表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
144/156

復活

 気づくと、シロヤ達は全員"禁断の地"の前に立っていた。

「クピン!大丈夫?」

 見ると、クピンは疲れ果てた表情で倒れていた。プルーパがゆっくりと体を起こすと、小さく微笑んでシロヤの方を見た。

「シロヤ様・・・私・・・役に立てたでしょうか?」

「・・・はい、もちろんです。」

 それを安心した表情になるクピン。

「っ!お兄様!あれ!」

 突如、ローイエが叫びながら空を指差した。

「な・・・!なんだあれは・・・!」

 ローイエが指差した方を見ると、そこには闇に包まれた黒い巨大な塊が宙に浮いていた。

「シロヤ君!何かしようとしてるわ!」

 プルーパが叫ぶと、黒い塊はたくさんの小さな闇の塊をいくつも生み出した。

 小さい塊はゆっくりと地面に降りていき、地面に着いた瞬間に三つ首の狼へと姿を変えた。

「あれはさっきの!」

 バルーシが叫んだ瞬間、小さな塊はどんどんと三つ首の狼へと姿を変えていき、その数は数十匹にまで及んだ。

「そんな・・・!一体であれだけ強いって言うのに・・・!」

 すぐさま戦闘体制に入るシロヤだったが、狼達はシロヤ達を素通りしていってしまった。

「・・・え?」

「あの方向って・・・!」

 ローイエの呟きに、シロヤは全身に冷たいものを感じた。

「こいつらの狙いは・・・街だ!」

 狼が向かっているのは、国民達が住む街の方角だった。

「そんな・・・!国民の皆さんは街にいます・・・!このままでは・・・!」

 クピンが弱々しく叫ぶ。それを聞いてすぐさま狼達を止めようとするが、シロヤもローイエも簡単に弾かれてしまった。

「お兄様!このままじゃ皆が!」

「くそ!ラーカ・・・国民を狙うなんて!」

 怒りに震えるシロヤ。

 そのとき、

「シロヤ君!危ない!」

「え・・・?」

 瞬間、目の前には三つ首の獣が牙を立てて迫っていた。

 完全に不意をつかれたシロヤは、襲ってくる狼の牙を見てることしかできなかった。

「シロヤ君!」

「お兄様!」


ギシャアアアアア!!!


「!」

 突如、シロヤの目の前で狼が奇声を上げて倒れた。

「・・・?」

 何が起こったのかわからないシロヤ。そこに、さらに狼が三匹、シロヤに向かってきた。


「おいおい、穏やかじゃないな、この犬どもが。」


 突如聞こえた声。その方向を見ると、そこには二丁拳銃を構えた男が立っていた。

 男はシロヤに襲いかかろうとしている三匹の狼に狙いを定め、二丁拳銃の引き金を引いた。

 大きな破裂音が三回鳴り響く。その瞬間、狼は倒れて動かなくなった。

「ふぅ・・・待て、もできない犬とはな。」

 男は二丁拳銃をしまい、シロヤの元に歩み寄ってきた。

「無事だったんですね・・・!」

「あぁ、一回は遅れをとったが、次はあんなんにはならないからな!」

 シロヤに向かって笑顔を見せる男。

 シロヤは男の名を叫んだ。

「無事でよかったです!ランブウさん!」 その場にいる全員がランブウの方を見る。

 危険な状態、と聞いていたが、今のランブウを見れば本当にそうだったのか疑いたくなるほど、ランブウは元気だった。

「ランブウ!」

「ランブウさん!」

 フカミとキリミドがに駆け寄ってくると、ランブウは二人の頭をそっと撫でながら微笑んだ。

「ありがとう、俺達を看病してくれて。」

 しばらく頭を撫でた後、ランブウは再び空に浮かぶ巨大な塊に目をやった。

「話には聞いてたが・・・こいつは中々の大物だな。」

 ランブウは巨大な塊を見ながら笑うと、その表情のままシロヤの方を見た。

「シロヤ、こいつは俺に任せてくれ。お前らは少しでいいから休んでろ。」

「・・・だけど!」

 言おうとした瞬間、ランブウはシロヤの言葉を手で制した。

「心配するな。あいつらのことだから、今頃は国民の避難を終えてるだろうよ。」

「え・・・?」

 黒い塊に向かっていくランブウ。

「こいつは、俺達国境警備隊のリハビリ相手だ。だから心配するな、すぐ終わらせてやる。」

 ランブウの言葉を聞いたシロヤは、何故か安心感に包まれた。根拠はないが、ランブウに任せれば大丈夫、そんな気がした。

「・・・はい!お願いします!」

 それを聞いたランブウは、黒い塊に向かって歩きながら二丁拳銃を構え、静かに止まって黒い塊を見上げた。

「さぁて、久しぶりに暴れさせてもらうぜ!」

 ランブウは地面を蹴り、勢いよく跳び上がった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ