う中で強くなっていくんだ!だからこそ俺達はレーグを倒して暗殺計画を止めることも出来た!そして心に迷いこんだシアン様を救うことも出来た!お前が下らないと言っている思想で、俺達はたくさんの困難を乗り越えられたんだ!」

 シロヤがありったけの力で叫んだ。

 今まで自分が戦ってきた戦いや困難は、全て自分を慕い守ってきてくれた人達のおかげで乗り越えられた。シロヤにとって、それは強くなるきっかけであり、そのきっかけのおかげで自分は強くなれた。その強い思いが、シロヤの言葉には込められていた。

「弱き自分を認めず、仲間にすがることしか出来ない下らぬ思想だ!」

 しかし、それすらも滑稽だと笑い飛ばすラーカは、シロヤ達の方に向かって手をかざす。

「見せてみろ!その下らぬ思想から生まれる力とやらを!」

 その瞬間、ラーカがかざした手から闇の波動が放たれた。

 闇の波動はまっすぐとシロヤとバルーシに向かって伸びていく。

「シロヤ様!」

「下らないなんて・・・思わせはしない!」

 まっすぐと闇の波動に立ち向かうシロヤ。

「・・・死ね。」

 ラーカの言葉と共に、闇の波動はシロヤとバルーシ―――の後ろをとらえた。

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 二人が振り向くよりも早く、闇の波動は二人の後ろにいるロブズンの心臓を貫いた。

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