開放
シロヤ、プルーパ、バルーシ、ゴルドーの四人は、禁断の地と呼ばれている祠の前に立っていた。
「ここが禁断の地ですか・・・。」
「私も初めて来たわ・・・王家の人間でも滅多に立ち入らない場所だって話だし・・・。」
祠を不思議そうに眺めているプルーパとバルーシを横目に、ゴルドーは祠に歩み寄ってそっと手を当てた。
「ゴルドーさん・・・?」
「ここは正当な王家である先代国王すら入ることが出来なかった場所だ。果たして俺達が入ることが出来るかどうか・・・。」
その言葉を聞いて、シロヤは祠の正面に両手を当てた。
「やってみましょう。」
そう言って、シロヤは両手に力を込めて祠を押した。
「うぎぎぎぎぎ!!!」
いくら力を込めても、祠は全く動いたり開いたりといった動きは見せなかった。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
やがてシロヤは祠から手を離し、肩で激しく息をついた。
「ダメみたいです・・・全く動きません・・・。」
それを聞くと、バルーシはゆっくりと祠に手を当ててみた。
「私がやってみます。」
そう言って、バルーシは祠を強く押した。
ゴゴゴゴゴ!!!
「!!!」
シロヤ達は目を丸くした。
全く動かなかった祠がゆっくりと開いていった。やがて、扉だった部分は完全に開き、そこには下へと向かっている階段が見えていた。
「バルーシ・・・あなたそんな力持ちなの?」
プルーパは意外そうな顔でバルーシに聞いてみたが、当のバルーシも意外な表情をしていた。
「いえ・・・私にも何が何だか・・・。」
シロヤ、バルーシ、プルーパは訳がわからずに顔を見合わせた。
「おい、何をしている。早く行くぞ。」
ゴルドーに言われ、シロヤ達は足早に祠への階段を降りていった。
「・・・・・・・・・。」
三人が階段を降りていくのを確認したゴルドーは、まだ完全には開ききってない扉に手を当てた。
「・・・・・・まさか・・・。」
ゴルドーは片手で扉を軽く押してみた。しかし、扉は動きを見せなかった。
「・・・・・・・・・。」
動きがないのを確認したゴルドーは、そのままシロヤ達の後を追って階段を下ろうとした。
ズズ・・・。
「!」
一瞬後ろから聞こえた音。ゴルドーは後ろを振り向いてみるが、すぐに前を向いて階段を下っていった。
ゴルドーが片手で押した扉は、確かに少しだけ動いていた。