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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
145/156

本気

 ランブウは高く跳び上がり、構えていた二丁拳銃を黒い塊に向かって乱射した。

「オラオラオラオラァ!」

 滞空時間一杯まで銃を乱射し続けるランブウは、地面ギリギリで綺麗に着地して黒い塊を見上げる。

 しかし、黒い塊には傷一つすら見当たらない。

「・・・ほぅ、中々堅いじゃねぇか」

 にやけながら再び銃を構えるランブウ。

 その時、黒い塊の周りに小さな闇がいくつも現れ始めた。

「お?何が始まるんだ?」

 興味ありげに闇を見上げるランブウ。

 闇はゆっくりと形を作っていき、やがて闇は小さな球体となり、そしてそれは黒い鳥に変化した。

 全部で三匹の黒い鳥が生成されると、鳥はすぐさまランブウに向かって急降下してきた。

「させるかよ!」

 ランブウは鳥の急降下に合わせて二丁拳銃を構えて乱射した。

 しかし、三匹の鳥は向かってくる拳銃の弾を全て左右に動いて避けてしまった。

「ちっ、弾をかわしやがるか。」

 二丁拳銃は当たらないと判断したランブウは、すぐさま持っていた拳銃を懐にしまって背中の散弾銃に手をかける。

 しかし、それよりも鳥がランブウに向かって落ちてくるほうが速かった。

「やべっ!」

 すぐさま三匹の鳥の攻撃を避けるために横に飛び退く。

 三匹の鳥はそのまま地面に向かって落ちていき、砂埃を上げた。

 飛び退いたランブウはすぐに体勢を立て直し、再び背中に手をかける。

 しかし、

「っ!」

 砂埃の中から、三匹の鳥が再びランブウに向かって飛来してきた。

 突然の飛来に驚くランブウに向かって、真っ直ぐ向かってくる鳥。

「ちっ!」

 向かってくる鳥の一匹目を避ける。すぐさま向かってくる二匹目も避けた時、三匹目がランブウの顔に向かってやってきた。

「ぐっ!」

 何とか三匹目を避けようとするが、回避が間に合わず鳥の嘴が頬をかすった。かすった部分から、ゆっくりと血が流れ落ちていく。

「中々やるじゃねぇか、やっぱりこうでなきゃな!」

 頬に流れる血を手で拭うと、ランブウは嬉しそうな表情で背中の散弾銃を構えた。

「さぁ・・・来やがれ!」

 ランブウが散弾銃を構えている先では、鳥は空を大きく旋回して再びランブウに向かってきた。

 真っ直ぐ高速で向かってくる鳥だったが、ランブウはそれを前にしてもまったく動きを見せない。

「まだだ・・・まだ近づいて来い・・・!」

 そう言いながら散弾銃を構えたまま止まっているランブウ。

 やがて鳥が目と鼻の先に迫ってきた時、ランブウは構えていた散弾銃の引き金を引いた。

 派手な爆発音が響き渡り、ランブウの放った散弾銃の弾は三匹の鳥をしっかりと捉え、三匹の鳥はそのまま力なく地面に落ちて動かなくなった。

「すごーい・・・!」

 三匹の鳥をいとも簡単に倒してしまったランブウを見て、ローイエは口を開けて驚いた表情になった。

「私も初めて見ました・・・ランブウさんがこんなに強いだなんて。」

「これがランブウのベストコンディションって訳ね。」

 キリミドとフカミも驚いた表情で固まる。

「はは、この程度で驚いてもらっちゃ困るぜ?」

 ランブウは笑いながらそう言うと、散弾銃を再び構えて黒い塊に向かって跳び上がった。

「俺の目的はあくまでもこいつの破壊だからよ!」

 そう言って、ランブウは黒い塊に向かって急降下していき、その距離が近くなったと共に散弾銃を放った。

「零距離散弾銃ならどうだぁ!オラオラァ!」

 派手な爆発音が何度も響き渡ると、やがて黒い塊に動きが見え始めた。

「あ!お姉様見て!」

「黒い塊に・・・ヒビが入ってるわ!」

 ローイエが黒い塊を指差すと、黒い塊に遠くから見てもわかるほど大きなヒビが入っていた。

 そのヒビは派手な爆発音が響くと同時に大きくなっていっている。まさしく、黒い塊にダメージを与えている証拠だ。

「オラオラァ!って!?」

 散弾銃を撃ち続けるランブウだったが、自分の周りに闇が現れているのを見て撃つ手が止まる。

 闇はランブウを取り巻くと、そのままランブウを持ち上げてしまった。

「うぉ、うわわわわ!」

 何とか抜け出そうとするランブウだったが、実体が無い闇から抜け出すことが出来ず、そのまま上に放り投げられてしまった。

「うぉぉ!」

 放り投げられてそのまま地面にまっさかさまに落ちていくランブウだったが、すぐさま体制を立て直して綺麗に着地する。

「なるほど・・・長期戦はこっちに不利って訳か。」

 ランブウはそう言うと、散弾銃を放り投げて何も手に持っていない状態で黒い塊の前に立った。

「ランブウさん!まさか丸腰で・・・!」

 その姿を見て心配になるシロヤ。

 そんなシロヤに向かって、ランブウは笑顔を浮かべた。

「へへへ、任せとけ。最終兵器を見せてやるぜ。」

 そう言うと、ランブウは身に着けていた背中のマントを脱ぎ捨てた。

 そこから現れたのは、手で持って扱うにはあまりにも巨大な銃器だった。

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