再会
城を出て、フカミらと共に地下帝国を目指すシロヤ。
しかし、フカミが先導して行く方向は、シロヤが知っている地下帝国の入り口である禁断の地とは別の方向だった。
「フカミさん!一体どこへ!?」
「いいからついてきて!着いたら説明するわ!」
急かすフカミに、シロヤはそれ以上聞かなかった。
「・・・どうしました?シロヤ様。」
走りながら、リーグンがシロヤの異常にいち早く気づいた。
「あ、いや・・・他の皆さんが心配になって・・・。」
その言葉を聞いて、前を走っていたレジオンが高笑いを始めた。
「がはは!あいつらが簡単にやられるかよ!」
「レジオンさん・・・。」
心配そうな表情のシロヤに向かって、レジオンはその心配を軽く吹き飛ばすように高笑いしながら話始めた。
「あいつらは皆、自分のためだけじゃなくお前のためにも戦ってるんだ。お前が信じてやらなかったら誰が信じるって言うんだよ。」
レジオンの言葉に、シロヤは小さく微笑んだ。
「・・・そうですね、俺が信じなきゃ・・・皆無事に帰ってくるって・・・!」
さっきまでの心配そうな表情が消え、シロヤは表情を引き締めた。
それを見て、レジオンは小さく微笑んだ。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
「ここって・・・未開拓地帯の入り口?」
シロヤ達が辿り着いたのは、レーグを追跡したときに入った未開拓地帯への入り口だった。
「今から行くのは私達の家よ、あそこには地下帝国への入り口があるの。」
「フカミさん達の家・・・?」
「ふぅん、精霊の家とは興味があるねぇ。」
リーグンとレジオンの言葉を横に、シロヤは決意の表情でフカミを見た。
「行きましょう・・・時間が惜しいです。」
そして、再びフカミを先頭に、シロヤ達は森の中に向かって走り出した。
「・・・おぉっと!」
突如、一番後ろを走っていたレジオンが急に止まった。それを後ろに、シロヤ達は森へと入っていき、やがて姿が見えなくなった。
「一緒に行ってやりてぇのはやまやまだがな・・・どうやら、やらなきゃいけないことができたみたいだな。」
そう言って、レジオンは背中の大剣を構えて振り返った。
「・・・。」
「久々だな、グンジョウ。」
レジオンの前に立っていたのは、細身の剣を構えた先代国王、グンジョウの姿だった。
「まさかお前が敵側についてるとはな・・・ま、進んで仲間になったとは思えないがな。」
「・・・どけ・・・レジオン・・・。」
懐かしむように話すレジオンに、グンジョウは剣を向けて言葉を発した。
「・・・やだね。」
「ならば・・・力ずくでも・・・通らせて・・・もらうぞ・・・!」
その瞬間、グンジョウは地面を蹴ってレジオンに向かっていった。
「久々に杯でも酌み交わせたらと思ったんだがな・・・敵同士じゃ叶わないってわけか。」
頭を掻いてため息をつくと、レジオンは大剣を大きく振り上げて自分の前に持っていき、大剣の刃で盾を作りグンジョウの剣を防いだ。
「グンジョウ、すまねぇが俺にも守らなきゃいけないもんがある。その為にも、俺はお前を通すわけにはいかねぇ。」
大剣を再び構えると、まるで嵐のような闘気がレジオンから発せられた。
「久々だな・・・貴様と剣を・・・交えるのは・・・!」
「さぁ、楽しもうぜ!グンジョウ!」
二人は同時に地面を蹴った。