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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
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真実

「・・・そんなことがあったのね。」

 バルーシの過去の話を聞いて、プルーパはそう小さく呟いた。

「はい・・・あれからずっと二人を探しましたが・・・一向に成果が上がらないままでした。」

 バルーシは、窓から見える月を眺めながらそう言った。

「ゴルドー兄さんは現れてくれましたが・・・未だに弟は見つからないままでした。」

 バルーシが言った。しかし、その言葉を聞いたプルーパの頭に疑問が走った。

「見つからないままだった・・・って?」

 だった、という言葉に違和感を覚えたプルーパ。まるで、最近になって弟を見つけたような言い方だ。

「プルーパ様も薄々気づいているのではないでしょうか?」

 そう言われて、プルーパは今までの記憶を振り返ってみた。そして最終的に出てきた記憶、それは今日の地下帝国探索時だった。

「・・・!」

 その時を思い出して、プルーパはハッとなった。思い出されたのは、あの時バルーシと敵対していた銅髪の青年。

「まさか・・・。」

「そうです・・・あの銅髪の青年が私とゴルドー兄さんの弟、ロブズンだったんです・・・。」

「・・・そうだったのね・・・。」

 明かされた真実に、二人の間に沈黙が流れる。

「・・・。」

「・・・。」

 今までよりも長い沈黙。プルーパは何度も話を切り出そうとするが、何をかけていいのかわからずにいた。

「・・・私も驚きでした。行方不明になっていた弟が、今は敵対勢力の一部になっていただなんて・・・。」

 珍しくバルーシの声は震えていた。満天の月明かりを浴びるバルーシの表情は、どこか憂いを帯びていた。

「おそらくロブズンは・・・私を恨んでいたでしょう。」

「どうして?」

 プルーパの言葉に、バルーシは少しうつむきながら話始めた。

「過程はどうであれ、ロブズンが敵になったのは私があのとき・・・ロブズンを守れなかったからです。」

「・・・。」

「あの時私が守っていれば・・・兄さんの言葉を守っていれば・・・地下帝国でロブズンと剣を交えることはなかったでしょう。」

 バルーシは拳を強く握った。その拳からはポタポタと血が流れている。

「肉親一人守れないで・・・私は何を守ることができるでしょうか・・・!」

 その言葉と共に、バルーシの眼から涙がこぼれ落ちた。兵団長のプライドから、人前では決して泣かないバルーシだったが、溢れだした自責の念が涙となってバルーシの頬を濡らしていた。

「う・・・うぅ・・・。」

 嗚咽をこぼすバルーシをしばらく見つめていたプルーパは、そっとバルーシの頭に手を置いた。

「まだ・・・泣くには早いんじゃない?」

 プルーパも満天の月明かりを浴びていたが、その表情はまるで母が子を諭すような暖かみがあった。

「弟さんは死んではいないんでしょ?悪に手を貸してるんだったら、あなたが殴って目を覚まさせなさい。少なくとも、今弟さんを救えるのはあなただけなのよ。」

 その言葉を、バルーシは涙を流しながら心に深く刻んだ。

「過去の失敗は確かに消えないわ。いつまでも自責の念は付きまとってくるものよ。だけどね、それは未来に進むまいとする言い訳じゃない。むしろその逆、未来に進むための道、そしてそれを掴むチャンスよ。」

「・・・。」

「弟さんの目を覚まさせて一緒に未来を歩もうとするチャンス、それが目の前にあるのよ。泣いてたから見逃して掴めなかったなんて、あなたらしくないわ。」

 そう言われて、バルーシは俯いていた頭を上げ、流れている涙を強引に拭いて立ち上がった。その瞳に迷いの欠片はない。

「ありがとうございます、プルーパ様。私はあの時果たせなかった約束を果たしに行きます・・・ロブズンを・・・救ってみせます。」

 その決意を聞いたプルーパは、満面の笑みを浮かべた。

「うん、その表情が一番あなたらしいわ。」

 二人はお互いの顔を見合って、小さく笑った。

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